PCパーツ商社のアイティーシーが母体になっている「STORM」は、BTO PC製造20年の歴史を誇る老舗メーカー。メモリーやSSDなどで人気の高い「Crucial」の国内正規代理店を務めていることもあり、信頼性の高いCrucialブランドのパーツをPCに採用している点などが特長だ。
昨年、ASCII.jpで、STORMの工場を見学する機会があった。その際は、工場で実際にPCの組み立てを担当されているビルダーの方にインタビューを行った。BTO PCはゲーム用途でのモデルの人気が高い中、実際にゲームを趣味にしているビルダーの方もおり、ユーザー目線で構成されたPCのこだわりなどもお聞きすることができた。
それから1年が経ち、PC界隈を取り巻く環境は大きな変化を迎えているが、STORMの工場にも変化があっただろうか。今回、再度同社の工場にお邪魔し、その様子を取材してきた。
需要に合わせて生産ラインを強化
長引く外出自粛の影響で、“自宅でできる趣味”の人気は以前より高まり、PCゲーミングが以前より多くの人に広まっている。その結果、ゲーミングPCの需要もより高まっており、BTO PCは人気が高い。
STORMでも、以前よりさらに受注が増えているという。同社の倉庫も以前よりさらに多くのパーツが搬入されており、また、工場の生産ラインに以前よりも大きなスペースが取られていた。
以前の記事でも紹介した通り、同社の工場では基本的に1人のビルダーが1台のPCを最初から最後まで組み上げる体制になっている。BTO PCは、基本の構成をもとに、ユーザーがPCのスペックを細かくカスタマイズできる点が特徴だ。そのため、それを組み立てる手順も注文ごとに変わってくる。
製品のパーツ構成や組み立て手順が全く同じ製品であれば、大規模な工場では数人体勢のライン作業などにしている場合もある。例えば、マザーボードにCPUやメモリーなどを組み込む人→パーツが組み込まれたマザーボードをPCケースに取り付け、配線をする人→製品を梱包する人といった具合に、各人が全く同じ作業を繰り返すことで、最終的に製品が完成するといった形のほうが効率はいいだろう。
しかし、BTO PCの場合は、手順が毎回異なるため、複数人での作業では混乱が生じることもある。そこで、一から十までの手順がすべて頭に入っているビルダーが最後まで組み立てを担当する形になっているのだ。
また、PCやパーツを検証するためのスペースも以前より広く取られており、より効率的に検証ができる環境が整えられていた。PCは手順通り組み立てたとしても、時には動作上の不具合があったり、負荷をかけた場合に安定した挙動を取れなくなったりする可能性もある。
そこで、出荷前にはきっちりと動作検証を行う必要がある。STORMでは、パーツごとの検証から、組み上げたPCの動作確認まで、しっかりと確かめてから出荷している。
動作確認はもちろん、ゲームのベンチマークソフトを使って負荷をかけ、電源ユニットやCPUクーラーの性能、PCケースのエアフローといった部分まで、しっかりと実用的なPCとして組み上がっているのか、チェックを欠かさず行っているのが好印象だ。
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