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自由度の高さに衝撃を受けた3作品が現行プラットフォームで復刻

あの街、あの「自由」をリマスターで! 「グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版」で原点からGTAを堪能しよう

2021年11月30日 17時00分更新

すでに完成された多様性『グランド・セフト・オートIII』

『グランド・セフト・オートIII』

 『GTAIII』は、3D作品第一作。舞台は2001年(発売当時の時代)のニューヨークをモデルとした架空の都市「リバティーシティ」。通行人の生活、警察の手配度システムなど、街の基本的なシステムはこの「III」で完成しているから驚きだ。

 後発シリーズととくに違う点は、カットシーン中に主人公がしゃべらないことをあげたい。主人公は作中で名前を呼ばれることはなく、細かいバックグラウンドがない無頼として描かれている。後のシリーズもゲームプレイはプレイヤーに主導権があることに違いはないが、「プレイヤー=主人公」的な視点がより強調されているといえる。

同じミッションを同じようにプレイしても、警察との争いで思わぬ展開になることも多い

 20年ぶりにプレイして気がついたのは、ミッションの多様性だ。ターゲットの殺害はもちろん、人物の送迎や爆弾の設置など、3D第一作にして飽きのこないようミッションの多様性が担保されていた。リバティーシティの道を覚えつつ、やらされている感のないミッションを楽しむことができたのだ。

 前述のとおり主人公のセリフがない分、ミッション前のカットシーンはあっさりしており、ゲームプレイのテンポはより軽快となっている。サクサクとゲームを進行させたいときは『GTAIII』をプレイするのがいいかもしれない。

華やかさが随一の『グランド・セフト・オート:バイスシティ』

リマスターによってより彩り鮮やかになったバイスシティは必見

 『GTAVC』主人公は、イタリアンマフィアのトミー・ベルセッティ。舞台はマイアミをモチーフにした架空の都市「バイスシティ」。リゾート地を感じさせる色使いがなんともオシャレで、プレイをリラックスさせてくれる。昼は日差しが燦々と照りつけ、暗くなる前にはオレンジ色の夕焼けを楽しみ、夜は極彩色のネオンが街を彩っているのだ。本作のPS3以降のシリーズを含めても、この雰囲気は随一のもの。是非味わってほしい。

様々なバイクが登場

 また、搭乗可能な乗り物として「バイク」が加わった。細い路地裏や他の車を避ける必要がある追跡シーンで活躍するほか、ウィリーやジャックナイフといった「魅せプレイ」の要素も楽しい。

トミー・ベルセッティのマフィアに留まらない生き様が描かれる

 本作以降の変更点として、主人公のバックグラウンドが詳細に語られるようになった点があげられる。鉄砲玉のようにあつかわれた主人公がどう成り上がっていくのか? というメインストーリーでは、マフィアの復讐劇が描かれる。

 それに留まらず、ストリップクラブや撮影所といった物件を購入すると、サイドミッションが発生。プレイヤーのやりこみに応じて、ゲーム中でも主人公・トミーが多才な人物になっていく点が面白い。後のシリーズでのアクティビティー増加の方向性を決定づけた作品といえるかもしれない。

当時のプレイヤーこそ再体験してほしい『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス』

街の広さゆえに、描画距離の増加の恩恵を大きく受けるタイトルでもある

 舞台は1992年、アメリカ西海岸の架空の州「サンアンドレアス州」。そう、架空の「街」ではなく「州」なのだ。本作は何といっても前作「VC」の5倍といわれる広大なフィールドが特徴だ。

 ゲーム開始時は主人公カール・ジョンソン(CJ)の地元「ロスサントス」周辺でのプレイだが、都市は3つ存在するうえ、都市だけではなく砂漠や田舎といった郊外でも活動することが可能となっている。オープンワールド自体がGTAの特権と思われていた当時、さらに大幅スケールアップするという進化の速さに筆者は身震いしたものだ。

ギャングたちの成り上がりと絆

 ストーリー面では、主人公CJが黒人コミュニティーに属している点が特徴的。かつて自身が所属していたギャング団「グローブストリート・ファミリーズ」を建て直す過程で描かれる軽口や、仲間との絆。そのやり取りはまるで名作映画「ボーイズン・ザ・フッド」をみているかのようだった。

サンアンドレアスからの追加要素で、ロールプレイの幅が大幅に広がった

 ストーリー面だけでなく、プレイヤーが自分を投影しやすいカスタム要素も充実。髪型・服装はもちろん、食事要素が新登場。食べ過ぎれば太り、食べなければ痩せてしまう。さらに新施設「ジム」が登場し、筋力を鍛えれば筋肉質な体つきになる。みためだけでなく、筋力が高ければ教官から新しい技を伝授してもらうこともでき、街ゆく人々からも称賛の声を聞くことができるだろう。自分だけのCJでファミリーたちのリスペクトを集めよう。

今こそオリジナル版の表現とゲームプレイを体験しよう

 最後に当時を知るプレイヤーとして1つ、付け加えさせていただきたい。「GTASA」は当時そのボリュームや野心的な試みのため、特にPS2日本版へのローカライズはまさに難産といえる作品だった。加えて、『GTASA』の日本版は多数の規制が施された状態での発売になったのは、『GTA』ファンなら周知のとおりだろう。

 しかし本作をPS4版で遊んでみたところ、PS2日本版当時の表現規制や、規制にともなうゲームプレイの変更の多くがオリジナル版に近い仕様に戻されている。嗚呼……我々ゲーマーはついに、15年越しに、コンシューマー機で本来の『GTASA』をプレイできるときが来たのだ。当時プレイした人たちにこそ、規制がない『GTASA』がどんなものなのか? 今一度見定めてほしい。

ゲームの歴史を変えた偉大な三部作。当時を懐かしみながら街を探訪してみよう

「遊ぶたび、少しずつ違ったことが起こる」という仕組みはオリジナルから完成されていた

 今でこそ「オープンワールド」という言葉は一般化され、単に広大なフィールドがシームレスに繋がっているゲームジャンルやシステムを指す言葉となった。しかしかつてオープンワールドとは、私にとって『GTA』そのものだったのだ。そしてオープンワールドであること、自由度の面白さというものが、すでに完成されていたことに驚く。

 殺害ターゲットが逃げそうなルートに大量に盗難車を駐車し逃走を防いだり、銃を買うお金がなければ無理やり車を乗入れてターゲット轢き殺したり……。選択肢によるフラグ管理ではなく、フィールドとシステムが、有機的にプレイヤーの想像力に応えているのだ。「何ができれば楽しいのか」ということを『GTA』は的確に答えてくれる。圧倒的に短くなったロード時間で「ゲームの自由」の原点を味わってみてはいかがだろうか。

【ゲーム情報】

タイトル:『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』
ジャンル:アクションアドベンチャー
販売:ロックスター・ゲームス
開発:ロックスター・ノース
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Rockstar Games Launcher)
※2022年前半にiOS/Android版も追加予定
発売日:
 ダウンロード版:配信中(2021年11月11日)
 Switch/PS4パッケージ版:2021年12月7日
価格:
 ダウンロード版:7700円
 Switch/PS4パッケージ版:7700円
CERO:Z(18歳以上対象)

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