次世代ウェルネスソリューション構築に向けた3つの事業化促進プロジェクトを選定しました
※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です。(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
■前回の紹介記事はこちら。
連載都庁舎の周りで5Gミリ波の実効速度を調べてみました
※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画
皆さんこんにちは! 東京都では、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」の実現に向け、先端技術等を活用した分野横断的なサービスの都市実装を目指しています。
この取組の一環である、「次世代ウェルネスソリューション」構築支援事業では、健康・医療といったウェルネス分野におけるデータを活用した予防研究や新たなサービスの開発につながる社会実装モデルを検討するため、株式会社NTTドコモ、株式会社CureApp、株式会社べスプラがそれぞれ中心となって行なう、将来的な事業化を目指す3つの事業化促進プロジェクトを選定いたしました。
今回はこの3つのプロジェクトについて概要を紹介します。
株式会社NTTドコモを中心とした実証
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTデータ経営研究所(以下、NTTデータ経営研究所)と協力して、スマートフォンの日常使いから、『フレイルリスク』を見える化し、行動変容につなげるプロジェクトを提案し、データを活用した東京都の「次世代ウェルネスソリューション」構築支援事業における事業化促進プロジェクトとして選定されました。
フレイルリスクと行動変容の課題
フレイルは本人が気づかないうちに進行することから、健康状態からフレイルになる手前でフレイルのリスクを提示することで、気づきを促し、健康的な行動に誘導する必要があります。従来のフレイル判定方法は、定期的な健康診断時に、握力測定やフレイルチェックリストへの回答などで推定するものであり、健康診断参加者のみのリスク把握しかできないことが課題となっていました。
また、リスク把握後の健康状態を改善するために行なわれる治療や提案、アドバイスをお伝えする方法が限定されるため、効果的な行動変容につなげにくいことも課題となっていました。本プロジェクトを通じて、課題の解決を検討します。
なにげない生活の中で、フレイルリスクを「見える化」
まず、プロジェクト参加に同意いただいたスマートフォンを保有する参加者に通常の生活を送ってもらい、スマートフォンのログを収集した後、フレイルを自動で解析する「フレイル推定AI」に情報を送ります。「フレイル推定AI」がフレイルのリスクを推定し、リスク推定の結果を本人へお返しすることで、QOLの向上、取り巻く家族等に対し安心感を提供することを目指します。そして、「見える化」による介護予防のサービスの活用促進、スクリーニングの効率化の検討を行ないます。
効果的な介入をデータベースがサポート
行動経済学に基づいた「人間情報データベース」を活用したクラスタ分析などの実施を通じて、住民それぞれの、思考や行動の傾向に寄り添いながら、個々のフレイルリスクの要因に効果的な介入方法の開発および行動変容を確認します。
※「人間情報データベース」は、約5万人分の個人の性格、文化、認知バイアスなどの人間特性を把握したデータベースです。
独自技術を事業化へ
本プロジェクトは、スマートフォンのデータからフレイルリスクを推定(特許出願中)し、行動変容につなげるため、実証実験契約締結後から2022年3月下旬まで実施することを検討しており、2022年度以降の事業化を目標に取り組んでおります。
プロジェクト実施後の未来 ~企業との協創~
プロジェクトの実施後も、「フレイル推定AI」を高齢者施設や、健康食品会社や健康機器メーカーへ提供するなど、ヘルスケア企業との協創を検討していきます。参加者の健康診断のデータや気候情報などのオープンデータを収集し、「フレイル推定AI」に集約することでAIの精度の向上を目指します。
今後に向け
今後もAI技術をスマートフォンアプリと連携させ、なにげない生活の中で自然と人々が健康になれる、そんな世界観をドコモは実現していきます。そして、医療、ヘルスケア領域における課題解決に貢献していきます。
株式会社CureAppを中心とした実証
高血圧重症化予防の重要性
2025年頃には東京都の人口は減少に転じ、「団塊の世代」が75歳以上になるなど高齢化がさらに進むと想定されています。それに伴う医療費増大への対策を講じるとともに、65歳健康寿命の維持・延伸を図るために、保健事業により早期に健康増進および疾病の重症化予防に介入し、都民QoLを向上させることが重要となります。
東京都の生活習慣病のレセプト件数においては、高血圧症が他の疾病と比較して、すべての年齢階層において多くなっています。(東京都の健康・医療情報にかかるデータ分析事業報告書)
高血圧が重症化することで脳血管疾患や虚血性心疾患へ繋がり、身体的負担は非常に大きくなります。そのため、高血圧に対し、早期からの生活改善や食事管理が重要であり、高血圧重症化予防の取組みを行なうことが求められます。
保健事業のシステム化と遠隔化
このような現状に対し、アプリを通して個別最適化された高血圧重症化予防ガイダンスを自動で提供し(システム化)、 併せてオンラインカウンセリング(遠隔化)も組み合わせることで対象者の意識・行動変容を促し、正しい生活習慣の獲得をサポートするプログラムの構築を図ることとしました。
今回の実証では、将来的なアプリの開発およびプログラムの構築のため、高血圧予防に特化したオンラインカウンセリングおよびe-ラーニング、血圧計を用いた血圧モニタリングを行なうことで、基礎データの収集と検証を行ないます。
「健幸都市・多摩」を目指す多摩市との連携
本実証は多摩市と連携して行ないます。多摩市では、現在、「健幸都市・多摩」の実現に向けてまちぐるみで様々な取組みを進めており、将来、高血圧重症化予防プログラムの構築が市民、都民の健康増進に寄与していくことを期待しています。
オンラインカウンセリング
保健指導を受ける方のご負担を考え、実証プログラムでは管理栄養士、看護師等がオンラインで生活習慣改善のサポートを行ないます。オンラインを活用することで、利用者のライフスタイルに合わせて、非接触で生活習慣改善に関する最適なアドバイス、サポートを受けることができます。
専用のコンテンツで日々の生活習慣をサポート
動画コンテンツによっても、日々の生活習慣改善のヒントを提供します。利用者に合った高血圧重症化予防ガイダンスとして、食事、運動、睡眠などに関する知識や、行動改善を働きかける情報を継続的に提供し、健康活動の習慣化をサポートします。
血圧のモニタリング
さらに、血圧計を活用しながらプログラム期間中の血圧をモニタリングし、数値の変動をしっかりと確認します。日々の状況を管理することで、生活習慣の改善を目指します。
今後について
今後、実証にご参加頂ける方の募集と、プログラムの提供を開始し、生活習慣の改善に繋げることができるかを検証します。
生活習慣の改善を図ることはもちろんのこと、自身の健康に意識を向け、実際にプログラムに参加するという行動を起こしてもらうことも重要です。実証では多摩市と連携しながら多くの住民の方に情報を届け、多くの参加を促すことが第一ステップとなります。
当該実証は始まったばかりですが、実証を通して効果的な保健事業のアプローチ手法、遠隔化およびシステム化によるコストパフォーマンス向上の可能性を確認していきます。
株式会社べスプラを中心とした実証
「脳にいいアプリと健康ポイントを活用した持続可能なウェルネスプラットフォーム構築」とは
株式会社ベスプラが超高齢社会の課題解決に対して実施する、元気で輝ける100年時代の先駆け事業として、八王子市において実施中である「脳にいいアプリと健康ポイントサービス」の仕組みに「健康に資する事業者の商品およびサービス」を新たに連携しプラットフォーム化することで、地域の健康ニーズとマッチングさせます。そして、より健康に対する意識の高い社会の実現を目指し、当該プラットフォームの収益を市内の店舗で使える健康ポイントの原資に補填することで持続的なエコシステムを創成し、地域店舗の活性化や地域雇用の促進を目指します。
超高齢社会向けの健康アプリ「脳にいいアプリ」とは
認知症研究における世界的権威のカロリンスカ研究所(※1)が実施したフィンガー研究(※2)をベースに、各種脳科学に基づいた「運動」「食事」「脳トレ」の研究エビデンスを用いて開発されたアプリです。
※1 カロリンスカ研究所:スウェーデンに所在するノーベル生理学・医学賞の選考委員会がある世界最大の医学系教育研究機関。
※2 フィンガー研究:2009-2011年にかけて、フィンランドで行なわれた「高齢者の生活習慣への介入による認知機能障害予防の研究」。千名以上を対象に、食事指導・運動指導・認知トレーニング・生活スタイル指導などの複数の介入を組み合わせることが、軽度の認知機能障害の進行の抑制に有効であることを、世界で初めて証明した研究。
ウェルネスプラットフォームを構築し、サスティナブルな健康施策へ
本ウェルネスプラットフォームは、様々な健康に資するサービスや商品をお持ちの企業が参加し、シニア世代へ「脳にいいアプリ」を通じて、健康情報/商品/サービスを提供することで収益を上げていきます。その収益を上記「健康ポイント」の原資に充てることで、自治体の負担を軽減させサスティナブルな健康増進および地域振興が期待できるものです。2021年に参加企業や要件を固め、2022年に構築・実証を開始します。
最後に
今回は、都内での次世代ウェルネスソリューション構築支援事業の事業化促進プロジェクトについてご紹介してきました。今後、各実証実験関係者は創意工夫と情熱で、社会実装に向けて大きな一歩を踏み出していきます。実証実験の結果などは追ってご紹介させていただきたいと思います。
なお、以前ご紹介しました次世代ウェルネスソリューション構築支援事業におけるモデルプロジェクトとして支援しておりますKDDI株式会社を中心とした実証は2021年10月18日からスタート! 詳細は実証に参画している各自治体の案内をご覧ください。
https://kddi.healthcare.auone.jp/toshima?medid=twitter&serial=tsm_tky_tw001_001_2021&srcid=0050
https://kddi.healthcare.auone.jp/edogawa?medid=twitter&serial=edgw_tky_tw001_001_2021&srcid=0052
https://kddi.healthcare.auone.jp/itabashi?medid=twitter&serial=itbs_tky_tw001_001_2021&srcid=0051
デジタルサービス局では、今回紹介しました事例に限らず、これからも、デジタルの力で社会を変える取組を支援していきたいと思います。
◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります