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「Radeon RX 6500 XT」の絞り込まれたスペックは格安ビデオカードの定番となれるか?

2022年01月19日 23時00分更新

検証環境は?

 今回RX 6500 XTのパフォーマンスを検証するために以下のような環境を準備した。比較対象として1ランク上のRX 6600に加え、旧世代の同クラスであるRX 5500 XTと5年前の人気モデルRX 570を用意。さらにAMDが仮想敵としているGTX 1650を用意した。

 本来なら旧世代RadeonはRX 6500 XTと同じVRAM 4GB版を用意すべきだったが、時間的制約の問題から全て8GB版とした。ただGPUが旧世代でもVRAM 8GBの方が良いのか、最新でも4GBの方が有利なのかという判断の基準にはなるだろう。

 また、OSはWindows 11環境であり、仮想化ベースのセキュリティー(VBS)も有効化している。ドライバーはRX 6500 XT以外はAdrenalin 22.1.1を、RX 6500 XTは本稿公開日当日にリリースされたAdrenalin 22.1.2を使用している。

【検証環境】
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」
(16コア/32スレッド、最大4.9GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
ビデオカード GIGABYTE Radeon RX 6600 EAGLE 8G(Radeon RX 6600、8GB GDDR6)、
SAPPHIRE PULSE AMD RADEON RX 6500 XT GAMING OC 4GB GDDR6 HDMI/DP(Radeon RX 6500 XT、4GB GDDR6)、
玄人志向 RD-RX5500XT-E8GB(Radeon RX 5500 XT、8GB GDDR6)、
MSI Radeon RX 570 AROMOR 8G OC(Radeon RX 570、8GB GDDR6)、
ZOTAC ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC(GeForce GTX 1650、4GB GDDR6)
マザーボード GIGABYTE「B550 Vision D」
(AMD B550、ATX、BIOS F14e)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(16GB×2、DDR4-3200)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(1TB M.2 SSD、PCIe4.0、システムドライブ)+
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(2TB M.2 SSD、PCIe4.0、データドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11Pro」

「3DMark」ではRX 5500 XTとほぼ同じ

 では「3DMark」によるスコアー比べから検証を開始したい。Fire Strike〜Time Spy〜Port Royalまでの重量級テストを一通り動かしてみる。

「3DMark」のスコアー

“3DMarkにおいては”RX 5500 XTとRX 6500 XTの差は極めて小さい。Fire Strike系で2〜5%RX 6500 XTの方が優勢だが、Time Spy系ではほぼ同じといってよい。Port RoyalはRX 5500 XTは非対応なのでRX 6500 XTの方が有利だが、Ray Acceleratorが16基しかないRX 6500 XTの場合はDXR(DirectX Raytracing)が使えても実用的なパフォーマンスを得るのは難しいことを示している(FSRやRSR:Radeon Super Resolutionを利用して描画負荷を減らせばなんとか……という感じだ)。

 その他のGPUとの関係を見ると、RX 6500 XTはRX 6600の38%前後のスコアー減に抑えられている(DXRが絡むと87%減となるが)一方で、RX 570に対しては16〜27%のスコアー増となっている。RX 5500 XTユーザーならRX 6500 XTへの買い換えは費用対効果として今ひとつだが、RX 570ユーザーならばVRAMが半減したとしても性能向上を実感できるといえる。

 そしてGTX 1650に対しては34〜82%増なのでこれも乗り換えメリットはあるが、GTX 1650は補助電源なしで動作することを含め総合的に判断すべきだろう。

消費電力は順当に減少

 続いてはシステム全体の消費電力をラトックシステム「RS-WFWATTCH01」を用いて比較した。アイドル時とは システム起動10分後の安定値を、高負荷時とは3DMarkの“Time Spyデモ”実行中のピーク値を意味している。

システム全体の消費電力

 RX 6500 XTと6600の回路規模の違いをざっくりトランジスター数で見ると、5.4×10^9 対 11.6×10^9 なのでほぼ2倍。CU数で見ると16CUに対し28CUなので1.75倍と、圧倒的にRX 6600の方が大規模な回路になっている。にも関わらず消費電力は16%程度しか増えていない。RX 6500 XTはスペックのハンデを克服するために高クロック動作になっていることは先に解説したが、同時にそれが消費電力に影響を与えているといえる。

 今回比較に使用したRadeon全てが高負荷時が310W前後に集まっているが、GTX 1650だけは補助電源不要で動作する設計が活きた結果、消費電力はRX 6500 XTの8割程度に収まっている。

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