シェアについてもGIGAスクールの反動が見える
メーカー別シェアも発表している。
前年同期と順位に変化はないが、GIGAスクール構想の反動で、シェアの増減が見られている。
1位となったのは、NECレノボ・ジャパングループでシェアは25.4%。150万1000台を出荷した。前年同期には積極的にGIGAスクール向け製品を供給する戦略が功を奏して、シェアは34.0%と市場全体の3分の1以上を占めたが、今年度は通常運転へと移行し、シェアは8.6ポイント減少。前年同期実績の270万1000台からは、44.4%減の150万1000台と、出荷台数は大きく減少した。
2位は日本HP。前年同期比でシェアは0.3ポイント上昇し、15.6%を獲得。出荷台数は前年同期比23.8%減の92万5000台となった。
3位はデル・テクノロジーズ。シェアは14.2%と、前年同期から2.3ポイント減少。出荷台数は35.9%減の83万8000台となり、同社もGIGAスクール構想の大きな反動を受けた1社となっている。
4位が富士通クライアントコンピューティングで、シェアは前年同期から1.2ポイント上昇し、13.0%となった。出荷台数は18.0%減の77万台。前年同期はGIGAスクール向けの出荷がそれほど伸びなかったが、それが今年度は大きな影響を受けていない要因となっており、法人向け市場では12.3%減の落ち込みに留まっている。
5位がDynabook。前年同期比9.5%減の46万6000台と、減少幅を1桁台に留めた。とくに法人向け市場では、前年同期比1.6%増とプラスとなり、存在感を発揮した。シェアは、7.9%となり、前年同期から1.4ポイント上昇した。
6位のアップルは、前年度同期比20.0%増と大きく成長した。上位メーカーでは唯一出荷台数を伸ばしており、シェアも5.9%を獲得。前年同期から2.2ポイント増加した。GIGAスクール構想では、iPadが対象となったものの、Macは対象外となったことで、パソコン市場においては、前年同期は厳しい状況だったが、今年度はアップルが独自CPUを搭載した新型機を投入したプラス効果が出ているという。個人向け市場では前年同期の4位から、2位に浮上している。だが、今年の冬商戦では、アップルも半導体不足の影響を受ける可能性を指摘している。
MM総研が発表した2021年度の通期見通しは、前年比33.5%減の1148万9000台と、前年度の約3分の2に落ち込むと予想した。
「高校向けGIGAスクールや、Windows11の登場などの材料はあるが、需要に結びつくかは不透明な部分が多い」と指摘しながらも、「コロナ禍を経て、パソコンのニーズは多様化し、在宅用などの新しい市場が生まれている」と述べた。
ここでは、Chromebook では下半期以降、スマートフォン向けに強いクアルコムのチップを搭載した新製品投入が進むなど、多様化が進んでいること、日本マイクロソフトのSurface Laptopも学生向けに超低価格商品が登場したことなどをあげ、「2021年度は特需の反動によって、減少する国内PC市場だが、2022 年度下半期からは買い替え需要を中心に回復が見込まれる。メーカーは、新しい需要を活性化する魅力的な製品の提案や、技術革新が求められている」と提言した。
2021年度は市場規模の大幅な縮小は当初から想定されてはいたが、そこに半導体不足や部品価格の高騰などのマイナス要素も加わっており、より厳しい状況となっている。長期化が見込まれる市場低迷のなかで、Windows 11やChromeによる市場喚起などにも注目が集まる。
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