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20万円台後半で、ネットワーク/USB再生も

マランツ、HDMI入力搭載でテレビとも連携できるHi-Fiアンプ「MODEL 40n」

2022年02月15日 18時00分更新

当然のように、音作りも本格的

 音質面では、HDMI/ARC回路の高音質化に取り組んでいる。デジタル基板の電源供給能力の強化、低ノイズ化、接続経路、GNDなどの見直しを実施。さらに、テレビから出力されたHDMIの信号(音声信号だけでなくCECのHDMIコントロール信号なども含む)から、SPDI/Fの音声信号のみを取り出して、直接DIR(セレクター)に伝送する機能も持つ。音声信号の質は上流のテレビで決まる面もあるが、受けた信号はなるべくシンプルな経路かつノイズなどの混入が少ない形で処理しようという思想で設計されている。

 また、デジタルノイズから各基板を保護するために、HEOSモジュールやHDMIコントローラーなどを搭載したデジタル基板、デジタル信号をアナログに変換するDAC基板、PHONOイコライザーなどを持つアナログ基板などは別々のケースに収め、シールドしている。

 シャーシについてはメインシャーシ/フロントシャーシ/リアパネル/トップカバーが1.2mm厚のスチール製、サイドカバーが5.7mm厚のアルミ製、ボトムカバーが3.0mm厚のスチール製となっている。これらは10万円台前半のプリメインアンプ「PM8006」よりも厚いもので、30万円台の「MODEL 30」同様、制振性にかなり配慮したつくりになっている。

 ちなみに、MODEL 30はパワー部にHypexのNcoreスイッチングアンプを採用しているが、MODEL 40は出力70W+70W(8Ω)の新開発アナログアンプになっている。トロイダルトランスを採用した電源部は強力で、トランスの直径は129mm/3.4kg。PM8006搭載のものが108mm/2.9kgだったので大型化している。ブロックコンデンサーも18,000μFの高容量なものだ。また、PM8006やPM7000Nのパワーアンプはシングルプッシュプル方式を採用していて、それぞれ32A/45Aの瞬時電流供給能力を持っているが、MODEL 40ではデバイス数を倍に増やしたパラレルプッシュプルという方式にしており、68Aの瞬時電流供給能力を出している。パワートランジスターが増えるぶん放熱も重要となる。大型のヒートシンクを付けるだけでなく、熱による歪みの発生を防ぐため、カッパープレート上にデバイスを取り付けている。

 プリアンプ部は、マランツ独自で新開発した低ひずみ型HDAMを採用。20kHz付近の歪み率を48%ほど改善できているという。電子ボリュームはNISSHINBO(JRC)の「MUSES 72323V」を採用。PM8006と比較した場合、実使用領域の0~78までの範囲のノイズを改善。45%(7dB)のS/N比改善を果たしているという。

ライフスタイルに溶け込むオーディオ

 マランツの試聴室で旧機種(PM7000N)と音を比較する機会もあった。組み合わせたのはB&Wのフロア型スピーカーで価格帯的にはかなり開きがあるハイエンド機種となる。

 まず、アンプのポテンシャルを示す、アナログ接続では響きの良さや余韻の表現、低域の力強さなどに違いが出て“余裕感”や“懐の深さ”を大いに感じることができた。デジタル接続の差も聞いた。PM7000Nの初期型はAKMのDACを搭載しているのに対して、MODEL 40はESS Technolotyの「ES9016S」となる。DACの違いは音質傾向の差に少なからず影響するものだが、その性格の差に加えて、S/N感の向上といったアンプ自体の能力による違いも感じ取れた。S/N感の向上によって、より広い空間を意識することができる。

 ちなみに、ES9016Sは、DACの中では高解像度でクールな印象を与える傾向だが、サウンドマネージャーの尾形氏によると、MODEL 40ではあまりESSの特徴を出しすぎず、中庸である程度のゆとり感を出せる調整にしているそうだ。

 MODEL 40は本格的なシステムの一部に組み込むことも可能だが、小型ブックシェルフスピーカーなどと組み合わせて、気軽に使うワンボックスコンポとしても有力だ。上質なスピーカーを自由に選べる点が魅力だし、サラウンドではなくてもアクション映画の臨場感や、シーンごとに異なる空気感の描き分けなど、テレビスピーカーにない音響の魅力を引き出せる。YouTube上には音楽コンテンツも豊富なので、ライブ音源やプロモーションビデオなどをじっくりと味わうこともできる。

 いわゆる単品コンポとは少し異なる、ライフスタイルに溶け込む活用法なども積極的に考えていきたいオーディオ製品と言える。

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