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ブロックdeガジェット by 遠藤諭 020/難易度★★

MacintoshやNewtonの開発者が作った電子エアギターJaminatorを愛でる

2021年11月03日 17時00分更新

ジェフ・ベックに、エリック・クラプトンに、布袋寅泰にもなれる!

 パソコンの目的は人間の能力を補完・拡張して思ったことを自由にできるようにすることだと思う。そんなことを誰でも体験できる形にして見せてくれたのが、1990年に米国でノイズ・トイという会社が開発、ワールド・オブ・ワンダーという会社から発売された「Jaminator」という電子ギターだ。

 ギターのフレットにあたる部分と、弦に触れる部分を押すだけでギターのフレーズが鳴る。キーボードやドラムパッド、さらにはアームもついていて、どれをいじってもそれらしい音楽になってしまう。日本では、アローマイクロテック(『Alone in the Dark』など秀作ゲームで知られるアローマイクロテックですよね!)がライセンスを取得、1993年にヤマハから発売された。

 電源さえ入れれば、そのままでも楽しめるのだが、カートリッジを差し替えることでさまざまなスタイルの有名ロックミュージシャンになり切れる。たとえば、Deep Purple のカートリッジをセットしてやると、何をどう間違っても「Highway Star」なら「Highway Star」になる! 主なラインナップは以下のとおりで、それぞれ4~5曲収録されている。ほかにもヤマハのカートリッジがあるのだが。

▼ワールドオブワンダー製
・Lead Guiterists
・Modern Rock
・Hard Rock I
・Hard Rock II
・Classic Rock I
・Classic Rock II

▼アローマイクロテック製
・Deep Purple
・Jeff Beck
・Heavy Metal
・Japanese Rock
・American Hard Rock
・Erick Clapton

  ギターというものは、基本的な弾き方やコードやリズムを覚えて、それを何十時間、何百時間練習してやっとステージに立てたりするもののはず。それが、このギターではまったく逆の順序でドカンとキマった演奏がやってくる。なんともイージーと言いたいところだが、1990年代中盤から現在にいたるループの世界は、これを実用的にしたものともいえそうだが。

私の持ってるJaminatorのカートリッジ。挟んでつなげるのも面白い。

 私は所有していないのだが、Japanese Rock のカートリッジは、「I'm Free」(Tomoyasu Hotei)、「Week End」(X)、「Crazy Doctor」( Loudness)、「Drive Me Nuts」(Pink Cloud)、「RUN」(B'z)という内容。それぞれのファンには、ちょっと気になる情報だと思うのだが、はっきり言ってかなりレアである。

 こんな楽しいデバイスを一体誰が作ったのかというと、初代MacintoshのFinderやResEdit、さらにはNewtonの開発で知られるスティーブ・キャップスという元アップルの有名プログラマー。その後、マイクロソフトに移籍してIEを作ることになる人物だ。そんな彼が、ハードウェアエンジニア、サウンドデザイナーとともにノイズ・トイという会社まで作って世に送り出したのが「Jaminator」だったのだ。

 今週のブロックdeガジェットは、このJaminator。ビデオの中では、もうちょっとだけ踏み込んでこの電子エアギターを語りながらブロックで作ってるので、ぜひご覧あれ。

 Jaminatorを触っている動画はこちら。ついでにカートリッジのピンがファミコンと同じで鳴らせるときいてやってみた。

 

「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/Dh74PjN-fM8
再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/

 

遠藤諭(えんどうさとし)

 株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。

Twitter:@hortense667

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