日本が舞台の豪華な総合エンターテイメント、直球勝負のシリアスストーリーに注目!
『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』は重く深いテーマに真正面から向き合う物語、それでもプレイが止まらないテンポ力や様々な要素もスゴイ
学園という場所と新要素。木村 拓哉さん演じる八神の魅力が深まる
今作の舞台でもっとも特徴的なのは「学園」だろう。長期間にわたって主人公・八神は生徒の集う学園に「外部指導員」として出入りすることになる。いうまでもなく、龍が如くスタジオの手掛けるゲームは「大人向け」のダークな世界を描き続けており、八神は完全に裏社会の人間である。
そんな八神がうら若い生徒たちの中にいる構図は、異質かつ新鮮だ。シナリオ上、必然的にチンピラが跋扈する繁華街と整然とした校内を往復することになっている。その境界は極めて曖昧で、老婆心ながら若者が心配になってしまうほど。裏社会だけに留まらない、本作特有のリアルな都会の描写を感じることができた。
本作はメインシナリオとさらに別立てで、「ユースドラマ」という一連の特別なサブシナリオとして、生徒たちと交流を深めることができる。まるで「木村 拓哉さん主演の学園ドラマ!」という風情で、そういった木村さん主演のテレビドラマを観てきた世代なら、その豪華さが分かるだろう。
また、歴が長いゲーマーなら、ゲームにおける未成年の扱いの難しさをご存知だろう。攻撃することができなかったり、そもそも登場せずに痕跡だけが出てきたり……。ゲーム的、倫理的な「ご都合」を感じてウンザリしてしまうことも少なくない。
しかし、安心してほしい。本作では無軌道な未成年をキッチリ懲らしめることができる。そして、ここでロールプレイに活きてくる新要素がある。新バトルスタイル「流(ながれ)」は護身術のようなカウンター重視のバトルスタイル。寸止めや関節技によるギブアップといった「正当防衛」の趣がある戦闘方法だ。
裏社会の人間とはいえ八神は反社会的な存在ではなく、正義に燃えるヒーローである。未来ある若者を「流」スタイルによる教育的指導で制圧すれば、より八神のロールプレイを楽しめるだろう。もちろん虫の居所が悪いときは、従来どおり「一閃」「円舞」で蹴散らすこともできる。こういう自由度がゲームらしくてうれしい。
日本を舞台にした豪華な総合エンターテイメント。こんなご時世だからこそ「ゲームの日本」を感じよう
2021年現在、日本は未だに外出しづらく、また外出できても娯楽が少ない状況となっている。そんなコロナ禍で生まれた本作は、コロナウイルスが存在していないこと以外はまさに「現在の日本」を舞台に自由に街を歩くことができるゲームだ。
雑踏、公共交通機関、繁華街、飲食店、学校。すべてが平時のまま。テレワークや「おうち時間」で忘れていた、いつか戻るであろう「あの頃」を一足先に味わっているような感覚を味わうことができた。
龍が如くスタジオは『龍が如く7』同様に、本作にも素晴らしいスピード感で「現在の日本」をゲームに反映している。「時事ゲーム」の側面すら感じるほどだ。歌舞伎町で勃発したスカウト狩り騒動、転売問題、スマートフォンを使ったイジメ、年金問題など、ちょっとした会話からメインシナリオに関わる部分まで、あつかわれているトピックは多岐に渡る。
日本のユーザーにとってはそれをゲームで遊ぶことが新鮮であり、海外のユーザーからしてみれば小旅行のような気分なのではないだろうか。「今」をあつかう以上、できるだけ早く本作を購入しプレイしたほうが追体験として面白いだろう。あるいは時間が経てば、「あの頃」「歴史の1ページ」としてのゲーム史料的価値も生まれてくるかもしれない。
ゲーム仲間との会話も弾むことだろう『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』。「おうち時間で遊べる現代日本」として、本作をプレイしてみてはいかがだろうか。
【ゲーム情報】
タイトル:LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶
ジャンル:リーガルサスペンスアクション
発売・販売:セガ
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One
※ Xbox Series X|S/Xbox Oneはデジタル版、デジタルデラックスエディションの販売
発売日:2021年9月24日
価格:
通常版・デジタル版:9119円
デジタルデラックスエディション:1万3519円
プレイ人数:1人
CERO:D(17歳以上対象)
©SEGA
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