Samsung SSD 『BOOST CREATIVITY SESSION』 第二弾
オリンピアンがモーションキャプチャーでVTuberデビュー? 制作の裏側を密着取材
ハイエンドSSDで作る、スポーツの新しいカタチ
Samsungによるプロジェクト「BOOST CREATIVITY SESSION」は、クリエイターとSamsung製SSDのコラボレーション企画。制作の現場にSamsungのSSDを導入することで、クリエイターが持つ可能性を最大限まで引き出し、創造力をサポートするというコンセプトだ。
前回、その第一弾として実施されたVRアーティストのせきぐちあいみ氏と、エキゾチックロックバンドNEE(ニー)のコラボレーション企画「FUTURE STAGE」を取材した。
第二弾のテーマは「FUTURE SPORTS」だ。今回のプロジェクトは、東京オリンピックにも出場した男子ハンドボール日本代表の土井レミイ杏利選手を起用し、同氏の驚異的な身体能力を、モーションキャプチャーの技術を活用してVTuber化するというもの。アスリートでありつつ、TikTokなどでエンターテイナーとしても活躍する土井選手の動きが、どのようにスポーツの新しいカタチを作り出していくのか。また、モーションキャプチャーの制作現場におけるSSDの在り方を、インタビュー取材を通じて探った。
あらゆるクリエイターにとって、制作に欠かせない存在であるPC。第一弾は、VR空間に作ったステージ上で、バンドが演奏している様子を、リアルタイムにモニタリングしながら撮影するという形式だったため、大容量のVR空間の読み出しや、スムーズなレンタリングが焦点だった。
今回のプロジェクトは、土井レミイ杏利選手をモーションアクターとして、その常人離れした動きをキャプチャーしつつ、そのデータを同時にPC内にバックアップを素早く保存していくという作業になる。前回以上に、SSDの性能が作業効率にはっきりとつながる分野と言えるだろう。
知っていそうで知らない、モーションキャプチャーの話
――“モーションキャプチャー”は、一般消費者の間でも認知され始めた段階かなと言える一方で、趣味で動かしている一部の人を除いて、作業として携わる機会はほとんどない分野かもしれません。まずは、基礎知識を教えていただけますか。
尾嵜「よく使われる方式を大きくふたつに大別すると、“光学式”と“慣性式”に分けられます。光学式は、その名の通り、光学的に身体の動きを記録します。スポーツシューズなどの反射材に使われているような、きらきらする素材で作られた小さなマーカーを身体に装着して、反射した光をカメラで捉えるんです。
慣性式は、加速度や角速度、地磁気が計測できるセンサーを身体に装着して、そのデータからモーションを取得するという方式です。精度のよさは光学式に分がありますが、光学式は収録にある程度の広さが必要になるのと、マーカーがカメラの死角に入ってしまうと、正確な位置の取得が難しくなるという弱点があります。慣性式は、狭い場所でも収録ができますが、磁場の影響を受けやすいので、磁場が不安定な場所ではデータが不安定になる可能性が高くなります」
――今回は光学式で収録していますね。
尾嵜「光学式です。NaturalPoint社製のOptiTrackモーションキャプチャー用カメラ『PrimeX』と、リファレンス映像を記録するための『Prime Color』というカメラを組み合わせて撮影しています」
――リファレンス映像というと?
尾嵜「モーションキャプチャー用のカメラだけでも、データは取得できるのですが、Prime Colorを組み合わせることで、現場での動きをフレーム単位で正確に同期した高解像度のカラー画像で記録できます。リファレンスの映像を持っておくことで、後から調整が必要になった場合や、実際の動きを確認したくなったときに参照できるようにしておくんです。
マーカーがカメラの死角に入ってしまったときは、通常、位置を推測して補完するような作業が必要になりますが、リファレンスを撮っておけば、映像でより正確な位置が参照できます」
――より正確にマーカー位置を割り出せるだけなく、何かあったときの保険の役割も果たすわけですね。モーションキャプチャーの収録現場って、テレビやYouTubeで見かける機会はありますが、まずどんなところから始めるんでしょうか。
山田「Tポーズと呼ばれる、キャラクターを作るときの基本姿勢があります。最初にキャラクターとモーションアクターに装着したセンサーの姿勢合わせをして、手足の角度などを揃えておくんです」
――なるほど。そうして初期値のようなものを設定するんですね。
山田「ただ、キャラクターによっては頭部が大きかったり、身体の一部がせり出したりしていますから、頭を抱えたときに、CG上で手が頭にめり込んでしまうこともあります」
――そういうときは、後からの処理で調整するんですか?
山田「そうです。手が頭にめり込んだりということは、当たり前に発生するので、ほぼ毎回必要になってくる作業ですね」
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