プラットフォーマーの条件=インフラ、ルール、サービス提供
では、金融デジタルプラットフォーマーとはなにか。
亀澤社長兼グループCEOは、まずプラットフォーマーの定義を次のように語る。
「プラットフォーマーとは、自分自身で強いインフラを持ち、自分たちでルールを決めて、多くの人を呼び込んで、一緒にサービスを提供する環境にある企業を指す」
その点では、GAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)は、まさに世界を網羅するデジタルプラットフォーマーとしての役割を果たしている企業である(余談だが、Googleの親会社がAlphabetとなり、FacebookがMetaとなったことで、今後は、GAFAMあるいはGAFAの呼び方が変わる可能性がありそうだ)。
続けて、亀澤社長兼グループCEOは、こうしたプラットフォーマーの定義をもとに、MUFGが目指す「金融デジタルプラットフォーマー」について次のように語る。
「金融デジタルプラットフォーマーとは、『金融システム』という安心、安全のインフラを活用し、MUFGが決めたルールの上で、様々な企業と組み、一緒になって、デジタルを活用したサービスを提供することである。金融サービスは、様々な企業や業界に関与していることが特徴であり、同時に、いまでは『金融』そのものがデジタルサーピスの一部になっている。MUFGは、金融が絡んだデジタルプラットフォームを作れるポジションにいると考えている」と語る。
そのひとつが、Banking as a Service(BaaS)の実現だ。
2022年にサービス開始を予定しているNTTドコモとの協業は一例となる。この協業では、NTTドコモのdポイントが貯まるデジタル口座サービスを提供。NTTドコモが持つ8100万人のdポイント会員基盤と連携し、スマホから様々な金融サービスを利用できる便利さや、簡単さが特徴になるという。
こうした業界の枠を超えた協業により、新たな金融サービスを実現するのがBaaSであり、それを支えるのが、MUFGが目指す金融デジタルプラットフォーマーということになる。
だが、亀澤社長兼グループCEOは、「金融デジタルプラットフォーマーの考え方については、まだまだ伝わりにくいという指摘もある。もう少し具体的に、私たちが目指す姿を見せていきたい」とも語る。
今後、どんな形で、金融デジタルプラットフォーマーとしてMUFGが進化するのかが楽しみだ。
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