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特許から見るデジタルセラピューティクス(DTx)

2022年02月14日 07時00分更新

・サスメド社

 不眠症治療支援装置に関する特許:特許6245781、特許6928413

 特許6245781は、2016年10月11日に出願され、2017年11月24日に登録されました。本件は、中国、欧州、韓国、メキシコ、アメリカへも出願されており、韓国、アメリカで特許となっています。また、特許6928413は、2021年3月9日に出願され、2021年8月11日に登録されました。

 それぞれ請求項1の記載を確認します。

特許6245781
【請求項1】
 ユーザの就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻、起床時刻に関する情報に基づいて、上記ユーザの睡眠効率を算出する睡眠効率算出部と、 上記睡眠効率算出部により算出される上記睡眠効率に基づいて、上記ユーザの就寝時刻および当該就寝時刻より第1所定時間前における眠気テストの実施時刻を設定する時刻設定部と、 上記時刻設定部により設定された実施時刻またはそれより第2所定時間前もしくは後の時刻になったときに、上記眠気テストの実施を促すメッセージを上記ユーザに提示する催告メッセージ提示部とを備えたことを特徴とする不眠症治療支援装置。
特許6928413
【請求項1】
 ユーザの就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻、起床時刻を示す情報に基づいて、上記ユーザの睡眠効率を算出する睡眠効率算出部と、 上記睡眠効率算出部により算出される上記睡眠効率に基づいて、目標の就寝時刻を設定して上記ユーザに通知する就寝時刻設定部と、 上記就寝時刻設定部により設定された目標の就寝時刻を上記ユーザが所定期間内において遵守しているか否かの状況を表す遵守状況指標値を算出する遵守状況指標値算出部とを備え、 上記就寝時刻設定部は、上記睡眠効率算出部により算出された上記睡眠効率が第1所定値未満であり、かつ、上記遵守状況指標値算出部により算出された上記遵守状況指標値が閾値以上の場合、前回設定された就寝時刻よりも遅い時刻を次回の就寝時刻に設定し、上記睡眠効率算出部により算出された上記睡眠効率が上記第1所定値未満であり、かつ、上記遵守状況指標値算出部により算出された上記遵守状況指標値が上記閾値未満の場合、前回設定された就寝時刻と同じ時刻を次回の就寝時刻に設定し、上記睡眠効率算出部により算出された上記睡眠効率が第2所定値以上の場合、前回設定された就寝時刻よりも早い時刻を次回の就寝時刻に設定する ことを特徴とする不眠症治療支援装置。

 こちらは、ベッド等の寝床にいる全体の時間のうち、実際に眠れている時間の割合を表す「睡眠効率」に基づき、就寝時刻を調整することで、患者の行動変容を促し、不眠症を解消する発明となっています。

 具体的には、特許6245781では、睡眠効率に基づいて就寝時刻と、眠気テストの実施時刻を設定するようにしています。また、特許6928413では、設定した就寝時刻を遵守できたかに基づいて就寝時刻をより詳細に設定するようにしています。

 臨床試験において有意性と安全性が認められた機能がどのようなものか、明確に把握することはまだできませんが、出願と登録のタイミングを考慮すると、特許6928413の内容まで含まれていると考えられます。

 このことから、サスメド社が薬事承認を取得しようとしている機能は、特許6245781、特許6928413により、特許として保護されていると予想できます。また、FDAへの薬事申請がされているかの情報はまだありませんが、米国においても特許を取得していることを参照すると、将来的な申請を目指しているかもしれません。

 なお、サスメド社は、不眠症治療支援装置に関する特許以外にも、事業の柱である「治療用アプリの開発」と、「臨床試験の効率化推進」について、事業毎に複数の特許を別途保有しています。

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