1200万画素相当のシングルカメラ
料理モードは改善された
BALMUDA Phoneのカメラは4800万画素一つの単眼であり、デジタルズームやマクロ撮影には対応していない。最短撮影距離は実測で10cm程度だったので、料理の写真を撮るにはギリギリ大丈夫だろう。画素数の切り替えには対応しておらず、センサーの画素の4つのピクセルセンサーを束ねて使い取り込む光量を増やすため、撮影写真は最大1200万画素となる。
カメラのUIはシンプルであり、起動するとシャッターボタンとメニュー呼び出しボタンのみが表示される。画面上にはフラッシュの状態もアイコン表示される。メニューを呼び出すと「ムービー」「フォト」「料理」「人物」「夜間」4つのモードの切り替えと、フロントカメラの切り替え用として「カメラ切替」ボタンも表示される。詳細設定画面もシンプルで、アスペクト比変更、HDR設定、手振れ補正、音量ボタン設定など最小限だ。
なお、フロントカメラのミラー切り替えはできないため、自撮りした際は常に反転された状態で保存される。撮影後の編集画面でも左右反転はできないため、自撮りする際は別途編集アプリを入れたほうがいいだろう。
さて、BALMUDA Phone発売直後から大きな話題となったのがこのカメラの画質だ。特に料理モードにすると画面が青っぽくなってしまうケースが相次いだ。バルミューダからは12月13日にファームアップデート(ビルド番号1.010MI→1.020MI)が行なわれ、この点が改善されたという。
実際に撮影してみると、確かに青っぽい写真になるケースはなくなったようで、ひとまず「料理モード」の設定でメシマズになってしまうことは避けられたようだ。とはいえ、料理モードでの写真の仕上がりは明るさと白さが強調される傾向にあり、最適の1枚を撮影する際は、フォトモードと切り替えて数枚撮影したほうがよいかもしれない。
BALMUDA Phoneは「コンパクトで、個性的で、エレガントなスマートフォン」として開発されており、カメラ性能を競い合う最近のスマートフォンとは一線を画した製品となっている。そのためカメラはモード切替以外の操作は「シャッターを押す」だけとシンプルなUIになっており、手軽に街中のスナップ写真などが撮影できる。しかし逆光やボケ撮影はやや弱く、最近のスマートフォンのカメラと比べると物足りなさも感じられるかもしれない。以下はいくつかの作例だ。
【まとめ】他のスマートフォンにはない存在だが
ユーザー層は絞られる
小型サイズのスマートフォンは他にもあったが、BALMUDA Phoneは曲面で仕上げることにより本体を持ちやすいデザインとしている。また4.9型のディスプレーは小さいながらも必要最小限の表示は可能であり、日々スマートフォンに追われる生活から一定の距離を置くことができそうだ。Snapdragon 765の動作も「スクロールが遅い」といったこともなく、そもそも大画面で高性能なスマートフォンを求めるのならば選択肢は他に多数ある。BALMUDA Phoneは万人のための製品ではなく、この製品コンセプトを理解した人向けの製品なのだろう。
スケジューラや時計は使いやすく、他のスマートフォンでも使いたくなるデキだと感じられた。一方、カメラはベーシックな性能にとどまっており、最近のスマートフォンと比べると撮れる絵もきわめて基本的な仕上がりと言える。料理モードの改善が発売前にされなかったのは残念であるし、フロントカメラのミラーモードがOFFにできないため、本や雑誌をもって自撮りすると文字が反転してしまう。カメラ性能が売りではない製品ではあるものの、改善の余地はあるだろう。
BALMUDA Phoneを買う際に、一番気にしなくてはならないのはバッテリー容量だろう。2500mAhのバッテリー容量は最近のスマートフォンとしてはかなり小さい。スマートフォンをあまり使わない人ならこれくらいの容量でも十分かもしれないが、筆者が使ってみたところ朝家を出て夜遅く帰る途中でバッテリー切れになることもあり、モバイルバッテリーは必須と感じた。小型の本体サイズで持ちやすいにもかかわらず、モバイルバッテリーを別途持ち運ぶとなると荷物を減らすことができない。
最後に価格については、10万円を超える製品として考えるとスペックは割に合わず、コストパフォーマンスは非常に悪い。だがBALMUDA Phoneはコスパで選ぶ製品ではなく、本体のデザインやコンセプトに共感する人へ送る製品である。他のスマートフォンでは得られない体験をBALMUDA Phoneは提供してくれるはずで、そこに10万円を払えるかどうかは個人個人の判断となる。繰り返すがスペック重視でスマートフォンを買う人の製品ではないため、BALMUDA Phoneを他のスマートフォンと性能比較して選ぼうとするのはやめたほうがよい。
筆者は個人でBALMUDA Phoneを購入して実際に今も使っている。価格に関してはやはり割高だというのが実感だ。筆者はBALMUDA Phoneをメインで使うことは当初から考えておらず、サブ用途として購入した。そのため当初はBALMUDA Phoneのカメラは使うことは考えていなかったが、おサイフケータイは日々使っている。そうするとSuicaで支払い直後に何か撮影したいものがあれば、そのままBALMUDA Phoneのカメラで写真を撮りたくなる。しかしBALMUDA Phoneのカメラはフォトモードのほうがきれいに写ることもあるため「フォトと料理両方で撮り比べる」「フォトと夜景両方で撮り比べる」のように、常にモードを切り替えて撮影する癖がついてしまった。ファーウェイのカメラのような高度なAI処理がほしいのではなく、簡単に使えて「綺麗に写る」カメラを求めているのであって、この点が最も不満となっている。
またBALMUDA Phoneを買ったときに本体と合わせてケースや充電器、保護ガラスなどを購入したが、パッケージの大きさはまちまちだった。BALMUDA Technologiesという新しいブランドの最初の製品であれば、パッケージにも統一感という美しさがほしいところだ。小型サイズの製品であればこそ、すべてのアクセサリーも本体と同じ大きさのパッケージにすることはできたのではないだろうか。ちなみに過去に小型スマートフォン「Palm」を買った時、本体とケースは同じサイズのパッケージで「さすがだな」と感じたものだ。
BALMUDA Phoneは尖ったコンセプトと割り切った性能を搭載した製品であり、ターゲットユーザーも絞られる。それに加えて10万円を超える価格であることから、興味を持ったとしても購入を思いとどまる人も多いだろう。他のスマートフォンならスペックを見ればどの程度の製品なのか予想できるが、BALMUDA Phoneは実機を実際に触ってみなければその本質を理解することは難しい。BALMUDA Phoneは普通のスマートフォンとはまったく異なる付き合い方が必要な製品と言えそうだ。
バルミューダ「BALMUDA Phone」の主なスペック | |
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ディスプレー | 4.9型液晶(16:9) |
画面解像度 | 1080×1920 |
サイズ | 約69×123×13.7mm |
重量 | 約138g |
CPU | Snapdragon 765(オクタコア) |
内蔵メモリー | 6GB |
内蔵ストレージ | 128GB |
OS | Android 11 |
対応バンド | 5G NR:n3/n28/n77/n78 LTE:1/2/3/4/8/12/17/18 /19/28/41/42 W-CDMA:1/2/4/5/8 4バンドGSM |
無線LAN | IEEE802.11ac |
カメラ画素数 | 4800万画素(イン:800万画素) |
バッテリー容量 | 2500mAh |
FeliCa/NFC | ○/○ |
生体認証 | ○(指紋) |
防水/防塵 | ×(生活防水、IPX4/IP4X) |
USB端子 | Type-C |
カラバリ | ブラック、ホワイト |
価格(SIMフリー版) | 10万4800円 |
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