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みずみずしい透明感と適度なゆるさを兼ね備えた音も魅力的

オールラウンドという言葉がふさわしい、ティアックの万能DAC「UD-701N」

2021年05月24日 17時00分更新

スピーカー再生派もヘッドホン再生派もきっと満足できる多機能

 まずは、UD-701Nの多機能性から。ざっと羅列してみよう。

  • USB再生/ネットワーク再生(Open Home)に両対応
  • 最大384kHz/32bit(PCM)と22.5MHz(DSD)対応
  • MQAフルデコードに対応
  • テレビとの接続に便利な光デジタル、ハイレゾCDも聞ける同軸デジタル
  • 困ったときに役立つアナログ入力
  • LINE-OUTは可変出力対応、プリアンプとしても活用可能

 さらに、スマホ/インターネット連携やヘッドホン再生機能も豊富だ。

  • 音楽ストリーミング再生に対応(Spotify Connect)
  • アップデートでRoon Ready/TIDAL Connectにも対応予定
  • ハイレゾ級のBluetooth再生(aptX HD/LDAC対応)
  • 標準的な6.3mm、バランス駆動対応のXLR 4pin端子を装備

 レコードやCDといった物理メディアの再生には外付けプレーヤーが必要になるが、アナログ入力を持つのでヘッドホンアンプとしても柔軟性が高い。ふだんはデスクトップやポータブル系の再生が中心という人に対しても、PC、スマホ、タブレット、ポータブルプレーヤー、そしてヘッドホンなどと接続できる点がメリットになるだろう。

背面パネル。USB再生/ネットワーク再生に両対応し、バランス接続にも対応。外部クロックも接続できる多機能機だ。

ヘッドホン端子は6.3mmに加え、バランス駆動用のXLR 4pin端子持つ。

 市場にあるUSB DACやヘッドホンアンプ製品としては、足りないものがないといってもいい印象だ。市場では筐体サイズやコストなど様々な理由で、少し足りないと感じる製品に出会うことが多い。例えば、ハイレゾ再生対応のUSB DACだが、光デジタル入力がない。PCMやDSDに対応しているが、MQAのデコードができないといったケースだ。ヘッドホンリスニングを検討しているのであれば、3.5mmや6.3mmの端子はあるけれど、バランス駆動は不可といった部分に歯がゆさを感じるかもしれない。

 これらを補うために、機能がかぶった製品をちょっとずつ買い足していく。その結果、部屋に機器があふれてしまうことも。これでは機能をまとめたくて一体型機を買ったはずなのに本末転倒な気がする。UD-701Nではそういったことはまずないと思う。強いて言えば、HDMI入力端子があると、SACDの再生もできていいかなぁと思ったりもするが、そこまでのニーズはあまりないだろう。

自社開発のディスクリートDACを採用

 オーディオ的な部分で注目したいのがDAC部だ。ここはなんと独自開発のディスクリートDACになっている。

 昨今のオーディオ機器に置いて、DAC部はデジタル信号をアナログ信号に変換する重要なパートだが、作るのが難しい面があり、ハイエンド機でもDAC専門のメーカーから供給されたチップを使って回路を組むのが一般的だ。

 オーディオ向けではAKM、ESS、そして、シーラス・ロジック、バーブラウンなどが代表的。中でもAKMの採用例が増えており、Referenceシリーズでも500番台の機種では「AK4497」を用いてきた。しかし、UD-701Nでは、自社で新開発した「ΔΣディスクリートDAC」を採用している。

 仕組みとしては、D/A変換の前段にFPGAを置き、独自アルゴリズムのデジタルフィルターを通したのち、1bitの信号に変換。それをディスクリートで組んだD/A変換部に通す仕組みだ。なお、DSDはもともと1bitの信号なので、そのままD/A変換部に送られる。構成は同じく独自開発DAC(MMM)を採用したマランツの製品などと似ているが、デジタルフィルターの処理の部分や、アナログ回路とも言えるD/A変換部のパーツ選定などで、汎用 DAC ICと異なるメーカーの色を出せるのが特徴だ。

CDの最大8倍(44.1kHzの場合は352.8kHz/48kHzの場合は384kHz)のアップサンプリングに対応している。

 また、「ROOT-NEO」というPCM信号のアップコンバート機能も持っており、44.1kHz/48kHzの信号を8倍まで(最大384kHz)に補完できる。ROOT-NEOを通すと、CDに収められない22kHz以上の情報も補完できる。USB経由でやり取りする信号の伝送に関してもインターフェイス社が提唱する「Bulk Pet」方式を採用するなど、先進スペックを取り入れている。

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