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データビズラボの魅せる組織戦略!採用につながるコンテンツとは?

 データ分析・視覚化に特化したコンサルティングファーム「DATA VIZ LAB(データビズラボ)」には、応募者が絶えることはないそうです。特にアシスタントインターン生ではこれまで200名近くもの応募から採用されるのは1-2名という狭き門です。また、社員採用プラットフォームを合計すると毎月60名ほどの応募があり、この魅力ある組織をどのように作り上げたのか?同社代表取締役社長であり、『データ視覚化のデザイン』の著者でもある永田ゆかり様にお話を伺いました。(以下、本文敬称略)

データビズラボ株式会社 永田ゆかり代表取締役社長(左)
アクセンチュア、楽天、KPMGなどを経て、データビズラボ株式会社を創業。現・同社代表取締役社長。データ分析、データ視覚化(ビジュアライゼーション)のコンサルティングのほか、研修・セミナー講師、各種講演などを国内外で多数務める。内閣府 日本学術会議 総合工学委員会社会に資する可視化の小委員会 委員、Tableau Ambassador、Tableau ZEN MASTER 2019/2020/2021、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。著書に『データ視覚化のデザイン』。早稲田大学政治経済学部卒

自社のビジネスに合った独自の採用フローを仕組み化

マスクド:データの分析や可視化に興味を持ったきっかけはなんでしょう?

永田:大学時代は文系でデータやITの知見は少なかったのですが、以前楽天におりました際に BI(ビジネス・インテリジェンス) ツールに触れたのがきっかけです。統計などの基礎は大学レベルですし、社会人になって初めてデータ領域に触れたので、時間とお金を投資して短期間で一気に身につけました。まずはコンペや大会での作品提出を目標にして、3ヵ月間は毎日3~4時間かけて分析技術や手法、データベース、BIツールであるTableauを学びました。普通に受験生みたいに隙間時間でSQLの構文を単語帳で覚えていたりもしましたよ、何も知らなかったですからね(笑)。

 データ分析そのものやBIツールであるTableauを学ぶ中で、「データ分析や可視化をさらに社会的で一般的なものにしてみたい」という気持ちが強くなり、独立しました。

マスクド:独立後に人材採用を進める上で、意識している点はなんでしょう?

永田:起業直後は忙しすぎて採用基準をしっかり考え抜く余裕がありませんでした。それが原因で応募者の見極めができず、失敗も経験しています。そこで、試行錯誤して、ミスマッチを防ぐにはエントリーの時に最大限にコストをかけるしかないと思いました。入社後のずれを最小にするために、入り口(エントリー)のマッチング精度を上げることに力を入れるということです。

 これを実現するため、採用時の明確な基準を設けました。現在も少しずつ改変していっています。現在の当社の採用時の軸は以下です。それぞれ色々な言葉で言われる概念と思いますが、

・スキル
・ポテンシャル
・ロイヤリティ

 このほかに体力、もあるかもしれません。

 いずれにしてもまずはスキルや技術面を見極めるため、R、Python、MATLAB、SPSS、SQL、Tableauなどの試験をオリジナルで作りました。さらに思考力系の試験ではSPIと当社オリジナルのケーススタディ問題を行ない、考え方の過程や思考の道筋の質を確認する材料にしています。まずは筆記試験でスキルレベルを判定し、当社の業務にフィットするか判断しています。このような形での採用方式に移行してからは、ミスマッチが大幅に減って、とてもうまくいっています。

 また、採用するのはスキルを持った即戦力だけではありません。入社後に大きく成長する可能性を秘めた、基礎知力が高い人も重要です。特に学生であれば、文系理系を含めた専攻は考慮せず、基礎知力を重要視していますね。

マスクド:基礎知力を測るために面接ではどのような質問をしていますか。

永田:最初は「最近どんな本を読んでいるか」などの雑談から入って、応募者の感性や興味を探ります。次にいわゆる仮説検証力や構造化力などと呼ばれるコンサルティングのケースインタビューも行います。特にデータ分析や可視化においては、そもそも分析するものの見極めを間違うとすべて間違えてしまうので、こういった思考の土台の部分がデータを使ってビジネス価値を出すの非常に重要と考えているためです。

 加えて、言語化力も重要です。言葉の力や書く力は思考力と比例するので、注意深く見ています。たとえば職務経歴書や履歴書でも、どんなキーワードで自分の仕事を説明して、具体性と抽象度をどのぐらいの粒度で説明しているかを注意深く読み込みます。

 言語化力を鍛えるコツは、インプット・アウトプット・フィードバックのサイクルで鍛えることです。インプットする人は多いですが、アウトプットまで行なう人は少なく、フィードバックを貰える機会も稀です。このサイクルが重要なので、当社では社員全員で相互にフィードバックを行なっています。コンテンツの質を磨きあげるため、透明性をもって職位や立場を越えて意見交換を重ねていますね。社長である私も例外ではなく、週1回は必ず社員からのフィードバックを受けています。もしも周囲にフィードバックしてくれる人がいなくても、コミュニティに入るなどして、意見をもらえる環境をつくることが大切でしょう。

 そして成長性を探る上で重要なのは「素直さ」です。素直さがないと仕事の選り好みをして、新たな経験ができずに成長する可能性を失ってしまいます。当社はコンサルティングファームなので、インターン(アシスタント)であれば最初は議事録や資料作成から入ります。こうして幅広い経験を積むことが成長につながりますし、失敗から学んでもいけます。特にBIツールなどは常に新しいプロダクトや機能が登場するので、素直に学ぶ意欲がなければ厳しいと思います。

質の高い情報発信の成果で応募は絶えない

マスクド:選ぶ立場である応募者に対して、魅力ある企業にするためにどのような施策に取り組んでいますか。

永田:BtoBビジネスにおいては、クオリティの高いコンテンツを発信し続けることが、営業側にも採用側にも非常に重要と感じます。Twitter、Facebook、LinkedInなどSNSアカウントや、毎回100名前後応募がある当社のオンラインセミナーでも発信しています。こうした取り組みもあり、メディアからの講演依頼、海外講演、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本学術会議総合工学委員会の委員も務めさせていただいています。

 質の高い情報発信の成果として、アシスタントインターン生の募集をかけると、これまで200名以上の応募がありました。Wantedlyや大学掲示板、紹介に加えて、私個人のオンラインサロン経由、最近ではSNSから私宛に直接DM応募する学生も増えました。本人のSNSの投稿内容は職務経歴書や履歴書よりも情報量が多いですし、相性が良くなるケースは多いかもしれませんね(笑)。

 社員採用もそうですがインターン(アシスタント)採用も厳選しているので、採用に至るのは応募者100~200名につき1人です。優秀な学生とのつながりができれば良いですし、当社が新卒入社の候補に入ってくれたら会社としてはうれしいですね。また、社員応募はGreenやビズリーチなど採用プラットフォームを合わせると月60名前後来ています。

マスクド:勤務形態として正社員、業務委託、派遣社員などの区分や役割はどうお考えですか。

永田:まず、すべての勤務形態における共通点として、価値や成果を生み出していただく、ということがあるかと思います。そして今後の社会の大きな流れとして、正社員で採用すべき人材は「会社の文化や思想を体現している人」に絞られると考えています。企業側も採用において「正社員で雇用すべきか?」「外部の人材や企業を使うべきか?」と、問うことが多くなるでしょう。

 もちろん働き方の多様性として、フルリモート勤務を希望する方や、家庭の事情で時短勤務にならざるを得ない方もいますし、どれが良い悪いという問題ではありません。掲げられたミッションや価値観に共鳴できる企業に入れるかどうかが、仕事への満足度に大きく影響するでしょう。

まとめ

 データ分析やビジュアライズは、まだまだ発展途上の分野です。そんな状況でも泥臭い試行錯誤を繰り返しながら、質の高いコンテンツを発信する永田様とデータビズラボ社に、たくさんの応募者が集まるのは当然ではないだろうか。永田様に今後について伺うと、「大きな会場で行なわれるフェスのような、社会的にインパクトのある仕事・イベントを手掛けたい」と仰っていました。これからも永田様によるアウトプットを期待しております。

著者プロフィール
空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。
現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独特すぎる地位を確立する。
"自称"AIベンチャーを退職(クビ)後、ネットとリアルにおいてAI・データサイエンスの啓蒙活動を行う。
将来の夢はIT業界の東京スポーツ。
著書「AI・データ分析プロジェクトのすべて」が好評発売中(3刷決定!)。

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