東京オリンピックにて、7月24日に男子ロードレース、翌25日に女子ロードレースが開催されました。東京都の武蔵の森公園をスタートし、山中湖や富士山を巡り、最後は富士スピードウェイをゴールとする自転車の個人競技です。コースの距離は男子で244㎞、女子が147㎞。獲得標高は男子約4865m、女子でも約2692mという過酷なコースでした。そして、ポイントとなるのはそのコースのほとんどが一般道を使っていること。つまり、現地に行けばオリンピック選手と同じコースを走ることができるのです。
とはいえ、週末にちょろちょろ走るくらいの趣味の自転車乗りの私(筆者54歳)では、マジなルートを走る脚力はありません。そこでクルマに愛車(ロードレーサー)を積んでオリンピック・コースを走破。車中泊して、涼しい朝のうちに、現地の一部を愛車(ロードレーサー)で走ってみることにしました。借り出したクルマはホンダの「N-VAN(エヌバン)」。しかもホンダアクセスの手による純正アクセサリー装着の車中泊仕様車です。
愛車(ロードレーサー)と車中泊グッズと
撮影カメラなどで荷物はたんまり
ホンダの「N-VAN」は、2018年7月に誕生した軽バンです。つまり、4ナンバーの商用車です。しかし、豊富なカラーや装備を揃える「+STYLE」グレードを設定するなど、ビジネスだけでなく幅広い用途にも使えることを狙っているのが特徴です。また、大ヒットしているホンダの軽自動車「N-BOX」と同じプラットフォームを採用することで、従来あるビジネス用軽バンとは一線を画するユニークな機能を備えます。それが助手席と2列目シートまでダイブダウンすることでできる、広大でフラットな床。なんと、助手席からテールゲートまでを、まっ平にすることができるのです。さらに、左側のセンターピラーレス仕様も軽バンとしては初となります。
ですから、今回の取材は、愛車(ロードレーサー)関係の荷物、車中泊用の荷物、撮影用機材など、1泊2日とは思えないほどのたくさんの荷物となりましたが、「N-VAN+STYLE FUNターボ Honda SENSING(FF/CVT)」(マイナーチェンジ前)は軽々と荷物を飲み込んでしまいました。今回は前輪を外したことで、運転席の後ろに逆さまにした自転車を置くことができました。車中泊がなければ、2人で乗って自転車を2台積むこともできるでしょう。
日本の美しい景観を楽しめる五輪ロードレースのコース
五輪ロードレースのスタート地点は、調布飛行場に隣接する武蔵野の森公園です。そこから街中をゆっくりとパレードランしながら、府中駅を経て、本格的なスタートラインとなる多摩川の是政橋に向かいます。ここで驚いたのは、府中駅のショッピングモール横の並木が美しいことと、大國魂神社の境内をロードレース選手の群衆が走り抜けたこと。これがスタート前の一番の見どころでした。
多摩川を渡ると、近隣のロードレーサー乗りのメッカでもある尾根幹へ。尾根幹とは、多摩川から町田市まで、多摩ニュータウンを東西に横断する道のこと。起伏があって道幅も広めのため、ロードレースの練習にうってつけのコースです。ところが、五輪のロードレースのコースは尾根幹を進むのではなく、その周辺を右に左に行ったり来たり。なぜ、そんなルートになっているのかといえば、実際に走ってみて気づいたのですが、景色がきれいなんですね。実のところ尾根幹のコースは走りやすいのですが、同じような景色が続きます。ところが五輪コースは緑が多く、こぎれいな住宅地を縫うように走っていたのです。
なるほど、五輪ロードレースは、選手も応援する人も日本の美しい景色を楽しめるように設定されているのだと納得できます。
そんな思いは、相模原の市街地を抜けて、道志みち(国道413号)に入るとさらに強まります。道志みちは、道志川沿いに東西に走る国道で、道沿いにはキャンプ場や釣りスポットが連なり、美しい山と緑の景観が楽しめます。東京から西に向かって、どんどんと上ってゆき、最後は山伏峠という、きつい上り。正直、筆者のごとき貧脚では、道志みちを走破するだけでも1日がかりになるはずです。
そして、道志みちをクリアした五輪コースは、山中湖の湖畔をすり抜け、隣の御殿場市へ向かう籠坂峠へ。これもきつい峠ですが、なんとこの先で五輪コースは富士山に向かうのです。勾配がきついだけでなく、距離も長く、延々と富士山を上ってゆきます。富士サファリパークの横を抜けて、南富士エバーグリーンラインを、ずんずんと上ります。このコースは上の方が有料道路になるので、自転車はNG。というか、こんなにすごい上りは自転車ではなくクルマ向けが普通でしょう。その後は富士山スカイラインをひたすら下ります。
ここまでクルマでルートを走っていて、気づくとすでに15時を回っています。五輪ロードレースの本番よりも、クルマでのドライブの方が移動は遅いらしく、時間がかかっていたのです。ちょっと、急ぎぎみでルートを辿ります。
次に向かったのが富士スピードウェイ。通い慣れた富士スピードウェイのゲート前を通り抜け、さらなる峠に向かいます。今度は、明神峠から三国峠を抜けて、再び山中湖へ向かうのです。このコースは、2つの峠が続いており、距離は約6.7㎞。場所によっては勾配が20%を超えるという、まさに激坂です。路面には「マスダ 楽苦しめ」や「ALLEZ YUKIYA(ユキヤ 行け!)」などと、路面に書かれた日本代表選手への応援メッセージを見ることもできました。実際に五輪の本番でも激しい戦いが繰り広げられたエリアです。
この後、五輪ロードレースのコースは、山中湖を経て、再び籠坂峠を使って御殿場に戻ってきて、最後に富士スピードウェイでゴールとなります。約244㎞のコースは、クルマで走っても1日がかりとなりました。
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