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第45回NEDOピッチ「デジタルコンテンツ ver.」レポート

技術の進歩が生む新領域「メタバース」への潮流

2022年03月25日 12時00分更新

VR技術を用いた手術支援サービスや教育プラットフォームで医療の2025年問題を解決する
Holoeyes株式会社

 Holoeyes株式会社はVR/ARなどのXR技術を用いた手術支援サポートサービスや医療向け教育プラットフォームを提供している。すでに医療現場ではCTスキャンのデータから3Dデータを生成し、腫瘍の大きさを測ったり手術内容の検討を行う際の参考データとして活用している。しかし現時点ではそれを通常のディスプレイの2D空間に表示しており、Holoeyesのサービスはこれをバーチャル3D空間に投影することによって、より現場のニーズに即した手術支援サービスや教育プラットフォームを実現している。

 手術支援サービスとしては、手術する前に肺の気管支や動脈、静脈などの情報を3D画像で確認できる。これにより2D画像では見えてこなかった三次元的な形状が容易に把握できる。また腎臓結石では、石を針で刺してレーザーで砕く手術を行う際、刺すべき針の位置をシミュレーションしてVRで表示するといったことも可能になっている。

 また、VR空間を用いた遠隔カンファレンス機能も提供している。複数の医師が協調して手術手順について事前の検討を行う場合、現状のZoomなどの遠隔会議ツールでは3D情報が欠けてしまう。VRヘッドセットを用いた3次元空間内で遠隔会議を開催することにより、より精度の高い情報交換を行うことができる。

 続いて医療教育サービスでは、現状行われている紙ベースの教科書ではなくVRを使った3D画像や音声データを用いた教材を開発するプラットフォームを提供している。VRを用いることにより各生徒の手元で立体的な解剖3Dモデルを見ることができ、非常に教育効果が高いという意見を教育現場から得ている。

 医療には、団塊の世代が後期高齢者に以降する事による、2025年問題と言われる医療従事者が絶対的に足りなくなると予測されている課題がある。これを解決するためには、Holoeyes社が開発しているようなシステムを通じて臨床データを蓄積し、それを教育や医療現場で活用していく工夫が必要だと谷口氏は語る。VR/MR技術を活用した手術支援サービスや教育サービスの開発・運用を通じて3Dデータを蓄積し、同社独自のエコシステムを構築していくことを狙っている。

Holoeyes株式会社
代表取締役 谷口 直嗣氏

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