おしえてDX!これを聞けば社内でDXが正しくはじまる DXってほんとに必要? 協同組合もIT企業もバッサリ斬る! | NoMaps Conference 2021
気持ちいい業務はデジタルになっている コープさっぽろ長谷川氏がメルカリで感じたDXのカギ
デジタル庁には”グレートファイアーウォール”を日本国で作ってほしい
さらに、デジタル庁をどう見ているか、という話題で議論が展開。この問いに対して長谷川氏は、「バズワードはどーんと出てどこかで消えていくものだが、それによって組織や人間が変わるきっかけになるようなバズワードは賛成」と、バズワードになぞらえつつ、「デジタル庁を作り、デジタルに政府も本気だという部分は応援したい」と、デジタル庁に賛成していると答えた。
同時に、「デジタル庁には”グレートファイアーウォール”を日本国で作ってほしい」と注文を付けた。現在のインターネットからの攻撃に備えるのは国防と同等であるとし、「インターネット=自由の考えがあるので反対する人が多いとは思うが、現在のようにサイバーセキュリティのすべてを企業に任せるのではなく、国防費をつぎ込んでもいいので重要な部分は国が制御するような仕組みを作ってほしい」と指摘した。
田中氏も、そもそも田中氏が副理事長を務めているソフトウェア協会が、長年デジタルを主管する省庁を作ってほしいと陳情してきたこともあって、デジタル庁には賛成で期待をしているという。
DXについては魚釣りに例えながら、「これまでは、自分で魚を釣るのではなくて、SIerが”いい魚を売ってあげますよと”とやっていたが、本当は魚を釣れるようになった方がいい。ただ、企業が魚を釣りたいと言ったら、IT企業は釣れる人を貸してあげますよと人材を派遣する。つまり、その企業が自分たちで魚を釣れるようにさせてこなかった。企業は、デジタルで失敗してもできるだけ責任をとらなくていいようにSIerに丸投げし、SIerはエンジニアを右から左に流すだけでよく、現場のエンジニアも言われたとおりに作業すれば怒られることがなかった。発注者側も受注者側もエンジニアも、今の構造にどっぷり甘えていた」と指摘。
田中氏は「DXのスタートはエンジニアを雇うことから」という持論があり、その意味でも「(デジタル庁が発足して)国がITエンジニアを多く雇用したのは、それだけでも素晴らしいと思う」と述べた。
最後に、DXを正しくはじめていくには、ということが両名に問われた。
まず田中氏はこの問いに対し、「いかに(DXの取り組みに理解を示す)仲間を増やすかということと、自分たちのITについては自分たちが責任を持つことを再認識することが重要」と回答。加えて、自分たちが気持ちよく働けることも重要であるとし、「多くの企業は自分たちが良くなることをあまり良しとせず追い込んでいく。しかし実際には楽に仕事ができて給料が上がるのはうれしいこと。これまでできなかったこともデジタルならできるようになることがたくさんあるはずなので、自分たちにとって良いものを大事にしていくことで継続的にDXが進むと思う」と、DXに取り組む場合の秘訣を述べた。
長谷川氏は、「(DXを始めるには)DXを分かっている人を外から連れてくるしかないと思っている」と回答。その理由として、「デジタルの世界観とリアルの世界観では常識が違うところがあり、それを理解している人が進めなければうまくいかないから」と述べた。ただ、「DXを展開していくのは(企業の)中の人がやる必要があり、そういった体制を作るのが重要」とも指摘し、「デジタルにするとこれまでの常識が変わる、ということを分かってDXに取り組むことが重要」と述べた。
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