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10万円超えの価格で賛否渦巻くバルミューダ「BALMUDA Phone」はどんな人にマッチするのか?

2021年12月25日 12時00分更新

スマートフォンとしての実力は?

 続いてBALMUDA Phoneの独自性以外の部分、つまりスマートフォンとしての機能・性能を確認してみよう。まず性能面をチェックすると、チップセットはクアルコム製の「Snapdragon 765」を搭載、メモリーは6GB、ストレージは128GBと、スペック的にはミドルクラス相当となる。

 試しにベンチマークを取ってみたが、スコアやはり同クラスのチップセットを搭載したスマートフォンと大きく変わらないようだ。主要ゲームのグラフィック設定でも比べてみたが、「PUBG MOBILE」はクオリティーが「HD」でフレーム設定が「高」まで、「原神」はデフォルトで「低」となっており、ミドルクラスとしてはふさわしい性能を備えている。

「Geekbench 5」のCPUベンチマークの結果

「3DMark」(Wild Life)のベンチマーク結果

 もちろんBALMUDA Phoneのサイズやコンセプトを考慮すれば、ゲームや動画などのコンテンツを積極的に楽しむものではないので、性能がそこまで重要というわけではない。だが、BALMUDA Phoneは表示がダイナミックに変わるスケジューラーやメモなどを快適に動作させる必要もあり、そのためには一定の性能が必要と考えられることから、ミドルクラスの性能を備えるに至ったといえそうだ。

「原神」をプレイ。動作自体は設定次第でスムーズになるが、画面サイズが小さいこともあって快適という訳ではなく、FPSなどのプレイはかなり厳しい

 一方で、バッテリー容量は2500mAhと、最近のスマートフォンとしてはかなり少なく、やや不安を抱く部分でもある。ただBALMUDA Phoneは、スマートフォンでコンテンツを長時間利用することに力を入れておらず、通常のスマートフォンと比べれば利用頻度が減ることが見込まれるだけに、評価は使い方次第ということになりそうだ。

 ではもう1つ、スマートフォンで重要な機能となっているカメラはどうか。BALMUDA Phoneのカメラは背面のメインカメラが約4800万画素/F値1.8、フロントカメラが約800万画素/F値2.0と、特別な要素はなく非常にシンプルだ。BALMUDA Phoneはベゼル幅がそれなりにあるのだが、丸みのあるデザインゆえ側面にカメラモジュールを埋め込みづらかったのか、フロントカメラはパンチホール構造となっている。

背面のカメラは約4800万画素のものが1つのみと、割り切り方はかなりかなり潔い

フロントカメラは約800万画素。本体の丸みが影響してかパンチホール型を採用している

 カメラアプリも非常にシンプルで、「料理」「人物」「夜景」といったモードも備えてはいるものの、いずれもシンプルで凝った機能はない。その分撮影に難しさがないのはメリットだが、人物モードをフロントカメラで使えないのは残念だ。

メインカメラで撮影した写真

同じくメインカメラで入り組んだ葉の様子を撮影。最近のミドルクラスと同等の画素数を持つので細部の表現は問題ないようだ

「人物」モードで撮影。背景をぼかした撮影ができるが、メインカメラでしか利用できない

 また各機能を呼び出す際はメニューを用い、全て文字によるインターフェースとなっている。それゆえフロントカメラに切り替える際も、メニューを呼び出し「フォト」や「ムービー」モードに切り替えた後、「カメラ切替」を押す仕組みとなっている。通常のスマートフォンのカメラアプリに慣れている人からすると、やや手間に感じるかもしれない。

モードやカメラの切り替えはメニューからする仕組み。フロントカメラに切り替える時は手間に感じてしまう

ちなみにこちらはフロントカメラで撮影した写真

 なお、執筆時点のバージョンでは、「料理」モードで撮影した際に緑がかった写真になってしまうという問題が報告されていた(現在はアップデートにより改善)。筆者が撮影した限りではうまく再現できなかったが、料理モードで撮影すると色や明るさに強めの加工が入ることから、その辺りが影響している可能性が高いと考えられた。

カメラモードで撮影したところ

料理モードで撮影したところ。明るさと赤みが強くなっているのがわかる

もう1つ、デザートをカメラモードで撮影

同じものを料理モードで撮影。明るさがかなり強くなるので被写体によっては白飛びするケースも見られた

 また通信機能に関しては、物理SIM×1とシンプルだが、5Gにはしっかり対応。ソフトバンクからも販売されることから、5Gの対応周波数帯も同社に合わせた構成になっており、SIMフリー版でもドコモの4.5GHz帯には対応していない。

SIMは物理SIMのみで、シングルSIM(nanoSIM)×1とシンプルだ

 最後にいわゆる日本仕様についてだが、FeliCaには対応しておりコンパクトさもあって決済には便利だが、防水・防塵性能はIPX4・IP4Xと生活防水レベルにとどまる。水場での利用にはやや注意が必要だろう。

【まとめ】“道具”としての魅力は高いが
コスパの悪さは否めない

 数日間BALMUDA Phoneを使ってみた感想としては、「道具としては非常に便利」だということ。スマートフォンの重厚長大化が進む昨今にあって、コンパクトで手に持ちやすく、背面の触感も心地良いと感じるし、独自のスケジュールやメモなどのアプリも今までにないインターフェースで、使っているとiPhone 3Gの頃のスマートフォンを触り倒している感覚に近いものを感じる。

 一方で現在のスマートフォンで重要な要素となっている、カメラや大画面、ゲーミングなどに関するメリットはなく、それだけに利用する人をかなり選ぶスマートフォンであることは間違いない。どちらかといえばフィーチャーフォンに慣れ親しんでおり、スマートフォンを道具として使ってきた年配のビジネスマンや、ある程度スマートフォンを使いこなしており、人とは違うものを求めるアクティブシニアなどとの相性が良いだろう。

 ただ、さまざまな魅力や特徴があってもなお、コスパ重視のスマホが大勢を占める昨今の市場環境を考慮すれば、やはり10万円を超える価格にはやはり割高感がある。今後価格にふさわしい魅力を高めていく上でも、BALMUDA Phoneの特徴でもある独自アプリを追求して“道具”としての価値を高めてほしいところだ。

バルミューダ「BALMUDA Phone」の主なスペック
ディスプレー 4.9型液晶(16:9)
画面解像度 1080×1920
サイズ 約69×123×13.7mm
重量 約138g
CPU Snapdragon 765(オクタコア)
内蔵メモリー 6GB
内蔵ストレージ 128GB
OS Android 11
対応バンド 5G NR:n3/n28/n77/n78
LTE:1/2/3/4/8/12/17/18
/19/28/41/42
W-CDMA:1/2/4/5/8
4バンドGSM
無線LAN IEEE802.11ac
カメラ画素数 4800万画素(イン:800万画素)
バッテリー容量 2500mAh
FeliCa/NFC ○/○
生体認証 ○(指紋)
防水/防塵 ×(生活防水、IPX4/IP4X)
USB端子 Type-C
カラバリ ブラック、ホワイト
価格(SIMフリー版) 10万4800円
 

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