パソコンとの出会い、夢中だった学生時代
次に、野間氏が語ってくれたのは、自らの学生時代から起業にいたるまでの半生について。エンジニアでもある野間氏は、中学で入った物理研究部で電子工作に夢中になり、自分でロボットを作っていたという。
「当時はキットなどがなく、秋葉原に行って部品を調達しなければいけなかった。でも、中学生にとって、秋葉原までの電車賃と回路などの部品代は決して安い買い物じゃなかった」という野間氏は、お金のかからない方法はないかと考えたすえ、行き着いたのがパソコンだった。
「パソコンなら、プログラミングをどんなに組んでもランニングコストがゼロというところが、大きなモチベーションになった」ことが、プログラミングを始めるきっかけになったという。
その後、大学で電子工学科に進んだ野間氏はC言語を学ぶようになり、「ここでプログラミングの基礎を学んだことが、今につながっている」と話す。ソニー入社後にインターネットと出会い、ホームページサービスなどを手掛けるベンチャー企業に転職。趣味のラジコンやボートを楽しみつつブロガーとしても活動していくことで、段々とものづくりの分野にも詳しくなっていった。
「テクノロジーだけが人類を進化させる」
ところで、そもそも野間氏は昔から無人自動操船ヨットをつくろうと思って生きてきたのか?
「自分でヨットを作って乗るとは、3年前まで考えていなかった。ましてや、中高生のころになんて想像すらしなかった」と野間氏。「自動操船の無人ヨットはそもそも存在してないものなので、想像もできないし、それを目標にした道筋も立てられないですしね」。
では、いったいどうして今のビジネスを思いついたのか。「ここに至ったのは、偶然の積み重ね」と野間氏。自動操船ヨットのアイデアは、昔からあるヨットに、ラジコンやGPSなどの新しい技術を組み合わせたら『海のドローン』ができると思いついたことがきっかけだったという。「しかも、周りを見てもまだやっていない分野だったこともラッキーだった。多くの人が手掛けている分野は競争率も高い」と話したうえで、野間氏は「今の仕事で使う専門知識のうち、学校で勉強したことはほとんどなかった。教科書は過去のことしか載っていない。過去と同じことを繰り返しやることには役立つが、これから起きることは一切載っていない。だからこそ、新しいことをやろうと思ったら、自分で学ぶ『自学自習』が大切」だと伝えた。
さらに、これから必要とされる力として「3つのC」を紹介。
Collaboration/コラボレーション(協働作業)は、自分にはできないことも、それをできる人と一緒にやることで、自分の目標を実現する力。Communication/コミュニケーション(意思伝達)は、一緒にやってくれる人に、やってほしいことをきちんと伝える力。
そして特に身につけて欲しいと思う3つ目の力、「Critical Thinking/クリティカルシンキング(批判的思考)は、当たり前だと思うことにも、『これって本当かな?』とその理由を考えて、自分で確かめることで、発想力にもつながっていく」という。「これらの力を身に着けるのに、パソコンは必要。知識を得るために大事な『読み書きそろばん』は、現代は『読み書きパソコン』となった。もはやパソコンは使えるのが当たり前で、パソコンを使って何を成し遂げるかということが、課題になる」と話した。
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