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KDDI、障害に素早く対応するために多摩市にネットワーク拠点を新設

2021年11月17日 10時00分更新

 KDDIは2021年11月12日、東京都新宿から東京都多摩市に移転し新設したネットワーク運用拠点をメディアに公開。施設について、またネットワーク障害などに対する最新の取り組みついて説明が行なわれた。

東京都多摩市に新設されたKDDIのネットワーク運用拠点のネットワーク監視センター

 ネットワーク運用拠点は、東京都新宿1ヵ所での運用だったのが、今回新設された東京都多摩市のセンターに加えて、大阪にも設立。現在は東京都多摩市と大阪府大阪市の2ヵ所で総合監視をしている。総合監視センターが2ヵ所になったことで、どちらかが運用できない状態になっても安心だ。

 新しい拠点として東京都多摩市が選定されたのは、災害に強い場所というのが理由のひとつ。海抜100m以上と高台にあり、津波などの心配もなく、地盤が強いため地震の影響も少ない地域でもある。

 さらに建物も最新の地震対策が施されており、床下には振動を抑える積層ゴムをはじめ、揺れを抑えるオイルダンパーなどを設置。大きな地震があっても、建物自身が揺れにくいように設計されている。

振動を抑える積層ゴム

揺れを抑えるオイルダンパー

 そのほか非常用電源や燃料を備蓄し、万が一電力供給がストップしても72時間は連続運用が可能。さらに外気を使った冷却システムなど、環境にも配慮した最新の技術が詰め込まれたネットワーク運用拠点となっている。

屋上にあるレスキュー用のヘリポート

ネットワーク機器の冷却設備

構内の機器を冷却した空気を外気と混ぜて、上昇気流で排出する「ボイド」

 またネットワーク運用拠点としては、従来のシステムとくらべて、自動化が進んでいるのもポイントとのこと。これまでは部署それぞれの担当者が、障害発生時に影響や範囲、障害理由などをチェックし情報法を提供。さらに障害のチェックも、担当者が各自でコマンドを入力するといった長年の知識や技術などかなり人力に頼った、KDDI曰く「匠の技」を組み合わせたシステム運用だった。

運用自動化により、よりスマートなオペレーションが可能となった

 このシステム運用を自動化するために、まず各自のやっている作業を可視化する作業からスタート。匠の技は2000業務ほどにもなり、それを自動化でできるよう約4万件のシステム要件を定義。5年ほどの開発期間で、今回の自動化を実現したとのこと。

約2000件の匠の技を自動化

自動化により最大40%の復旧時間短縮を実現

 自動化はオペレーションオンスマート化だけでなく、担当者の働き方にも大きく影響。監視業務担当者はこれまで、監視センターに出勤せざるをえなかったが、ジステムの自動化によりリモートワークも可能。平時の働き方だけでなく、災害時に交通機関が使えず監視センターに行けない場合でも、ネットワーク監視業務に携われるわけだ。

オフィスはフリーアドレスで、都心がオフィスの社員もここを利用してテレワークができるとのこと

 公開された監視センターでは、巨大なディスプレーに、ネットワークの運用状況をはじめ、Twitterのトレンドなども表示。圏外やつながらないといったキーワードを拾ってチェックすることで、ネットワーク障害などをいちはやくキャッチできる。

 近年、モバイル通信は携帯電話だけでなく、IoT機器や各種サービスなどとも連携しているため、障害が発生すると社会システム全体がダウンしてしまうくらいの影響がある。とはいえ自然災害などもあり、障害をゼロにすることはできない。いかにその発生を抑えて、影響を少なくし、復旧を迅速にできるかが重要となってくる。KDDIの新しいネットワーク監視拠点は、そのための取り組みのひとつというわけだ。

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