カッコイイ新車もいいけれど
やっぱり改造車が見たいオートサロン
近年のオートサロンは、大メーカーのニューモデルの発表の場だったりレース参戦発表の場たっだりする。それも時代の流れだし、決して悪い事だとは思わないけれど、どこか襟を正した感じで物足りなさを感じてしまう。オートサロンって、そんな場所だったかな? 僕にとって(というか元々の成り立ちが)、このイベントは「改造車の祭典」だった。ならず者や違法すれすれの改造車が集まり、もっとアンダーグラウンド的な匂いがプンプンしていたような。当然、今の時代はそういったノリは許されないのもわかっている。懐古主義かもしれないが、ちょっと寂しく思っているファンも少なくないのではないだろうか。
そんなオールドカーファンのために、会場の端に追いやられているけどここでしか会えない車たちも、沢山展示されている。今回は会場を散歩するように、展示された名車や旧車、危険な香りのする車を独断と偏見で紹介しよう。
まずはアングラな匂いのする車たちだ。こちらはランボルギーニ「アベンタドール」に、メッキ塗装を施したもの。何ともったいないと思う反面、それだけで非日常的な雰囲気を醸し出している事に驚かされる。
同じランボルギーニでも、こちらはとても目を引く「取扱注意」のペイント。ランボルギーニにこのペイント。男らしいというか、もったいないと言うか。こんな名車に、こう言うことをするのがアングラの醍醐味なのだろうか。そして、隣に並んでいたのがR34 GT-R。ブリスターフェンダーを取り付け、GT仕様にドレスアップしている。NISMOが全日本GT選手権(SUPER GTの前身)で勝ちまくっていた頃を彷彿させるデキだ。
こちらはハコスカに、風神雷神のペイントを施している。もう一台は、同系のカラーリングを施したスカイライン。とってもヤンチャな感じがヒシヒシと伝わってきて、街であったら二度見してしまいそう
そんなアンダーグラウンド車の中で、僕が一番気になったのが、いわゆるサバG。マツダ「サバンナ RX-3」のステーションワゴンだ。「まだ、現存したんだ」これが第一印象だったのだが、このチンスポイラーとオーバーフェンダーは当時の物とのこと。そして、ゆくゆくは走らせたいとのコメントが書いてあった。何とも夢のある話だ。
そして、これを見ると「オートサロンにきたな」と思わせるのが、ボディー全体に彫金を施したこちらの車。まさに問答無用。好き嫌いは大きく分かれると思うが、職人さんの仕事に拍手。これほどの仕事は、めったに見られない。一見の価値ありだと思わせる仕事っぷりだ。
次は一見地味系のチューンドカー。フィアット 500をベースにアバルトがチューニングした「595」。いわゆるチンクエチェント。これはアニメ「ルパン三世」でルパンが乗っている車の後継車と言えばわかりやすいかもしれない。詳しいスペックは書かれていなかったが、エンジンルームからはみ出しそうなエンジンを見ればただ事ではないことは想像がつく。
そしてトヨタ「セリカ XX」。これもアニメ「よろしくメカドック」の主人公が乗っていた車。エンジン自体には手を入れてないようだけど、この年式の車をこれほど良い状態に保つのは大変な努力が必要。車に対するオーナーの愛情が感じられる車だ。
ノーマルに近い外観を保った旧車たちは、オートサロンでも数少なくなってきている。たとえば、トヨタ「2000GT」などは、数年前まで何台も見られた気がしたが今年はこの一台しか見つけられなかった。ボンドカーにも選出された美しいフォルムも、見られなくなる日が遠くなさそうだ。
それは、こちらの日産「スカイライン GT-R」にも同じことが言える。ただでさえタマ数の少ないケンメリは、GT-Rの中でも超希少種だ。もはや、ここでしか見ることができないと言っても過言ではないだろう。
もちろん元祖GT-R、ハコスカとて例外ではない。この車が映画「ワイルドスピード」に出てきた時には、映画監督のセンスとリスペクトに感動した。
元祖シビックのスポーティーバージョン、RSは自分で乗っていたこともあり特別な思いがある。
最後に僕の一番好きな車、S30型のフェアレディZ。言わずもながの名車であり、数々の伝説を残した車だ。僕より若い世代には漫画「湾岸ミッドナイト」の主人公がドライブする車、悪魔のZとして有名かもしれない。その漫画でも描かれているとおり、なんとも人を惹きつける魅力がある。
その証拠に、今回のオートサロンでも一番お話題となった新型フェアレディZのデザインに大きく影響している。特に車の形を印象付けるピラーの角度や、ボンネットのデザインはS30その物だ。現代の車のデザインに、これほど大きく影響を残している車は稀だ。そんな名車たちが、会場の隅でひっそりと息づいている。僕にとってオートサロンは、そんなクルマたちに会う唯一のイベントだ。今年のオートサロンは終了してしまっているが、来年以降でもいいので、過去の名車たちが消えてしまう前に会いに行くことをオススメする。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン
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