ゲーミングにもリモートワークにも超オススメの省スペースなプレミアムPC
Mini-iTXなのに水冷仕様の第12世代Core+GeForce RTX 3060!Premium-Line Z690FD-Mini/D5がスゴイ
サイコムの「Premium Line」はFractal Designとタッグを組み、高品質を追求したデスクトップPCシリーズだ。基本は1年間となる保証を2年間に延長しているだけではなく、構成パーツを信頼性の高いメーカーのものを厳選することでクオリティーを高めている。また、無償でオーバーホールを頼める権利が1回付属するほか、有償にはなるがパーツ換装などのアップグレードサービスまであるなど、「1台のPCを長く使いたい」という人にピッタリな製品群となっている。
その中でも注目したいモデルが、Mini-ITXフォームファクターを採用した「Premium-Line Z690FD-Mini/D5」だ。コンパクトな筐体ながら、GeForce RTX 3060採用ビデオカードを標準装備し、高解像度設定はもちろんレイトレーシング対応タイトルでも快適にPCゲームがプレイできるだけの実力を備えている。また、マザーボードはGIGABYTEの「Z690I AORUS ULTRA」、CPUは第12世代インテルCoreプロセッサー(以下、第12世代Core)のCore i7-12700K、メモリーはDDR5を採用し、最新かつ妥協のないハイスペック構成となっている。
もちろん、本体サイズの制限からハイエンドのビデオカードは搭載できないものの、それでもBTOメニューにはGeForce RTX 3060 Ti搭載モデルまで用意。ゲーミングPCとして十分活躍できるポテンシャルがある。そして、CPUクーラーは驚くことに240mmラジエーターと大きめの簡易水冷モデル「Celsius S24」を採用している。この小さな筐体に一体どんなふうに収めているのか? PCの内部からその性能まで細かくチェックしていこう。
気になる内部を徹底チェック!
コンパクトだからこそ簡易水冷が理想
一般的に、空冷クーラーの性能はファンの風量とヒートシンクの面積で決まる。もちろん例外はあるが、基本的にはファンの回転数が高いもの、ヒートシンクが大きいものほど冷却性能が高い。一方で、水冷クーラーは熱の移動に水を使うという違いはあるものの、基本的な冷却の仕組みは空冷クーラーと同じ。CPUから移った水枕の熱をポンプでラジエーターに移動させ、ファンの送風で冷ましている。基本的にはファンの回転数やヒートシンク(あるいはラジエーター)のサイズで冷却性能が大きく変わる点も同じだ。では、空冷と水冷、最大の違いはどこか? それは設置スペースだろう。
空冷クーラーはCPU周辺にある程度のスペースがあれば設置できるが、水冷クーラーの場合、水枕にチューブ、ラジエーター、ファンと構成パーツ数が多い。そのため、水冷クーラーは十分な設置スペースがあるミドルタワーPC以上で採用されることが多い。それだけに、サイズ166(W)×325(D)×310(H)mmとデスクトップPCの中ではだいぶコンパクトなPremium-Line Z690FD-Mini/D5に搭載している点に驚くわけだ。
まず目に入ってきたのは、中央で大きくうねっている水冷クーラーのチューブだ。しかし、必要十分なスペースで処理されており、無理に曲げることなくゆるくカーブしているため、水流が阻害されるといった心配もない。ほかのケーブルもキレイに束ねられ、配線に無駄がない。小型PC特有の狭さい空間の中、ギュウギュウに押し込められているわけではなく、わりと余裕のある組み立てになっているのだ。
PCケース上部にある240mmのラジエーターにも注目してほしい。コンパクトなPCケースだけにサイズはギリギリだが、絶妙に収まっている。PCケースも水冷クーラーも同じ会社のものだからできる芸当だろう。自作PCユーザーの間でも人気のあるメーカー、Fractal Design」らしい完成度の高さだ。もちろん、PCパーツは揃っていてもMini-ITXベースのPC自作は難易度が高い。無駄なくキレイに仕上げられるためには、確かな組み立て技術が必要になる。そういう意味では、サイコムらしいレイアウト技術が光る1台とも言える。
なお、空冷クーラーはPCケース内に熱を逃がすため、エアフローが悪いとPCケース内の温度が上がり、冷却効率は悪くなる。特に小型PCケースは容積が小さいため、PCケース内の温度が上がりやすい。その点、水冷クーラーはCPUの熱を逃がすラジエーターを外気と面するスペースに設置できる。小型PCケースなら無理に水冷クーラーを使わなくても……と思ってしまうところだが、むしろ内部が狭いPCケースだからこその選択なのだろう。
そして、PCの大きな熱源はCPUだけではない。GPUを擁するビデオカードもうまく冷却しないと、本来の性能を発揮できない。Premium-Line Z690FD-Mini/D5のビデオカードはPCケースの最下部に配置しているため、吸気面で不安になるかもしれない。しかし、側面の下部近くに吸気口があり、ここから常に冷たい外気を取り込んでPC背面から排気する構造なので心配ない。とはいえ、ビデオカードからの熱はバックプレートからも逃げるため、多少はPCケース内の温度が高くなってしまうだろう。そういった熱はPCケース内の背面ファンなどでしっかりと排出できるレイアウトになっている。
最近のPCはストレージにM.2のSSDを採用することが多く、SATA接続のSSD/HDDを内蔵しないモデルが増えている。しかしながら、やはりSATA接続のストレージのほうが容量単価が安いものもある。速度が求められるシステムドライブと異なり、データドライブはそこそこの速度で良いという人も多いだろう。Premium-Line Z690FD-Mini/D5のPCケース「Era ITX」は、コンパクトながらもSATA接続のストレージ増設にも対応している。側面のブラケットを使うことで、3.5インチなら1台、2.5インチなら2台まで増設できる。
Premium-Line Z690FD-Mini/D5はこのブラケットギミックなど、空間を無駄にせず、かといって詰め込み過ぎない絶妙なバランスに優れたPCだ。裏側もすっきりしており、限りあるスペースを最適に有効活用している。Mini-ITXベースの小型デスクトップPCでここまで拡張性があるPCはなかなかない
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