アンプは独自に追加、防滴仕様
大きな特徴はアンプ部分をBluetoothチップ内蔵のものではなく、独自に用意している点だ。ここは過去のBluetoothアダプターから一貫してシュアが取り組んでいるこだわりで、音質面の効果を期待できる要素だ。
IPX4相当の防滴仕様で、重量は13.4g。連続再生時間は7時間(ケース充電併用で21時間)と標準的なところ。ただ、USB Type-C充電に対応したケースがかなり大きく、8㎝以上の幅がある。イヤホンの取り出しやすさやシュアらしい頑丈さに配慮した結果だと思うが、武骨でもあるためデメリットに感じる人がいるかもしれない。
一貫性を持つ、しっかりとしたシュアの音がする
AONIC FREEのクリムゾンレッドを借用して編集部で試聴した。大きめのフェイス部が、やや紫味を帯びたメタリック調の赤に塗装されており、なかなか目立つカラーリングだ。遮音性は高く、かなりしっかりと耳にはまる印象がある。重量バランスもよく、一度装着してしまえば、本体の重さを感じない。
音を聴いて感じたのは、シュアとしてはローエンドの機種でありながら、上級のIEMのフラットで聞き取りやすいテイストをしっかりと感じさせる点だ。実際、最初にしばらく音を出してまず最初に持った感想は、ハイエンドのコンデンサー型イヤホン「KSE1500」の音調によく似ているという点だ。
改めて手持ちのKSE1500と聞き比べてみると、その感覚は外れていないと実感できた。透明感や解像感では確かに差があるのだが、トーンバランスや低域や中音域の鳴り方や質感の表現が共通しており、かなり近い雰囲気になっている。市場を眺めると、価格帯やターゲット、トレンドなどに応じて再生音に特徴を出しているメーカー・ブランドのほうが多い。そんな中、実売40万円近くの機種と2万円台のこの機種が一貫した再生になるよう管理されているという点はプロ機材を手掛けるシュアらしい特徴と言えるかもしれない。
一方で残留ノイズは若干大きめだ。また、高域をあまり欲張っていない特性のため、全体にソフトな印象の音となる。ここは高域のレンジが広く伸びた上位機種と差を感じる部分かもしれない。ただ、Bluetoothイヤホンで無理に高域を上げるときつい印象になる場合も少なくないし、伝送時の圧縮で高域の情報がカットされる面もあるので、レンジの数値そのものはあまり気にする必要はないだろう。
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