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いい音楽をさりげなく楽しめる、粋な組み合わせ

3万円で買えるHi-Fi、CAMBRIDGE AXC25/AXA25のさりげなさ

2021年05月26日 13時00分更新

ケンブリッジオーディオの「AXC25」「AXA25」

 「もうこれでいいんじゃない……?」。記事でそういう表現をたまに使うことがある。いまオーディオ市場で注目を集めるのは、高級機種が中心になっているが、手ごろな価格でいい音が聴ける機種も探せばあるもの。ケンブリッジオーディオの「AXC25」「AXA25」のコンビはその象徴かもしれない。ライフスタイルへの溶け込みも含んで、CD再生を中心としたオーソドックスなオーディオを考えた場合、「必要十分」と改めて思えたので、敢えてそう書くことにしたい。

鳴らしてビックリ、「これでいいじゃん」と思える音

 AXC25/AXA25は、Hi-Fiフルサイズコンポとしては破格の実売2万円台の機種。手が届きやすいオーディオ機器と言える。デザインは写真の通り薄型で、ガンメタ調のフロントパネルが精悍だ。特にAXA25はツマミだけでなく、電源LEDとミニジャックのバランスも取った美しい対称デザインで、ホンモノらしさを醸し出している。

対称形の美しいデザイン

 イギリスのケンブリッジオーディオ(Cambridege Audio)は1968年設立の歴史あるオーディオブランドだ。アンプ開発で定評があり、多機能な一体型デジタルオーディオであるEVO(日本未発売)やセパレート型のハイエンドアンプなど豊富なラインアップを持つ。AXシリーズはその中ではローエンドの機種だ。

 本体は拍子抜けするぐらい軽く、放熱用のスリッドから透けて見ると、内部はかなり余裕があるようだ。おそらく筐体を上位製品と共通化しているためだろう。ほかにもイジェクトボタンを押した際に出てくるCDトレイの勢いが暴力的でちょっと驚く面があったり、電源ボタンのLEDが明るくて、オンと待機状態の区別がしにくいといった面もあった。しかし、音を出してみるとビックリ、本当によくスピーカーを歌わせてくれるのだ。

アンプの入力端子は4系統。

背面のスピーカー端子は、バナナプラグ対応となっている。仕様上は8Ω対応。

 組み合わせたスピーカーは手持ちの「DALI Royal Menuet II」。少し古い製品だが、デザイン的なマッチングがよく、何よりこのシステムはスピーカーの持ち味を良く引き出してくれる印象だ。音調はスッキリしていて、爽快で、柔らかくて、控えめだけど品の良さがあって……と、ぱっと聴きポジティブな表現しか思いつかない。「音楽のエッセンスを美しく引き出してくれる」と書いたらいいのだろうか。全体に柔らかい音調ではあるのだが、女性ボーカルの高域などがキリリと立って音色感が豊かだし、歌詞はもちろん、声のかすれやブレスといったディティールもよく分離する。

 中島美嘉『DEARS』『TEARS』、孫燕姿『The Moment』などでは声の魅力を存分に楽しめた。

 一方で、古めのロック(デヴィッド・ボウイの『イメージズ』)などでは、少々ナローでアナログらしさがある、その時代の音(1973年発売、1966~1967年にリリースされた楽曲のベスト盤)を雰囲気よく再現する。このアルバムは“ハイレゾCD”になっており、アナログマスターからリマスターして352.8kHz/24bitにしたものだが、ハイレゾ/MQA対応DACを通さず、44.1kHz/16bitのCDとして聴いても十分に楽しめる。「この曲をこういう音で聴きたかったのだ」という、心の奥底に隠れていた欲求を、具体化して理想的な形で届けてくれるコンビという印象だ。

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