シビラントの再現は重要、しかし過度では醒める
さて、音楽とは異なるASMRという「特別な音のコンテンツ」があるならば、それに向いたイヤホンが求められるのは自然な市場要求だろう。finalではE500をバイノーラルに強い左右の音情報を持つことができるイヤホンとして開発したが、当初は3D音源に強い(立体的な音の再現ができる)製品という意味で考えていたということだ。
ところが製品が市場に出てみると、購入者に占める女性の割合が高いことに気が付いた。調べてみると女性の間でASMR的なコンテンツを聴くことが好まれていることが分かった。加えて、E500を「エッチなイヤホン」とコメントする声優さんも現れ、広く知られるようになった。
しかしながら有線イヤホンではASMRコンテンツを寝ながら楽しむということが難しい。そこで装着感が良く、ソファーで横になっても使えるag COTSUBUを「ワイヤレス版のE500」のような位置づけで「ASMR向けイヤホン」して開発する方針ができたということだ。
finalが重要としたポイントはプレーヤーの没入感を高めるという点だという。具体的にいうと集中力が途切れないということだ。例えば高音が強いと集中力が途切れ、低音が強いと不自然で没入ができない。ASMRコンテンツには歯擦音が明瞭なほうあ向いているが、強調すると逆に没入感を弱める。実際にASMR好きと呼ばれている人たちは刺激成分が少ない音を好むということだ。
そのためにピークに頼らない周波数特性や自然な音づくりを考えた。イコライザーに頼ると不自然な音になりがちなので、アコースティックの部分で緻密な音響設計を繰り返したそうだ。COTSUBU for ASMRでは、単純にCOTUBUをチューニングしなおしただけではなく、新しいドライバーを採用するという徹底ぶりも見せている。
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