週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

配送ロボット同士が直接通信する未来、東芝が進める協調連携システム

さまざまな地域課題や社会課題の解消や、ドローンやスマートシティなどとの組み合わせで期待されている自動走行ロボットを活用した配送サービス。日本でも各種実証実験が進んでいるが、いよいよ実装が見え始めている。2020年より実施されたNEDOによる実証実験で見えてきた動きを追いかける。

 自動配送ロボットが普及した未来、ショッピングモールなどの商業施設のバックヤードでは商品の配送にあらゆるメーカーのロボットが行き交うことになる。ロボットは障害物を避けられるが、狭い通路で走行中のロボットがお互いの進路を予測して、臨機応変に道を譲り合うのは難しい。東芝は、「商業施設バックヤード向け複数ロボット連携システムによる配送サービスの実現」をテーマに、ロボット間の直接コミュニケーションすることでお互いの状況を共有し、立ち往生の回避や複数台での協調運搬などを行なう協調連携システムの開発に取り組んでいる。

ロボット間の相互回避や協調運搬を実現する
通信プロトコルとセンシングモジュールを開発

 自動走行ロボットは、製造・物流をはじめ、公共の場所でも清掃、案内、警備などへの活用が始まっている。製造工場や物流倉庫のロボットであれば共通のシステムで管理されるが、複数の会社が入居する大型オフィスビルや複合商業施設では、運行システムの異なる複数メーカーのロボットが混在するようになると、通路上でロボットがお互いの進路を避けられずに立ち往生する問題が発生してしまう。

 運行システムを共通化して航空管制のように全ロボットを管理する方法や、信号のようなルールづくりがNEDOで検討されているが、さまざまな場所にロボットが導入されるようになれば、ロボット同士が直接通信して道を譲り合えるような仕組みも必要となる。

 東芝は、ロボット同士が直接通信するためのプロトコルを定義し、お互いの位置や走行方向を共有する協調連携システムの構築に取り組んでいる。ロボット自体を開発するのではなく、各ロボットメーカーに通信機能とセンシング機能を付加するモジュールとして提供する形だ。お互いの位置情報をあるタイムに共有できれば、ロボット同士の相互回避だけでなく、複数台のロボットがタイミングを合わせることで共同で荷物を運ぶといった連携作業の実現も可能になる。

異種ロボットの協調・相互回避と、
同種ロボットによる協調搬送の実証実験

 実用化に向けた実証実験では、自律センシングモジュールの機能としてロボット位置の推定や移動経路の算出、人や障害物の検精度の検証、異なるメーカー製のロボットで相互通信が確保されていることの確認、インターフェース仕様の検討が行なわれた。

 実験場所となった深川江戸資料館では、芝浦工業大学とのロボット連携実験の一つとして、東芝が開発した自律センシングモジュールを東芝と芝浦工業大学の2台の走行ロボットに装着しての展示コーナーを走行し、ロボット間の協調・相互回避の検証を実施。実証ではスムーズにすれ違えることが確認された。一般の来場者もロボットの存在をあまり気にすることなく、溶け込んでいたとのこと。

 もうひとつの実証では、同種のロボット2台で6輪台車を搬送する実験が行われた。当初は商業施設内のバックヤードで実施予定だったが、コロナの影響で商業施設が利用できなかったため、施設を模した環境での実施となった。

 6輪台車は、スーパーなど小売店で商品の移動や陳列によく使われており、自動搬送のニーズは高い。複数のロボットで1つの台車を押すには、お互いの位置とタイミングを合わせる必要がある。実証ではロボットの機体に、自律センシングモジュールと台車を持ち上げるためのアームを取り付けて、2台が台車の前後を挟む形でタイミングを合わせて台車を運搬した。台数を増やせば、より大きな積載物の運搬も可能になるとのこと。今回は同種のロボットが使用されたが、将来的には異なるメーカー製のロボット同士の協調動作の実現も目指している。

各ロボットメーカーとの連携とユースケース具体化が課題

 現在は東芝1社で開発しており、ロボットメーカーやサービサーは関与していない。サービスの実用化には、複数のロボットメーカーと協力し、同社の自律センシングモジュールをインストールしてもらう必要がある。今後は、各社のロボットで同社の開発する通信プロトコルを使って直接やりとりして、立ち往生を回避するような実証も実施していく予定だ。

 今回の実証では利用シーンとしてスーパーマーケットのバックヤードのオペレーションを想定しているが、実際にどのような場所で使われるのかは各社のロボットが混在する状況にならないと見えない部分もある。今後は複数ロボットの運用を検討しているユーザーや商業施設等との連携も取りながら、配送ロボットが普及したタイミングですぐに導入できるように、ユースケースをより具体的に準備を進めていくとのこと。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう