最上位は「i9-12900H」に「GeForce RTX 3050 Ti」搭載です
ASUS「ROG Flow Z13」実機レビュー = GPUを内蔵した最強のタブレットPCだ!
ASUSはROGブランドのゲーミング2in1タブレット型PC「ROG Flow Z13」を2月17日に発売した。GPUボックスで最速化できる「Flow」としては、昨年発売となったクラムシェル型の「ROG Flow X13」に続く合体可能モデルで、2019年に発売された「ROG Mothership」に続くゲーミング2in1でもある。
最上位モデルでは、CPUに第12世代(Alder Lake)の「Core i9-12900H」、dGPUに「NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti」を内蔵しながら、単体で1.2kg切りを実現したタブレット型なのが最大の特徴だ。
Flowシリーズなので、外付けGPUモジュール「ROG XG Mobile」と組み合わせることで、最新AAAタイトルも動作可能なハイパフォーマンスを実現できる。まさにPCに求められるすべての要素が詰まった万能2in1 PCに仕上げられているのだ。
ディスクリートGPUを内蔵した最強のタブレット型2in1 PCだ
ROG Flow Z13には下記の4モデルが用意されている。
・「GZ301ZE-I9R3050TE4K」(26万9800円)
Core i9-12900H / RTX3050Ti / RAM16GB / SSD1TB / WQUXGA
・「GZ301ZE-I9R3050TE」(25万4800円)
Core i9-12900H / RTX3050Ti / RAM16GB / SSD1TB / WUXGA
・「GZ301ZC-I7R3050」(23万9800円)
Core i7-12700H / RTX3050 / RAM16GB / SSD512GB / WUXGA
・「GZ301ZA-I5UMA」(19万9800円)
Core i5-12500H / dGPUなし/ RAM16GB / SSD512GB / WUXGA
CPUは「Core i9-12900H」(Pコア×6+Eコア×8、20スレッド、最大5GHz)または「Core i7-12700H」、「Core i5-12500H」、ディスクリートGPUは「NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU」または「NVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop GPU」が採用。メモリーはすべて16GB(LPDDR5-5200)で、ストレージ(PCIe Gen4 x4接続)は1TBまたは512GBを搭載する。
ディスプレーは、13.4型WQUXGA(3840×2400ドット、16:10、輝度500cd/m²、コントラスト比1000:1、リフレッシュレート60Hz、DCI-P3カバー率85%、Dolby Vision対応、PANTONE認証)と13.4型WUXGA(1920×1200ドット、16:10、輝度500cd/m²、コントラスト比1000:1、リフレッシュレート120Hz、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、PANTONE認証)の2種類だ。
これら以外のスペックは基本的に共通。インターフェースは、Thunderbolt 4(USB Type-C、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery)×1、ROG XG Mobile用インターフェース(独自端子+USB 3.2 Gen2 Type-C、Thunderbolt非対応、DisplayPort 1.4、G-Sync、USB Power Delivery)×1、USB 2.0 Type-A×1、3.5mmコンボジャック×1を用意(Core i5-12500H搭載モデルのみ、USB 3.2 Gen2 Type-Cは映像出力非対応)。ワイヤレス通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.1をサポートする。
カメラは前面に92万画素、背面に799万画素(オートフォーカス)を配置。サウンド機能は、AIノイズキャンセリング対応の3Dマイクアレイと、Dolby Atmos対応のデュアルスマートアンプスピーカーを搭載する。
キーボードは82キー日本語配列で、バックライトはRGBイルミネート仕様。ディスプレーは静電容量方式の10点マルチタッチと、MPP(Microsoft Pen Protocol)2.0規格のデジタイザーペン「ASUS PEN SA201H」に対応する。
サイズは本体が302×204×14.5mm、デタッチャブルキーボードが302.8×220.72×5.6mm、重量は本体が約1.18kg(Core i5-12500H搭載モデルのみ約1.12kg)、デタッチャブルキーボードが約340g。56Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はモデルによって異なるが約6.5~8.1時間と謳われている。バッテリー充電時間は約1.7時間だ。
一般向け2in1 PCとは一線を画すデザインで、10種類の高精度CNC削り出し、2種類のアルマイト処理を含む39工程によるボディーの質感は非常に高い。また、背面のガラスウインドーからはRGBカラーで彩られたメイン基板が透けて見える。eスポーツ会場やLANパーティーなどの暗い場所で、最も存在感をアピールする2in1 PCであることは間違いない。
ROG XG Mobileの存在感は大型ACアダプターとほぼ同じ
ROG Flow Z13は外付けGPUモジュール「ROG XG Mobile」と組み合わせてこそ最大限にパフォーマンスを発揮する。ROG XG Mobileのサイズは208×155×29.6mm、重量はケーブル込みで実測1146g。喫茶店のテーブルなどで取り出すのにはちょっと大げさだが、コワーキングスペースや、宿泊先の部屋などで設置するのなら、ゲーミングノートPCの大型ACアダプターと存在感に大きな違いはない。
ROC XG Mobileは、「NVIDIA GeForce RTX 3080」版(直販価格18万8800円)、「NVIDIA GeForce RTX 3070」版(直販価格14万9800円)が販売されており、2022年版としては「AMD Radeon RX 6850M XT」搭載モデルがリリースされる予定。どのぐらいの価格帯で発売され、どのぐらいのパフォーマンスを発揮するのか楽しみに待ちたい。
2in1 PCとしての使い勝手はデタッチャブルタイプとして隙のない仕上がり。キックスタンドは最大170度まで調整可能で、ノートPC、ビューワー、タブレットとさまざまなスタイルで利用できる。しいて言えばデジタイザーペン「ASUS PEN SA201H」の置き場所にちょっと困る。ただし、公式の使い方かは不明だが、デタッチャブルキーボードの右側に「ASUS PEN SA201H」を磁力で装着可能。このままバッグに入れるのには不向きだが、一時的な装着場所としてなら十分だ。
日本語キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは1.5mm。タッチパッドの面積は実測98×55mm。キー、タッチパッドともに適切な押圧力が設定されており、心地よく入力、操作できる。「変換」と「無変換」が「スペース」キーに、「\」が「Back Space」キーに、「\」が「Shift」キーに密着している点はやや気になるが、配置自体は素直なので、数時間利用すれば慣れるだろう。
今回は、13.4型WUXGAディスプレー搭載モデルを試用しているが、色域を実測したところsRGBカバー率は98.2%、AdobeRGBカバー率は74.7%、DCI-P3カバー率は76.2%という値が出た。ウェブコンテンツ制作用途に十分な色域を備えている。
WUXGAディスプレーは、色域の広さよりも、リフレッシュレート120Hzによる高速描画を重視している。RAW画像の現像、動画のカラーグレーディング用途には外部ディスプレーを接続しよう。
カメラは前面に92万画素、背面に799万画素(オートフォーカス)が搭載されているが、インカメラの画質がかなりイイ。室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できている。その一方でアウトカメラが室内灯下ではやや暗めに写る傾向があった。
さすが第12世代コア「Core i9-12900H」の威力
「Ryzen 9 5900HS」のX13を上回るスコアを記録
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回のベンチマークは、ROG Flow Z13本体のみ、ACアダプター接続、ROG XG Mobile接続(NVIDIA GeForce RTX 3080搭載モデル)の3つの条件で実施した。
まずCPU性能だが、ACアダプター接続時に「CINEBENCH R23」は14533pts、「同R20」は5719pts、「同R15」は2753cbを記録している。「Ryzen 9 5900HS」と「GeForce GTX1650」を搭載した「Flow X13」では、12359、4751、2050だったが、さすが第12世代コアの威力で、1.2~1.3倍の速度である。
3D性能については3DMarkのTime Spyで、本体のみで2987、ACアダプター接続時で4764、XG Mobile接続時で12320を記録した。「Flow X13」ではTime SpyがACアダプター接続時で3665、XG Mobile接続時で10774だったので、本体で1.3倍のスコアとなり、XG Mobile接続では差が縮まり、1.1倍であった。
なお3D性能について、本体のみ、ACアダプター接続時、XG Mobile接続時のTimeSpyのスコアを比較してみると、ACアダプター接続時は本体のみの1.6倍、XG Mobile接続時は4.1倍を記録している。Port RoyalではACアダプターでは1.0倍だが、XG Mobile接続時は6.8倍とスコア差がさらに開いている。ゲームを快適に堪能したいならXG Mobileは必須アイテムだ。
ストレージ速度については、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)で平均3619MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)で平均2798MB/sと、X13よりきちんと速くなっている。
バッテリー駆動時間は、ディスプレー輝度40%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、3時間45分という結果になった。
万能な1台を必要とする人が、真っ先に検討すべき1台
ROG Flow Z13は単独でもハイパフォーマンスなCPUとディスクリートGPUが組み合わされており、ACアダプターさえ接続すればクリエイティブワークにも活用できる処理性能を発揮する。そしてさらにROG XG Mobileを接続すれば、最新AAAタイトルをハイクオリティーな画質でプレイできるだけの環境が実現する。
いまや外付けGPUボックス自体は珍しい周辺機器ではない。しかしROG Flow Z13+ROG XG Mobileの携帯性は他の追従を許さない。ゲーム用途に限らず、多くの利用シーンをカバーできる万能PCを探している方にとって、ROG Flow Z13+ROG XG Mobileは真っ先に検討すべき1台なのである。
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