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畜産農家と銀行の情報連携の効率化と畜産ABLの更なる利用促進を目指す

放牧牛を担保とする動産担保融資におけるAIモニタリングシステム「PETER」の有効性検証を開始

2021年07月30日 08時00分更新

 東京工業大学、信州大学、電通国際情報サービス、ファームノート、テクノプロ・デザイン、ソニーグループの共同プロジェクトチームは2021年7月27日、沖縄県竹富町黒島のさくら牧場にて、共同プロジェクトチームで開発したエッジAI技術とLPWA技術による放牧牛AIモニタリングシステム「PETER(ピーター)」の動産・債権担保融資(ABL:Asset Based Lending)への適用に関する実証実験を開始した。

 ABLとは、事業者が持つ在庫や製造装置などの動産や、商品販売後の請求金といった債権を担保にして金融機関に信用を提供することで、資金を調達できる仕組みのこと。

 同実験では、PETERを使って放牧牛1体1体の情報を首輪型のデバイスを用いて取得し、データをAIで分析。放牧牛のABL担保価値向上に必要な、データ抽出・分析、金融機関へのデータ提供のあり方を検証している。

 システムとしては、放牧牛の位置情報、歩行や摂食、反芻、休息といった牛の行動や状態を推定しクラウドに送信。個体を遠隔からモニタリングする同システムの活用により、適切・効率的なABLの実行に繋がり、持続可能な畜産経営への貢献が期待できる。

 本実証実験では、銀行のABL業務と畜産経営の両面から同システムの放牧牛ABLへの有効性を検証し、追加すべき機能の洗い出しや課題の抽出などを行なう。2022年3月末まで実施予定。

AIによって「担保管理」のパラダイムシフトが加速する?

 

 さまざまな担保の設定によるメリットとしては、金融機関では新たな貸し手の獲得と貸し倒れリスクの低減が、一方事業者では新しい資金調達の可能性に目が行きがちです。しかしAIによるモニタリングでは、担保となる動産と事業者の経営実態を正確に分析可能となります。これは、事業者と金融機関とが担保を通じたコミュニケーションがしやすくなることにつながります。

 融通した資金が返済できなくなったときに、取り上げる担保の額はいくらか? と貸し倒れリスクばかりを気にするのではなく、経営の未来を事業者と話す機会が増え、それによって双方に新たな事業機会が生まれます。担保のパラダイムシフトと言ってもよく、有効性研究の結果、事例が増え、異業種でも活用の契機が訪れるのではないでしょうか。

 (コメント:ASCII FinTech記者 久我 吉史)

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