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特許から見るデジタルセラピューティクス(DTx)

2022年02月14日 07時00分更新

CureApp、サスメド、Save Medicalのそれぞれの知財戦略

・CureApp社

 禁煙患者のためのプログラムに関する特許:特許6116769、特許6339298

 特許6116769は、2015年5月1日に出願され、2017年3月31日に登録されました。本件は、中国、欧州、香港、アメリカへも出願されており、アメリカで特許となっています。また、特許6339298は、2017年4月20日に出願され、2018年5月18日に登録されました。本件は、中国、欧州、アメリカへも出願されており、アメリカで特許となっています。

 以下、それぞれ請求項1の記載を確認します。

特許6116769
【請求項1】
 禁煙患者のために使用されるプログラムであって、コンピュータに、 患者が使用する電子装置である患者側電子装置から、患者の現在の体調を示す情報の入力及び禁煙診療履歴情報の少なくとも一方に基づいて決定される患者解釈情報取得タイミングで、患者によって前記患者側電子装置に入力された、喫煙に関連する事項についての患者の解釈を示す患者解釈情報を受信する段階と、 受信された前記患者解釈情報と前記喫煙に関連する事項についての正答情報とを比較して、前記患者の喫煙に関連する事項についての解釈が誤りであるか否かを決定する段階と、 前記患者の解釈が誤りであると決定された場合には、前記正答情報に基づいて、前記患者の喫煙に関連する事項についての誤った解釈を正すための情報を含む認知行動療法情報を前記患者側電子装置へ送信する段階と、 を実行させるプログラム。
特許6339298
【請求項1】
 禁煙患者のために使用されるプログラムであって、コンピュータに、 患者によって入力された喫煙の有無を示す申告情報を受信する段階と、 喫煙状態を示す生体指標の濃度を測定する生体指標濃度測定器によって測定された前記患者の生体試料の生体指標濃度測定値を受信する段階と、 前記生体指標濃度測定値及び生体指標濃度基準値に基づいて、前記生体指標濃度測定値と前記申告情報との整合性を判定する整合性判定段階と、 整合性判定結果に基づいて、前記患者に対して実行する禁煙治療法のための禁煙治療情報を生成する段階と、 前記生成された禁煙治療情報を患者側装置に送信する段階と、 を実行させるプログラム。

 CureApp SCニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーでは、 患者アプリは、COチェッカーを用いて測定された呼気一酸化炭素濃度の測定結果、患者が入力した喫煙状況、患者アプリからの質問に対する応答内容等に基づき、ニコチン依存症の理解及び禁煙に関する行動変容の定着を促すメッセージ、動画等を提供するようにしています。

 特許6116769では、「患者アプリからの質問に対する応答内容に基づき、ニコチン依存症の理解を促すメッセージ、動画等を提供」することが記載されており、特許6339298では、「CO チェッカーを用いて測定された呼気一酸化炭素濃度の測定結果、患者が入力した喫煙状況に基づき、禁煙に関する行動変容の定着を促すメッセージ、動画等を提供する」ことが記載されています。

 CureApp SCニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーで実装されている機能は、特許6116769、特許6339298により、保護されていることがわかります。

 また、CureApp社は同様の特許をアメリカでも取得しています。まだFDAからの承認は出ていませんが、米国子会社も存在しており、FDAへの薬事申請を日本オフィスと連携しながら進めています。米国でも薬事承認を取得し、特許を取得することで、米国においても事業を優位に進めるようにしています。

 このほか、CureApp社では、健康関連情報管理のためのプログラム、及び肥満患者のためのプログラム等の特許についても別途保有しています。また同社は「治療アプリ」について2016年1月22日に商標登録を受け、「処方アプリ」について2017年1月13日に商標登録を受け、「~治療アプリ」について、2021年に複数の商標登録を受けています。商標も利用して優位な立場を築こうとする姿勢が伺えます。

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