ADATAから登場したPCIe 4.0対応M.2 SSD「Premier SSD For Gamers」は、PlayStation 5(以下、PS5)の増設需要をターゲットにした新製品だ。PS5の増設用SSDの要件を満たす性能をもつだけでなく、同じく要件を満たすヒートシンクとPS5への取付ガイドを付属。ADATAでのPS5での動作検証もなされているなど、PS5ユーザーが増設用として使いやすい製品となっている。
容量ラインナップは512GB/1TB/2TBの3モデルと、必要な容量に応じて選べるようになっている。今回は中でもリーズナブルな価格の512GBモデルにフォーカスし、PS5に取り付けてゲームの起動時間や発熱などをチェックするとともに、SSDとしての基本性能についても確認した。
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→Amazon.co.jpへのリンク(1TBモデル)
→Amazon.co.jpへのリンク(2TBモデル)
あらためてPS5のSSD増設事情を整理する
PS5のSSD増設事情については、以前の記事(「PS5の増設スロットにXPGのM.2 SSDを追加! 想像以上に簡単に容量アップが可」)でも取り上げているので、ここでは簡単におさらいしておこう。
PS5は標準のストレージとして、825GBのPCIe 4.0対応SSDを搭載するが、増設用のM.2スロットも用意されている。発売当初は物理的にスロットがあるだけで利用はできなかったのだが、2021年9月のシステムアップデートで増設機能が解禁された。PS5用のゲームは1タイトルで数十GB以上の容量を占有するため、825GBでも十分とは言えないため、ユーザーにとっては待望の解禁だったわけだ。
PS5の増設用として利用できるSSDについては、公式サイト(https://www.playstation.com/ja-jp/support/hardware/ps5-install-m2-ssd/)に詳しい要件がある。標準のSSDが高性能だけに増設用SSDも、PCIe 4.0対応でシーケンシャルリードで5000MB/s以上と、かなりのハイスペックが求められるとともに、ケース内に収められるあまり背が高くないヒートシンクも必須とされており、考慮すべき点は少なくない。
現行トップクラスのハイスペックなM.2 SSDで間違いない
Premier SSD For Gamersのスペックを確認しよう。ADATAブランドはXPGブランドに比べるとより一般用途向けの製品というイメージがあるが、スペックは一流だ。シーケンシャルリード7400MB/s、シーケンシャルライト6800MB/s(2TBモデル)というのは現行トップクラスに匹敵する。シーケンシャルライト性能に関しては容量ごとに差がある。
Premier SSD For Gamersの基本スペック
Premier SSD For Gamers | |
---|---|
インターフェース | PCI Express 4.0x4 |
SLCキャッシュ | 搭載 |
DRAMキャッシュ | 搭載 |
コントローラー | Innogrit IG5236 |
ヒートシンク | 添付 |
サイズ | 80×22×3.3mm (ヒートシンク装着時高さ4.3mm) |
保証期間 | 5年間 |
Premier SSD For Gamersの容量別の公称性能とTBW
512GB | 1TB | 2TB | |
---|---|---|---|
シーケンシャルリード | 7400MB/s | 7400MB/s | 7400MB/s |
シーケンシャルライト | 2600MB/s | 5500MB/s | 6800MB/s |
PS5シーケンシャルリード | 6100MB/s | 6100MB/s | 6100MB/s |
最大ランダムリードIOPS | 425K | 740K | 750K |
最大ランダムライトIOPS | 510K | 740K | 750K |
TBW | 370TB | 740TB | 1480TB |
実物を見ると、容量に関わらずにチップ構成は共通。両面実装で、見えている側はコントローラにDRAM、そしてNANDが2基。ラベル面は見えている部分からの推測になるが、DRAMと2基のNANDと思われる。両面にDRAMを実装するという、かなりコストがかかった堅実な設計だ。
ちなみに、PS5では要件にライト性能が含まれていない。インストールや移動時以外は書き込み処理が頻繁に発生することはないのだろう。
耐久性の指標となるTBW(Total Byte Written)は512GBで370TB、2TBでは1480TB。3D TLC NANDフラッシュメモリー搭載製品の水準級以上となっており、5年保証と合わせて、信頼性の面でも安心できる製品といえそうだ。
まずはPCで性能を確認 スペックどおりの性能を確認できた
まずはPCで簡単に性能を確認していこう。テストは下記に示したRyzen 5/Windows 11 Proのシステムで行なった。
今回のテスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 3500 |
マザーボード | MSI MAG B550 TOMAHAWK |
メモリー | XPG GAMMIX D45 DDR4(PC4-25600 8GB×2) |
ビデオカード | GIGABYTE GeForce RTX 2060 GAMING OC 6G |
電源 | XPG CORE Reactor 750W |
定番のCrystalDiskMarkは、容量別にそれぞれテストしたが、公称値どおりのスコアが出ている。ランダム性能(RND4K Q1T1)も最新モデルならではの優秀なスコアだ。
なお、Windows 11環境においてCrystalDiskMarkの一部項目(RND4K Q32T16)がWindows 10環境よりも低下する事象が報告されているが、この項目でテストするQD32/16スレッドという状況はクライアントPCで発生することは考えにくく、基本的に無視しても大丈夫な項目だ。
512GBモデルについては、HD Tune Pro 5.75のFile Benchmarkも実行した。ライト性能に注目すると、170GBの手前までは2500MB/s弱の転送速度が出ており、その後750MB/s程度で推移している。つまり、SLCキャッシュの容量は最大165GB程度、SLCキャッシュ領域外の転送速度が700MB/s程度と見ることができる。
QLC NANDタイプの製品だと転送速度が200MB/s以下に落ち込んでしまうので、このテスト結果を見る限りは、NANDフラッシュメモリーはTLC NANDフラッシュメモリーと想像できる。SLCキャッシュの容量も総容量512GBであることを考えると妥当だろう。素性の良いSSDといえる。
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