ゲーミングにもリモートワークにも超オススメの省スペースなプレミアムPC
Mini-iTXなのに水冷仕様の第12世代Core+GeForce RTX 3060!Premium-Line Z690FD-Mini/D5がスゴイ
小型でもインターフェースが豊富!
ネットワーク機能は最新のWi-Fi 6+2.5GbE
インターフェースも豊富だ。背面にはUSB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)をサポートするType-Cのほか、USB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応Type-Aが3ポート、USB 3.2 Gen 1(5Gbps)対応Type-Aが2ポート、USB 2.0対応Type-Aが2ポートを備えるため、まず困ることはないだろう。
前面にはUSB 3.1 Gen 2(10Gbps)対応Type-Cが1ポート、USB 3.0(5Gbps)対応Type-Aを2ポート備え、ヘッドセット端子も搭載。普段使いで常時接続しているマウスやキーボードであれば背面でも問題ないが、USBメモリーやゲームパッド、ヘッドセットなど、一時的に接続するものであれば着脱しやすいフロントで運用したい。特にUSB Type-Cは最近対応機器が増えてきているだけにありがたい。
ネットワーク機能も見逃せない。有線LANポートは最大2.5Gbpsに対応する高速な2.5GbE。家庭内やSOHOなどのLANを高速化したい人にとっては嬉しいポイントだろう。最近は低価格な2.5GbE対応ハブも登場してきているだけに、新PCの購入を機に高速化するというのもアリだろう。
また、無線LANは最大2.4Gbpsを実現するWi-Fi 6に対応。有線LANがあれば必要ないとも言えるが、間取りの都合によってはLANケーブルで接続できないこともある。そういった場合でもWi-Fi 6があれば、有線に見劣りしない速度で接続できるわけだ。なお、Bluetooth 5.2にも対応しているので、無線デバイスも運用しやすい。省スペースなリモートワークPCとして運用したい人も注目してほしい1台だ。
PCの内部やハードウェア面の紹介はこのくらいにして、続いて性能面をチェックしていこう。なお、今回試用した構成は標準構成からSSDを1TBに増量し、OSをWindows 11 Homeに変更したものだ。
Premium-Line Z690FD-Mini/D5 | ||
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標準構成の主なスペック | 試用機の主なスペック | |
CPU | インテル「Core i7-12700K」(12コア/20スレッド、最大5GHz) | |
CPUクーラー | Fractal Design「Celsius S24 FD-WCU-CELSIUS-S24-BK」(簡易水冷、240mmラジエーター) | |
マザーボード | GIGABYTE「Z690I AORUS ULTRA」(インテルZ690、Mini-ITX) | |
メモリー | 16GB×2、DDR5-4800 | |
ストレージ | インテル「SSD 670p Series SSDPEKNU512GZ」(512GB M.2 SSD、PCIe 3.0、システムドライブ) | インテル「SSD 670p Series SSDPEKNU010TZ」(1TB M.2 SSD、PCIe 3.0、システムドライブ) |
グラフィックス | MSI「GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC」(GeForce RTX 3060、12GB GDDR6) | |
無線機能 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 | |
電源ユニット | Fractal Design「Ion SFX-L 650 Gold」(650W、80 PLUS GOLD) | |
PCケース | Fractal Design「Era ITX Silver」(Mini-ITX、ミニタワー) | |
OS | Microsoft「Windows 10 Home 64bit」 | Microsoft「Windows 11 Home 64bit」 |
まずは最も気になるCPU性能をチェック!
温度は気になるもののミドルタワーと遜色なし
Premium-Line Z690FD-Mini/D5はCPUにCore i7-12700Kを採用している。Pコア8基+Eコア4基で12コア/20スレッド構成となるCPUだ。すでにいくつもの記事でベンチマーク結果が出ている通り、その性能は従来のCore i7とは一線を画す性能となっている。
ただし、CPUの性能の高さは消費電力や発熱の高さにもつながることが多い。いくら水冷クーラーで冷やしているとはいえ、Premium-Line Z690FD-Mini/D5は小型PCだ。どうしてもミドルタワーなどの大型PCと比べてしまうと冷却性能に不安が残る。そこで、CGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R23」を使って、CPUの性能を測ると同時に、その温度もチェックしてみることにした。
ほかのCore i7-12700K搭載PCで計測すると、Multi Coreのスコアーは22000ptsを超えることが多い。それゆえに、Premium-Line Z690FD-Mini/D5の21571ptsというスコアーは少し低めに感じる。ただし、Single Coreは1941ptsで、ほかのPC環境と比べても遜色ないどころか、やや高めとも言えるスコアーだった。
では、この微妙なスコアー差はどこで生まれるのだろうか? モニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」を使ってCPUの挙動を見てみたところ、かなり早い段階からCPUの温度が90度に達し、サーマルスロットリングによる速度低下が確認できた。といっても、動作クロックは4GHz以上を維持しており、そこまで大幅に落ちているわけではない。しかし、この挙動がMulti Coreのスコアーに影響を及ぼしているのは確かだ。
そこで、トップのウッドパネルを付属のメッシュパネルに変更し、ラジエーターの熱をより逃がしやすくしたうえで、CINEBENECH R23を再度実行してみた。結果はSingle Coreのスコアーこそほぼ変わらなかったものの、Multi Coreのスコアーは21571ptsから22165ptsへ上昇。タワー型PCと遜色ない性能に上昇した。
メッシュパネル時のCPUの挙動も早くから90度まで上昇するという点は同じだ。サーマルスロットリングによる速度低下もまったくないわけではない。しかし、動作クロックが4.1~4.3GHzくらいまで上がることがウッドパネル時よりも多く、この差がスコアーに影響したようだ。この挙動をもう少し詳しく比較してみよう。
CPUパッケージ温度はウッドパネル時もメッシュパネル時もほぼ変化はなく、どちらも90度前後で安定。それもそのはずで、90度を超えないよう制御されているからだろう。では、動作クロックはどう変化しているのか見ていこう。次のグラフは平均動作クロックの推移を示している。
動作クロックは明らかにメッシュパネル時のほうが高く、これがMulti Coreテストの結果に影響したことは明白だ。パネルを変えることで冷却効率が良くなり、わずかながらだが動作クロックの上昇に結び付いたということになる。ゆえに、性能重視のユーザーはメッシュパネルへの交換をオススメしたい。もちろん、見た目的に木目よりもメッシュのほうが好みという方は最初からメッシュパネルでもいいだろう。
とはいえ、これはあくまでCPUのスレッドがフル稼働するような非常に高い負荷をかけた場合の話だ。つまり、CGレンダリングや動画エンコードなど、長時間にわたって高負荷が続くような用途のことである。ゲームや一般用途ではここまでCPUに負荷がかかることはそうそうないため、ウッドパネルでもメッシュパネルでも性能への影響はほぼないので、特に気にしなくてもいいだろう。
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