パイオニアブランドのLXシリーズというと、自動音場補正MCACC(Multi-Channel Acoustic Calibration System)を始めとした先進機能を数多く取り入れ、AVアンプの世界に金字塔を立てたものという印象がある。
SC-LX904は第6世代のダイレクトエナジーアンプ(クラスDアンプ)を搭載した、その最新モデル。さまざまな事情により一般販売はされず、クラウドファンディングで150台限定での提供となったが、ブランドのフラッグシップ機として、開発者の矜持が示された製品に仕上がっている。2008年のSC-LX90以来、培ってきた技術が凝縮され、ブランド最高峰の音を表明するが、その実力はどうだろうか? 東京・両国にあるONKYO BASEで体験してきた。
訂正とお詫び:タイトルの製品名に誤りがあったため修正しました。(2021年7月21日)
高周波ノイズを徹底的に排除した設計に
まず特徴であるアンプ部だが、11ch持つ独自開発のモジュールは、新開発のフィルムコンデンサとカスタムパワーコイルを採用して進化。通常のアナログアンプと比べて、実用最大出力に対する定格出力が大きく取り出せる(高出力になっても歪まない)という一般的な特徴を生かし、すべてのチャンネルを同一クオリティにするというMulti-Channel Stereophoic Philosophyの思想のもと、マルチチャンネル出力でも余裕を持った再現が可能となっている。
さらに、SC-LX904では、底面に置いたClass Dアンプ部と、上部に置いたアナログのオーディオ部の間をシールドして、ふたつを分離させた基板を採用するといった機構面での強化も図っている。DACチップにはESS Technologyの8chDAC「ESS9026Pro」を2基搭載。超低位相雑音の水晶発振器をマスタークロックに採用することで、全チャンネル(11.2ch)に対して高S/Nで高精度なD/A変換を実現させたとしている。
IMAX ENHANCEDに対応する点も特徴のひとつだ。IMAX ENHANCEDは家庭にもIMAX映画館に匹敵するクオリティの映像と音を届けるのがコンセプト。Ultra HD Blu-ray Discのほか、TSUTAYA TVでの配信も行われており、対応機器ではいわばIMAXお墨付きの品質が得られる。高解像度なHDR映像でありながら、映画館を思わせる落ち着いた深みを感じさせるグレーディングはもちろんだが、音響面でも劇場用ミックスから基礎とするDTS:Xへ変換する際に、ダイナミックレンジの圧縮(コンプレッション処理)をしないのがマニアには魅力的だ。情報量の低下や特性の変化がなく、ヘッドルームを広く取った劇場向けの再現が期待できる。
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