2021年11月4日、第12世代インテルCoreプロセッサー(以下、第12世代Core)の登場は、驚きの声で迎えられた。ゲーミング最強CPUの座を奪還すべく投入された第12世代Coreは、謳い文句通りの性能を発揮し、ゲーミングPC界隈の情勢が一夜にして激変したのだ。
第12世代Coreは、ハイパフォーマンスな「Pコア」と、電力効率に優れた「Eコア」という異なる設計のCPUコアが同居するハイブリッド・アーキテクチャーが特徴だ。処理内容に応じて最適なCPUコアへ仕事を割り振ることで、高いパフォーマンスを維持することが可能になり、不要な電力の消費も抑えられる。これがゲームの処理にもマッチしており、高いゲーミング性能を発揮するというわけだ。
第12世代Coreの販売解禁後、BTO PCメーカー各社からは次々と第12世代Core搭載のPCが登場してきた。ゲーミングを含め、様々な用途向けのBTO PCをラインアップするSTORMからももちろん、第12世代Coreを搭載したBTO PCが登場している。
そして今回、STORMから販売されているゲーミングPC「PG-DC12T」をお借りする機会を得られた。CPUには第12世代Coreでも最上位の「Core i9-12900K」、GPUにはNVIDIA「GeForce RTX 3080 Ti」を搭載する。RTX 3080 Tiは、NVIDIAのGPUでも最上位クラスのゲーミング性能を有するGPUだ。この2つを組み合わせた最強のゲーミングPCがどれほどのパフォーマンスを見せてくれるのか、検証していきたいと思う。
試用機の主な構成 | |
---|---|
CPU | インテル「Core i9-12900K」 (16コア/24スレッド、最大5.2GHz) |
CPUクーラー | 240mm簡易水冷CPUクーラー |
マザーボード | MSI「PRO Z690-A WIFI」 (インテルZ690、ATX) |
メモリー | DDR5-4800、16GB×2 |
ストレージ | Crucial「Crucial P5 Plus SSD CT1000P5PSSD8」 (1TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
ビデオカード | INNO3D「INNO3D GEFORCE RTX 3080 TI ICHILL X4」 (GeForce RTX 3080 Ti、12GB GDDR6X) |
電源ユニット | 1200W(80 PLUS PLATINUM) |
PCケース | MSI「MPG GUNGNIR 110R」 (ATX、ミドルタワー) |
OS | Microsoft「Windows 11 Home 64bit」 |
サイズ | 215(W)×430(D)×450(H)mm |
価格 | 45万6800円 |
ARGBファンが映えるPCケースに強力な冷却システム
さて、まずはPG-DC12Tの外観からチェックしていこう。STORMのBTO PC「PG-Dシリーズ」はPCケースにMSIのミドルタワーATXケース「MPG GUNGNIR 110R」を採用するのが特徴の1つだ。このPCケースはフロントパネルの縦中央ラインが前方に張り出した三角形を強調するデザインで、さらにフロントパネルの向かって左半面がガラスパネルになっており、内部のフロントファンを視認できるようになっている。
PCケースには、ARGB対応120mmファンがフロントに3基とリアに1基標準装備されており、PG-DC12Tでも標準ファンはそのまま使用している格好だ。左半面からのみARGBファンの光が覗くこのデザインはとてもオシャレに感じられる。
PCケースの天面前部にはインターフェース類やボタンが並んでおり、USB 3.2 Gen 1 Type-A×2、USB 3.2 Gen 2x2 Type-C、オーディオ出力、マイク入力といったインターフェース類と、電源ボタン、リセットボタン、ARGB LEDコントロールボタンが備わっている。
天板は一面メッシュ加工されているため通気性は抜群。磁石で着脱可能なダストフィルターが備わっていて、メンテナンスも容易だ。天板には最大240mmまでの水冷ラジエーターを取り付け可能で、PG-DC12Tでは第12世代Coreを冷却するための240mm簡易水冷クーラーが標準搭載されている。
実は、このPG-DC12Tに搭載されている240mm簡易水冷クーラーのラジエーターが、ちょっとすごいことになっている。通常240mmラジエーターは2基の120mmファンで冷却するのが一般的だが、こちらはなんと4基のファンでラジエーターをサンドイッチしているのだ。ファン1基ぶん厚みの増したラジエーターを見ると、Core i9-12900Kの発熱量が伺える。
続けて、PC内部を詳しく見ていこう。PG-DC12TのPCケースは、奥行きが少々短いコンパクトなミドルタワー型ATXケースだが、ビデオカード長は最大340mmまで搭載可能で裏配線にも対応しており、内部空間には余裕がある。3.5インチベイや2.5インチベイもあるのでストレージの増設も可能だ。
PC内部では簡易水冷クーラーが大きな存在感を放つが、配線が綺麗に処理されているのでスッキリ整然とした印象を受ける。なお、簡易水冷クーラーと吸排気ファン合わせて計8基のファンを搭載し、うち4基はARGB対応でもあるので、配線の量は非常に多い。これらの配線が裏配線スペースをギリギリまで使って綺麗にまとめられている。さすがBTOメーカーとして長年培われた配線処理技術だと感心しきりで、もしこれを自作でやれと言われてもギブアップしてしまいそうだ。
なお、PG-DC12TにはオプションでSTORMオリジナルのゲーミングキーボードとゲーミングマウスを選択できるが、なんと現在、数量限定でこれらのセットが標準で付属するキャンペーンも開催中だ。
ゲーミングキーボードは銀軸を採用したメカニカルのテンキーレスタイプで、様々なアニメーションが組まれたRGB LEDバックライトも備わっている。銀軸らしいスムーズな打鍵感と、ストロークの途中でキー入力となる超反応スピードでFPSゲームなどに最適なキーボードだ。底面の滑り止めや角度をつけるチルトスタンドもしっかりしている。
一方、ゲーミングマウスは軽量でサイドに2ボタンを配置し、DPI変更ボタンも備わっている有線タイプのマウスとなる。これからPCゲーミングを始めようと考えている人にはとても嬉しい同梱品と言えるだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう