ASUS JAPANが7月15日に発表した17.3型ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus S17 GX703HS」、その最大の特徴はキーボードのリフトアップ機構だ。
ディスプレーを開くとキーボードがせり上がり、その下の給気口が開放される独自冷却システム「Active Aerodynamic System Plus」を採用しており、ハイパフォーマンスCPUとディスクリートGPUを効率的に冷やし、ピークパワーを引き出すことが可能だ。
製品の高い性能を考慮すれば、2.75kgは携帯に値する
ROG Zephyrus S17 GX703HSに用意されているのは「GX703HS-I9R3080U120」という型番の1モデルのみ。OSは「Windows 10 Pro 64ビット」、CPUは第11世代(Tiger Lake)の「Core i9-11900H」(8コア16スレッド、2.5~4.9GHz)、ディスクリートGPUは「NVIDIA GeForce RTX 3080 Laptop GPU」(16GB)を採用。メモリーは32GB(DDR4-3200)、ストレージは当然のごとくPCIe 4.0 x4接続の2TB SSDを搭載している。
もちろんRepublic of Gamersの最新ゲーミングノートPCだけに、CPUは、温度を最大10度下げると謳われているThermal Grizzly製液体金属グリスで取り付けられており、前述の独自冷却システム「Active Aerodynamic System Plus」と相まって、ハイパフォーマンスが期待できる。
ディスプレーは、17.3型4K液晶(3840×2160ドット、500cd/m2、100% DCI-P3、リフレッシュレート120Hz、応答速度3ms、Dolby Vision対応、Pantone認証取得)。高速描画と広色域を兼ね備えたプレミアムなディスプレーだ。またサウンド面についても、ふたつのツイーターと4つのウーファーを組み合わせ、バーチャルサラウンド技術「Dolby Atmos」に対応した6スピーカーシステムが採用されている。
インターフェースは、Thunderbolt 4(データ転送、映像出力、本機への給電対応)、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、本機への給電対応)、USB 3.2 Gen2 Type-A×3、HDMI、有線LAN(1000BASE-T)、3.5mmコンボジャックと豊富に装備。本体のディスプレーと合わせて最大4画面のマルチディスプレイ環境を構築可能だ。ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.1をサポートしている。
シャーシはフルメタル製。ボディーサイズは394.9×264.3×19.99~22.5mm、重量は約2.75kg。急速充電に対応した90Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は約5.5時間、充電時間は約1.8時間だ。バッテリーベンチマーク結果を先にお伝えしてしまうが、ディスプレー輝度40%でバッテリー残量2%までという条件で、カタログスペックを上回る6時間7分20秒動作した。
Thunderbolt 4とUSB 3.2 Gen2 Type-C端子はUSB Power Deliveryによる充電に対応しているので、サードパーティー製小型USB Power Delivery対応充電器と組み合わせれば、モバイルノートPC的に活躍させることも可能だ。もちろん「軽快に持ち運べる」とは言えないが、本製品のハイパフォーマンスを考慮すれば、約2.75kgボディーは携帯に値すると筆者は考える。
画面を見ながら手探りで操作できる「マルチホイール」が便利
本製品のキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは1.9mm。F4キーとF8キーの右に間隔が空けられており、テンキーも備えている。英語配列な点は人を選ぶが、フルサイズのキーボード感覚だ。
また、メカニカルキーボードのオプティカルスイッチは、0.2ミリ秒で作動するとされており、最大1億回の打鍵に耐える耐久性も備えている。もちろんNキーロールオーバー対応だ。なによりキーボード面の剛性が非常に高く、打鍵感も良好。やや打鍵音は大きめだが、ノートPCのキーボードとしては相当上質な部類に入ることは間違いない。
ユニークな装備がキーボード左奥に設置されている「マルチホイール」。デフォルトでは音量調節が割り当てられているが、長押しすると表示されるメニューから、縦スクロール、マイク、ディスプレーの明るさ、キーボードのバックライト、タスクスイッチャー、HyperFanモードなどを選択し、調節できる。キーボードの機能キーと異なり、画面を見ながら手探りで操作できるので、画面から目を離せない対戦ゲーム時に重宝するはずだ。
ノイズを低減する「2DNR+3DNRテクノロジー」を採用したASUSの最近のウェブカメラは画質がいい。2DNRでシーンの静的要素を処理し、3DNRで動く物体を最適化しているとのことだが、たしかに室内灯下で明るく、自然な発色で、低ノイズに撮影できる。92万画素と解像度自体は決して高いとは言えないが、ビデオ会議用途なら外付けウェブカメラは不要だ。
ディスプレーの色域については、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測してみたが、sRGBカバー率100%、sRGB比138.9%、AdobeRGBカバー率89.2%、AdobeRGB比102.9%、DCI-P3カバー率99.7%、DCI-P3比102.4%という広色域を確認できた。リフレッシュレート120Hz、応答速度3msを生かしたゲーミング用に留まらず、動画のカラーグレーディングにも活用できるプレミアムなディスプレーなのである。
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