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ワークフロー製品「コラボフロー」が導入1000社突破!

「紙じゃないとけしからん」は減った?コロナ禍でワークフローが売れる理由

2021年12月03日 10時00分更新

 緊急事態宣言以降のテレワークの一般化で、企業にはさまざまなクラウドサービスが導入されたが、多いのはビジネスチャットやWeb会議サービスという印象だ。しかし、実際にはワークフローの検討も一気に加速しているという。ワークフロー専業ベンダーであるコラボスタイルの古市晋也氏に最新のワークフロー動向と同社のコラボフローについて聞いた。

コラボスタイル 営業部 セールスマネージャー 古市晋也氏

紙が好きな日本の経営者の意識が変化した

 「コラボフロー」はワークフロー専業ベンダーであるコラボスタイルが手がけるワークフロー製品。2013年からの発売以来、導入社数はいよいよ1000社を突破し、数十名から数千名の規模まで幅広く活用されている。なにより、継続利用率が99.55%と高いのが大きな売り。数あるワークフロー製品やグループウェアと比べ、認知度はあまり高くないが、顧客満足度は高いというのが特徴で、ITreviewのGRID AWARDも受賞している。

 コロナ禍でワークフローの商談増加は加速しているという。古市氏は「昨年の緊急事態宣言以降、商談数は3倍超に跳ね上がっています。経産省のDXレポートの中でも、優先すべき事項として「業務プロセスのデジタル化」を挙げており、それを実現するツールの上位としてワークフローが挙がることも多い」とアピールする。

コロナ禍で商談数は3倍に跳ね上がっているという

 なぜワークフローに注目が集まるのか? テレワーク実現に立ちはだかる障壁として、紙や印鑑の撤廃は避けて通れないため、承認や稟議などをデジタル化しようという動きになるからだという。松本氏は、「ビジネスチャットやWeb会議サービスって新たに導入検討されることが多いのですが、ワークフローって以前から導入を検討していて、何回も頓挫してきたという会社が多いんです。もともと導入したいと思っていたユーザーが、このタイミングで入れたいうことです」と語る。

 逆に言うと、今までワークフローが導入されなかった最大の理由は、やはり業務に根付く紙文化だ。「紙が好き、ハンコがないと困る、オンラインはいやだという人が、意思決定者に多かったというのは事実です。この抵抗感がコロナ禍で弱くなったと思います」(古市氏)。実際、最近では国がペーパーレス化・デジタル化を標榜するようになったことで、自治体や官公庁と関係する団体などでワークフローの引き合いが増えているという。

脱紙・脱印鑑の流れからワークフローの導入へ

 駒澤大学はDX推進のためにコラボフローを導入し、80以上のワークフロー、1万超の申請書類をデジタル化した。「おととしまでは学校法人には全然入らなかったんんです。案件の相談をしても、最後は紙がいいと言われてしまう。でも、昨今は電子化に積極的に取り組まれています」(古市氏)。

事業部で運用できるコラボフロー ボトムアップでの拡大も

 トップダウンで導入されることの多いビジネスチャットやWeb会議サービスといったツールに対して、ワークフローはボトムアップで導入されることが多い。「ワークフローの場合、総務や経理の方が長らく困っていて、電子化したいと思っているんだけど、トップが首を縦に振らなかったというケースがけっこうあります」と古市氏は語る。

 これに対してコラボフローは、Excelの帳票からフォームをデザインし、ボタンを配置して、承認経路を設定すればワークフローが作れる。「ワークフロー導入の最大の障壁は既存の帳票をワークフローに登録できるか。その点、Excelから作るのであれば、うちが一番簡単に作れます。コンペで負けても、簡単だったのはコラボフローだよと言われます」と古市氏は語る。帳票のデザインを変えず、そのままデジタル化するので、現場の抵抗感も低い。ここらへんは帳票にこだわる日本ならではの事情と言えるかも知れない。

3ステップで簡単作成できるコラボフローのメリット

 事業部門が情シスに頼らずワークフローを設定できるため、全社規模ではなく、部門導入からスタートできる。「正直、基幹システムとかにもワークフロー機能が付いているのですが、使い勝手が悪くて使ってないところが多い。その点、われわれは特定の承認や申請からまずスモールスタートしてみませんか?と提案します。やってみて、とにかく成果を出して、それを周りの部門に拡げたり、経営層を説得するようにします」と古市氏は語る。

 コラボフローのクラウド版を数十ユーザーから開始して、2年で4000ユーザーまで拡大したのが、製薬会社のエーザイだ。元研究部門の担当者がたくさんある紙書類を効率化したいと感じ、経営管理部に異動したのを機にコラボフローを部門導入し、ワークフローを自ら運営するようになった。今までワークフローまで手が回らなかった情シスがこの事業部での導入をサポートしたことで、各部門で利用が拡がった。典型的なボトムアップ型の利用だ。「統制とれないことを危惧して、普通の情シスは管理部門のシステム導入を止めるんですよ。でも、エーザイさんの情シスは、むしろ管理部門をサポートする側に回ってくれたんです。社風なんだと思います」と古市氏は語る。 

 業務時間や工数の削減に結びつきやすいRPAに対して、ワークフローの成果として出てくるのは決済スピードだ。「●●協会みたいな組織だと、捺印欄が30カ所あって、回覧も1ヶ月じゃ終わりません。それが回覧と捺印が同時にできるようになるだけで、本当にスピードアップします」(古市氏)。もちろん、紙からの脱却で探す手間から解放され、紙代や保管費、輸送料もかからなくなる。利用者にとっても「申請者がわかりにくい」「入力漏れが少ない」「承認が遅れると通知される」などのメリットがある。もともと導入しない理由がないワークフローだが、コロナ禍を経て、企業の導入が促進されているという状況にあるようだ。

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