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Lenovo 「ThinkStation P620」実機レビュー

AMDの超ド級CPU「AMD Ryzen Threadripper PRO」搭載PCは 1チップ「64コア」の威力でクリエイティブワークの最強マシンなのである!

2021年12月10日 11時00分更新


 

「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」は
1つのCPUに64コアが詰まっている!

 昨今、CPUに究極のパフォーマンスを求めるのは企業だけでなく、個人でもAMDの「Ryzen Threadripper」を購入している人が増えている。将棋の藤井聡太四冠が、「Ryzen Threadripper 3990X」(Zen2世代)を愛用しているのは有名な話だ。

 最新のZen3世代の「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」最大の特徴は、やはりなんと言っても圧倒的なコア数。最大64コア/128スレッドの「Ryzen Threadripper 3995X」を最上位にラインアップしており、最大28コア/56スレッドの「Intel Xeon W」シリーズを圧倒している。

 またメモリーチャネル数/最大メモリー容量は「Intel Xeon W」が×6/1TBなのに対して、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」が×8/2TBと上回っている。PCIeインターフェイスも、「Intel Xeon W」がPCIe 3.0/最大64レーンなのに対して、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」がPCIe/最大128レーンと多い。PCIeインターフェイスにGPUを2枚挿ししたうえに、さらに拡張カードを挿す際には「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」のほうが余裕があるわけだ。

 さらに、「AMD PROセキュリティー」という、最新かつ高度な攻撃に対応するためのアーキテクチャーが採用され、メモリー完全暗号化によりデータを保護する「AMDメモリー・ガード」、Windows機器上で最先端のセキュリティー機能を有効化するMicrosoftの「Microsoft Secured-Core PC」にも対応。業界最高水準のセキュリティー機能でユーザーの資産を守り、またダウンタイムによるロスを生じさせないのである。

64コア/128スレッドはどれだけ速いのか!?
ライバルXeonと処理性能の違いは?

 最上位の「Ryzen Threadripper PRO 3995WX」(64コア/128スレッド)を、デュアル構成の「Xeon Platinum 8280」(2CPU合わせて56コア/118スレッド)と比較した場合、このグラフのように、CPUベンチマーク「CINEBENCH R20」で最大27%、OpenGLベンチマーク「SPECviewperf 13」で最大37%上回る性能を「Ryzen Threadripper PRO 3995WX」が発揮する。

「Premiere Pro」、「Chaos Group V-Ray」でも、「Ryzen Threadripper PRO 3995WX」はデュアル構成の「Xeon Platinum 8280」を上回る性能を記録しているという

 複数台のワークステーションを大量導入してひとつのプロジェクトに臨む場合、より少ない台数で大きな仕事をこなせる。導入台数を減らせば、そのぶんCPU以外のパーツのコスト、設置スペースなどを削減できるので、費用対効果が非常によくなる。

  つまり、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載のワークステーションなら、Xeonでシステムを組むのに比べて、半分から3分の1のコストで済むうえ、仕事の効率もアップするのである。

導入例から見る
3Dアニメーション制作業務の高速化

 実際に、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載ワークステーションを合計32台大量導入したのが、CGグラフィック映像の企画、制作を手がける「株式会社デジタル・フロンティア」だ。

 導入のきっかけは、アニメーション部門から「ハイスペックのワークステーションが必要」との要望があり、リアルタイム3Dアニメーションソフト「MotionBuilder」、3Dアニメーション/モデリング/シミュレーション/レンダリングソフト「Maya」を高速稼働できるワークステーションを導入することとなり、Lenovoの「ThinkStation P620」から、アニメーション制作用に16コア搭載モデルを30台、モーションキャプチャースタジオと、バーチャル・ライン・スタジオ用に32コア搭載モデルを1台ずつ合計32台を導入した。

 これにより「Maya」の処理は2倍に高速化、Unreal Engineのデータ処理スピードについては10倍に高速化できたという。

 ThinkStation導入後、リプレース前のワークステーションと比較してCPUのベンチマークが2.5倍向上したそうだ。また、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載のワークステーションに切り替えることで、「グラフィックスソフトウェアのライセンス料金を抑えるためワークステーションの台数を少なくしたい」という欲求にも応えることができたのである。

 4K、8K、HDRと、現在映像業界が扱うデータ量は飛躍的に増大している。その最前線の現場を、「ThinkStation P620」などの「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載ワークステーションが支えているわけだ。

約200名の社員を擁する「デジタル・フロンティア」は合計32台の「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載ワークステーションLenovo「ThinkStation P620」を導入した

「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載
Lenovo 「ThinkStation P620」実機レビュー

 さて今回、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」シリーズのパフォーマンスを体感するために、Lenovoの「ThinkStation P620」を借りて試用してみた。

 本製品はCPUに「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」シリーズを採用。メモリーは最大512GB、ストレージはM.2 PCIe NVMe SSDを最大8TBまで搭載できる。3.5インチストレージベイは計4基用意されている。

 GPUは「NVIDIA Quadro RTX 8000」を最大2枚搭載しているが、「AMD Radeon PRO W5700」も選択できる。

 PCIeスロットは、PCI Express x16(Gen4)を4基、PCI Express x8(Gen4)を2基用意。インターフェイスは、前面にUSB 3.2 Gen2 Type-A×2(内、Powered USB×1)、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、3.5mmコンボジャック×1、背面にマイク入力×1、ライン入力×1、ライン出力×1、PS/2×2、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×4、有線LAN(10GbE RJ-45)×1が装備されている。

 本体サイズは165×460×446mm、重量は最大構成で約24kg。筐体はThinkStationらしい黒を基調とし、赤をアクセントカラーとしたデザイン。左側面のパネルにはプッシュアウト方式の取っ手が設けられており、ドライバーなどの工具を使わずに筐体内部にアクセスできる、メンテナンス性を重視した仕様だ。

 今回試用したのはカスタマイズモデルの、Threadripper PRO 3975WX/NVIDIA Quadro RTX 4000/RAM64GB/SSD1TB/HDD2TBという構成で、価格は143万9790円。Threadripper PRO 3945WX/NVIDIA Quadro P620/RAM16GB/HDD1TBというスタンダード構成なら42万1190円で購入可能だ。

Lenovo「ThinkStation P620」41万4684円~

本体サイズは165×460×446mm、重量は最大構成で約24kg

前面にはUSB 3.2 Gen2 Type-A×2(内、Powered USB×1)、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、3.5mmコンボジャック×1を用意

背面にはマイク入力×1、ライン入力×1、ライン出力×1、PS/2×2、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×4、有線LAN(10GbE RJ-45)×1を用意。またGPU「NVIDIA Quadro RTX 4000」には、USB Type-C×1、DisplayPort×3が装備されている

左側面の取っ手はプッシュアウト方式。飛び出してきた取っ手を引き上げると、ドライバーなしに左側面のパネルを取り外せる

ケース内は、CPUとGPUを効率的に冷却できるように、余裕のある設計だ。

チップセットは「AMD WRX80」が採用されている

「Ryzen Threadripper PRO 3975WX」のクーラーはメンテナンス性を重視して空冷仕様。メモリースロットにも冷却システムが取り付けられているのがワークステーションらしい徹底ぶりだ

M.2 SSDには大型のヒートシンクが取り付けられている

「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」を実測
32コア/64スレッドの威力を見てみよう!

 今回は、「Ryzen Threadripper PRO 3975WX」とIntel 「Xeon W-2195プロセッサー」を比較してみた。

 まずは、両機種で、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」、「同R20」、「同R15」、総合ベンチマーク「PCMark 10」、3Dベンチマーク「3DMark」を実施してみたので、ぜひご自身のマシンとベンチマークスコアを比較してみてほしい。

インテル仕様の「ThinkStation P520」には、CPUに「インテルXeon W-2195プロセッサー」(18コア36スレッド、2.30~4.30GHz)を搭載している

 まずCPUパフォーマンスについては、Threadripper PRO 3975WX搭載マシンはXeon W-2195搭載マシンに対して、CINEBENCH R23とR20で230%、R15で236%のスコアを記録している。Threadripper PRO 3975WXが32コア64スレッド、Xeon W-2195が18コア26スレッドだが、両者にはコア数以上のパフォーマンス差があるわけだ。

 それにしても、CINEBENCH R23で42433という値を初体験した。32コア/64スレッドがレンダリングしていく様子は圧巻である。もちろん、通常のデスクトップPCでは10000台だから、4倍以上の爆速ぶりなのだ。個人的にも一家に一台欲しくなるマシンなのである。

 PCMark 10では、Threadripper PRO 3975WX搭載マシンはXeon W-2195搭載マシンに対して129%の総合スコアとなった。「Rendering and Visualization」を除いたほかの項目も、すべてThreadripper PRO 3975WX搭載マシンが上回っている。

 3Dグラフィックス性能は、同じGPU「NVIDIA Quadro RTX 4000」を搭載しているのでほぼ同等。それでもThreadripper PRO 3975WX搭載マシンがスコアがいいのは、CPU性能がパフォーマンスを引っ張り上げているからだ。

「Threadripper PRO 3975WX」と「Xeon W-2195」を
実アプリで徹底比較だ

 次に、実際のアプリケーションで、Threadripper PRO 3975WX搭載マシンとXeon W-2195搭載マシンを比較してみよう。テストに使用したのはすべてAdobeのアプリで、「Lightroom Classic」、「Photoshop」、「Premiere Pro」の3本だ。

 「Lightroom Classic」では100枚のRAW画像を現像する時間、「Photoshop」では100枚のJPEG画像にアクション「クワドラントカラー」を適用する時間、「Premiere Pro」では5分の4K動画を書き出すのにかかる時間を計測した。

 結果は、Threadripper PRO 3975WX搭載マシンがXeon W-2195搭載マシンに対して、「Lightroom Classic」で約54%、「Photoshop」で約75%、「Premiere Pro」で約77%の所要時間で処理を終えた。やはりCPUのコア数は圧倒的にクリエイティブ系アプリに効くのである。

「Lightroom Classic」ではRAW画像(7952×5304ドット)を「カラー – 自然」のプリセットで現像した

「Photoshop」はJPEG画像にアクション「クワドラントカラー」を適用するのにかかる時間を計測した

「Premiere Pro」では4K動画(3,840×2,160ドット、30fps)を書き出すのにかかる時間を計測した

「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載マシンなら
究極の速さと安全性、最高のコスパを得られる

 「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」シリーズは、現行CPUのなかで最大コア数のプロセッサーが用意され、メモリーチャネル数/最大メモリー容量も多く、PCIeインターフェイスがPCIe 4.0/最大128レーンと多いので拡張カードを挿す際に余裕がある。さらに「AMD PROセキュリティー」というセキュリティー機能が採用されている点も安心感が高い。

 実際に、メディアやゲーム開発、製造の現場において、通常のCPUを搭載したPCを複数台用意するよりも、1台の「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載マシンを導入したほうが、単に導入価格だけではなく、処理時間を半減~3分の1に削減できるのだ。

 究極の速さとコスパを重視してワークステーションを選ぶのであれば、「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」搭載機は最強の選択なのである。

提供:日本AMD

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