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1インチセンサー搭載カメラだけじゃない、「AQUOS R6」の進化ポイント

2021年07月07日 12時00分更新

カメラの実力は非常に高いがスキルも必要

 続いて注目度の高いカメラについて触れていこう。AQUOS R6はAQUOS R5Gとはカメラの構成がまったく異なっており、メインカメラは約2020万画素/F値1.9のカメラが1つ、フロントカメラは1260万画素/F値2.3。一般的なスペックで見ると、かなり見劣りするように見えるが、冒頭でも触れた通り1インチのイメージセンサーとライカが監修したレンズを搭載しており、むしろより高い性能を備えている。

カメラは1インチセンサーを搭載した1眼のみと、かなり思い切った構成。大型センサーの搭載もあって出っ張りはそれなりに目立つ

 イメージセンサーが大きければ、それだけ取り込む光の量が多くなるため、複数の画素をまとめて1つにするなどの必要がなくなり、暗い場所での撮影により強くなる。しかもAQUOS R6は、1つのカメラで6倍までのズームをカバーする形となっているため、ズームの度合いによって撮影時に明るさや色合いが異なる、といった問題があまり発生せず、統一感のある絵作りができるのはうれしい。

カメラアプリの標準状態での撮影。1つのカメラですべての画角に対応するため、実質的には1.2倍ズームでの撮影となる

こちらは同じ場所から広角で撮影した所。こちらが実質的な等倍での撮影となる

こちらはズーム(実質2.6倍)での撮影。デジタルズームは最大6倍まで可能だ

 実際に使用したのは2021年6月末から7月頭にかけてと、梅雨時ということもあって雨天・曇天での撮影となったのだが、AIによる加工処理がなくても綺麗に写せているのはレンズやセンサーの力が大きいと感じる。

こちら曇天で夕方、かつ逆光というシーンで撮影したものだが、被写体を鮮やかに撮影できている

 またイメージセンサーの大きさにより、ソフトウェア処理を使わなくても背景をぼかしやすくなるというのもメリットだろう。AQUOS R6にもソフトウェア処理による「背景ぼかし」の機能は備わっているのだが、そちらと撮り比べてみた場合、背景ぼかしは見た目に分かりやすいボケ効果が出せるのに対し、通常撮影の場合は髪の毛など細かな境界線の潰れも発生せず、より自然なボケ効果が得られる印象だ。

「背景ぼかし」を使わなくても、こうした自然なボケ感のある写真を撮影できる

人物の撮影で比較。こちらは背景ぼかしを使わない場合だが、髪の毛の部分が自然な形で残っているのが分かる

こちらは背景ぼかしを使った場合。ぼかし具合はよりくっきり出るが、髪の毛の細部は潰れてしまう。画角が変化する点にも注意

 ただ実際に色々撮影を試してみると、目的とする被写体にフォーカスが合わせづらいと感じるシーンが多かった。またカメラとしての機能を重視しているだけに、ソフトウェア技術をフル活用した最近のスマートフォンカメラと比べた場合、分かりやすく綺麗な写真を撮影するのは意外と難しいと感じたのも確かだ。カメラに詳しい人なら高い満足感を得られるだろうが、そうでない人は評価が分かれるだろう。

多くの葉の中に実があるというケースでの撮影。実にフォーカスを当てようとしてもうまく定まらないのが気になった

 一方で動画撮影に関しては、画素数が小さいこともあってAQUOS R5Gに備わっていた8Kでの撮影には対応しておらず、4Kで撮影した動画を8K画質にアップコンバートする仕組みで対応する形となる。なお従来から用意されている「AIライブシャッター」などの機能は引き続き利用可能だ。

動画撮影は4Kまでの対応。撮影中のベストショットを自動的に写真にする「AIライブシャッター」などの機能は引き続き用意されている

性能は最高クラスだがワイヤレス充電は見送り

 性能面を確認すると、チップセットはクアルコムの最新ハイエンド向け「Snapdragon 888」を搭載しており、メモリーは12GB、ストレージは128GB。ベンチマークを取ってみても同クラスのスマートフォンに引けを取らない内容で、現時点では最高クラスと言って間違いない。

「Geekbench 5」のCPUベンチマークの結果

「3DMark」(Wild Life)のベンチマーク結果

 ゲームもいくつか試してみたが、主だった所でいうと「PUBG MOBILE」では現状Androidでは最高の「FHD」、「原神」でもデフォルトで「中」、画質を最高に上げても支障の出ないプレイが可能であるなど、スマートフォンでは最高クラスの設定でプレイできた。

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定画面。現時点では最高の「FHD」まで設定が可能だ

「原神」の画面設定。「デフォルト」は「中」で、「最高」にしても快適なプレイが可能だった

 それに加えてディスプレーのリフレッシュレート120Hz駆動にも対応しているほか、それに加えて「AQUOS zero5G basic」などと同様、アプリをゲーミング登録すれば240Hz駆動に対応し、より滑らかな表示を実現できる。こうした点もディスプレー素材が有機ELに変更されたメリットといえ、ゲーミング用途としても十分な実力を持つことは確かだろう。

 またバッテリー容量は5000mAhと、AQUOS R5G(3730mAh)と比べ大幅にアップしており、こちらも現行のスマートフォンでは最高クラスといえる。ただその一方で、AQUOS R5Gに続いてワイヤレス充電への対応は見送られているようで、手軽に充電したいというニーズに応えられていない点は残念な所だ。

 もちろん国内メーカーの携帯大手向けモデルということもあって、IP68の防水やFeliCaなど、基本的な性能はしっかり抑えられている。最近のAQUOSシリーズのスマートフォン同様、指紋でのロック解除と同時に決済アプリなどを起動できる「Payトリガー」も搭載されており、FeliCaでもQRコード決済でも、決済がしやすい仕組みが整えられているようだ。

【まとめ】有機ELの効果がてきめん、カメラはやや玄人向け

 改めて振り返ると、AQUOS R6はカメラだけでなく、ディスプレー素材を有機ELに変更した影響が非常に大きいと感じる。AQUOS R5Gでの不満点だったデザイン面の課題が有機ELの採用で一気に解消されており、所有している満足感が大幅に高まっているのはうれしい。

 一方でカメラに関しては、1インチセンサーの搭載で確かに高い実力を持つようになったと感じるものの、最近多くのスマートフォンが力を入れている、ソフトウェア加工をフル活用した写真の人工的な綺麗さに慣れている人が使うと、期待外れの印象を受けてしまう可能性があるのも気になった。一括で10万円を超える価格を考慮しても、「Xperia 1 III」などと同様、カメラに知識を持つ人が工夫して撮影するのが楽しい、やや玄人寄りのスマートフォンといえそうだ。

シャープ「AQUOS R6」の主なスペック
ディスプレー 6.6型Pro IGZO OLED(19.5:9)
画面解像度 1260×2730
サイズ 約74×162×9.5mm
重量 約207g
CPU Snapdragon 888 5G(オクタコア)
内蔵メモリー 12GB
内蔵ストレージ 128GB
外部ストレージ microSDXC(最大1TB)
OS Android 11
5G対応 サブ6
無線LAN Wi-Fi 6
カメラ画素数 約2020万画素(F値1.9、19mm相当)+ToF
イン:約1260万画素(F値2.3、27mm相当)
バッテリー容量 5000mAh
防水/防塵 ○/○(IPX5,8/IP6X)
FeliCa/NFC ○/○
生体認証 ○(画面内指紋、顔)
SIM nanoSIM×2
USB端子 Type-C
イヤホン
カラバリ ブラック、ホワイト
取り扱い ドコモ、ソフトバンク

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