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次世代型電動車椅子のWHILL、全国の自動車ディーラー160店舗で試乗可能に

2021年10月01日 11時00分更新

WHILLが全国の自動車ディーラー31社で、9月21日から取り扱われている

近距離モビリティー「WHILL」
全国31社の自動車ディーラーで9月21日から取り扱い

 「WHILL」は、WHILL株式会社が開発・販売する近距離モビリティー(次世代型電動車椅子)だ。

 価格は47万3000円(非課税)、レンタルプランも用意しており、その場合は月額1万4800円。その特徴は、およそ5cm程度の段差を乗り越えられ、半径76cmの範囲で回転ができるという機動性の高さ。幅554mm、奥行きが985mmとフットプリントも小さく、およそ20リットルのカゴを設けているため、日常的な買い物にも対応しやすい。

 走行可能距離は最大で18km、最高速度は前方への移動が持続6km、後方への移動が持続2km。運転に免許は必要なく、歩道での走行も可能。片手で、軽く操作できるインターフェースを採用している。誰でも、簡単に扱える次世代型の電動車椅子なのだ。

 利用者からも、「近所でも、通ったことのない道を行って、知らなかった店でお茶するなど、今まで考えもしなかった行動をしています(70代女性)」「免許返納を勧めたら怒っていた父も、WHILLの見た目を気に入って、あっさりと返納し、WHILLに切り替えた。出不精になっていた父も趣味としてWHILLとの散歩を楽しんでいる(40代女性)」など、好意的な意見が寄せられているようだ。

およそ5cm程度の段差を乗り越えられ、半径76cmの範囲で回転ができるという機動性の高さが、WHILLの特徴のひとつだ

 そんなWHILLが9月21日から、全国の自動車ディーラー31社で取り扱われている。取扱店舗数は約460店舗、試乗ができる店舗数は160店舗以上。一例を挙げれば、関西や北陸では大阪マツダ販売株式会社や福井トヨタ自動車株式会社、株式会社日産サティオ富山、九州では長崎トヨペット株式会社や九州三菱自動車販売株式会社、中国・四国地方で岡山ダイハツ販売株式会社、関東で栃木トヨタ自動車株式会社や株式会社ホンダカーズ神奈川北、北海道でトヨタカローラ札幌株式会社など、全国的な展開だ。

 自動車ディーラーでのWHILLの販売や試乗には、免許返納を応援すること、また、高齢化などにともなう地域ごとの社会課題の解決をする狙いがあるのだという。SDGs(持続可能な開発目標)の内のひとつ「すべての人に健康と福祉を」にも沿うものだ。

同社が自動車ディーラー22社にアンケート調査を実施したところ、7割超にあたる15社が、店頭で免許返納に関する相談を受けたことがあると回答

 その背景として同社は、全国の免許返納件数は2019年以降、増加している一方で、高齢者の中には、返納を検討しつつも、自動車を生活の足として使っており、踏み切れなかったり、車が好きで乗り続けたいといった希望を持ち、自動車ディーラーに相談を持ちかける人が多いのだと話す。実際に、同社がWHILL取り扱い自動車ディーラー22社にアンケート調査を実施したところ、そのうちの7割超にあたる15社が、店頭で免許返納に関する相談を受けたと回答したという。

 今回の提携によって、前述の通り全国区をカバーすることになるが、将来的には、WHILLを取扱う自動車ディーラーをすべての都道府県に拡げたい考えもあると、同社は説明する。

免許返納後の移動手段として提案、熊本トヨタ自動車

 WHILLを取り扱う熊本トヨタ自動車株式会社では、同地域の自動車学校であるKDS熊本ドライビングスクールを通じて、155名を対象に、WHILLに関するアンケート調査を行なった。その結果は「興味がある」という回答が44票、「説明を聞きたい」も同じく44票、「実体験したい」が35票。いずれも25%〜30%という数字だ。

 ところが、80代以上のみの結果を抽出すると、37人中、「興味がある」という回答が20票、「説明を聞きたい」が16票、「実体験したい」が14票となっており、比率にすれば、40%〜55%という結果になる。

 同社がビジョンとして掲げている「熊本を走るすべての人に、一人ひとりの幸せをお届けします」というメッセージに合致すること、また地域社会への貢献や、持続可能な地域社会開発の一環として、WHILLを取り扱うことを決めたと説明する。

 同社では、トヨタの技術や仕事内容を通じて学びや発見を与えることを目的とした「トヨタ未来スクール(旧トヨタ原体験プログラム)」を免許取得前の小学生を対象に提供し、免許取得後は自動車の販売や、自動車保険の案内など、自動車にまつわる商品を総合的に提供している。それらと同じように、免許返納後の移動手段として、同社のビジョンの言い方を借りれば「熊本を走るすべての人に、幸せを」提供するため、WHILLを提案していきたい考えだ。

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