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「次世代ヘルスケアプロジェクト 2021」レポート

注目は医療や介護従事者の負担軽減 アフターコロナのICTソリューション

2022年01月20日 07時00分更新

介助者などの負担を軽減するホバーマット

 名優では、ボバークラフトの原理でマットを浮かせて移乗や体位変換を容易にする「ホバーマット」の展示があった。

 患者の移乗や体位変換には力も必要で介助者などの負担になっていた。ホバーマットを使うことで移動に要する力を軽減したり、ずっと寝かされていることでの圧力の軽減(徐圧)で、床ずれなどを防ぐことが期待されている。

家族や患者向けの病状説明の遮音スペース

 東京鋼鐵では、遮音性に優れたミーティングスペースや作業スペースを作るパーティーション、ボックス「COMBOX」の展示があった。

 オーラルソニックという音を反射させる素材、構造で、外部ノイズを軽減させ、内部の会話を漏れにくくさせる効果がある。医療機関向けには、家族や患者向けの病状説明に際して使用することで、会話の内容が漏れないことでプライバシーが保たれる効果が見込まれる。

 扉のそばに立ち耳をそば立てても、話している内容が聞き取れることはなかった。

 それ以外にも、騒がしい場所で打ち合わせをすると大声になって飛沫が飛び交いやすい状況になるが、小さい声で喋ることができると飛沫感染のリスクも減るという効果を見込んでいる。

 開放的なミーティングスペースだが、周囲の音が軽減され、通常よりも声を落とした状態でも向かい側の人との会話が容易に行えた。

 部屋全体を改装すると建築基準法など様々な規制対象になるが、家具、パーティーションの扱いで設置できるのでそういった規制もなく、状況に応じて柔軟に設置や移設ができるのも特徴。空間が開放されているので換気などの面においても優れているという。

 リモートワーク、オンライン会議用の設備としては、ミーティングブースやワークスペースが簡単に作れるなど、幅広い提案になっていた。

かゆみを見える化するアプリ「ItchTracker」

 マルホでは、かゆみを見える化するアプリ「ItchTracker」の紹介があった。Apple Watchを装着するか、枕元にiPhoneを置いて睡眠中の掻き時間を計測するもので、睡眠中に体を掻き毟る掻破行動と、生活の記録をとることで、かゆみ症状の参考にするもの。

 かゆみは様々な要因で発生し、寝具に由来するものから体調や室内の湿度など様々な影響を受けている可能性がある。記録をとることで原因の参考にしたり、受診の際のメモとして提出するなどに役立ててもらいたいとしている。

 現時点ではマネタイズなどは行っていないが、今後どのように役立てていくか利用状況に応じて検討したいとのことだ。



 今回の展示会では、スタートアップも大手も、実務に寄せてきた印象があった。それだけ新型コロナウィルス感染症への対策が急務なのだろうという状況が伺えた。急速に感染状況収束してきた中、再び変異株の出現が取り立たされているが、展示内容からは「従来よりも迅速に、安全確実に対処するために」という意思が感じられるものだった。

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