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Core i9も乗りこなす、PCIe 4.0 SSDも無線LANも使えるミドル鉄板マザー「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」

2021年05月26日 11時00分更新

文● 松野将太 編集●ASCII

 今年3月30日に販売が開始された、IntelのデスクトップPC向け第11世代Coreプロセッサー(コードネーム:Rocket Lake-S)。最新CPU向けのチップセット「Intel 500」シリーズ搭載マザーボードは、一部製品がCPUの発売に先駆けてリリースされていたが、現在ではさらにラインアップが増加し、実に豊富な選択肢が用意されていると言っていいだろう。

 ASUSのZ590チップセット搭載マザーボード「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」は、10製品を超える豊富な同社製Z590マザーボードのラインアップの中で、価格と機能のバランスが魅力のミドルクラスモデルだ。「F Gaming」シリーズはゲーミング向けブランド「ROG」の鉄板商品とも言えるが、同製品は前世代と比較してVRMのフェーズ数が増加し、M.2スロットの拡張性が高まるなど、さらに洗練された逸品に仕上がっているのが特徴と言える。

「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」。実売価格は3万5000円前後

 この記事では「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」のサンプルをもとに製品の特長をチェックしつつ、新発売の同社製CPUクーラー「ROG STRIX LC II 280 ARGB」と組み合わせた際のベンチマーク結果などを紹介していく。

前世代から各部をアップグレード、ミドルクラス製品としての総合力はピカイチ

 「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」で特徴的なのは、先に述べた通り前世代の製品からVRMのフェーズ数が増加している点だ。具体的には、「ROG STRIX Z490-F GAMING」時代に12+2フェーズだった回路が、14+2フェーズの計16フェーズにアップグレードされている。

電源まわりが強化されているのがひとつの特徴。前世代からフェーズ数が増え、14+2フェーズの計16フェーズになった

ヒートシンクが大型化し、I/Oシールドもインパクト抜群

 この世代のマザーボードで使用が想定されている第11世代Coreプロセッサーは、全体としてCPUのコア/スレッド数が控えめであり、動作クロックも前世代から大きく伸びていない。ただし、そもそも5GHzを超える高クロック動作が可能なSKUが多く、さらに上位CPUで使用可能なブースト機能「Intel Adaptive Boost Technology」をサポートしなければいけない都合もあってか、結果的にマザーボード側はVRMのフェーズ数が増加しているようだ。ヒートシンクも大型化しており、もはやミドルクラスとは思えないほどの存在感を発揮している。CPU補助電源コネクタは8pin+4pin構成で、6層PCB基板による放熱能力の確保など、上位CPUをしっかり扱えるだけの余裕があるのが嬉しいところだ。

CPUソケットはIntel LGA1200。第10世代Coreプロセッサーも利用できるが、Z490マザーに比べメリットはない

CPU補助電源は8+4pin構成

 CPUソケットはIntel LGA1200対応。第11世代Coreプロセッサーのほか、前世代の第10世代Coreプロセッサーも引き続き使用可能だ。ただし、第10世代Coreプロセッサーの使用時はPCIe 4.0、DMI3.0採用によるバス幅増などの恩恵は受けられない。基本的には、第11世代Coreとセットで使用するのがベターと言えるだろう。

メモリースロットは片ラッチ仕様で、最大128GB(DDR4-5300×4)に対応

M.2スロットはなんと4つ搭載。最下段のスロットは1枚のヒートシンクで2スロットがカバーされている

ヒートシンクを外せばスロットにアクセスできる。最上段以外のスロットはネジ留めなしでSSDを固定できる「M.2 Qラッチ」を採用している

SATA 3ポートは最大6つ利用可能だが、一部M.2 SSDとの排他あり

 メモリースロットは4本、対応メモリーは最大128GBで、「Optimem II」テクノロジーによりDDR4-5300までの超高クロック動作のサポートを実現している。また、ストレージはSATA 3.0(6Gbps)ポート×6のほか、最大4本ものM.2スロットを備えている点が目を引く。これらのスロットはM.2_1およびM.2_2の2スロットがPCIe 4.0 x4対応で、M.2_3およびM.2_4は最大でもPCIe 3.0 x4動作となる。一部スロットは第10世代Coreプロセッサー搭載時に使用できず、細かい排他があるなど多少扱いに注意は必要となるものの、このクラスでも4本のM.2 SSDを利用できるのは実に今どきのマザーボードといった印象だ。最近はM.2 SSDの容量単価もこなれてきたため、いっそシステムドライブからデータドライブまで、すべてをM.2 SSDで賄ってみるのも面白いだろう。

 拡張スロットはPCIe 4.0x16スロット×2(PCIe x16_1およびPCIe x16_2スロットはx16またはx8/x4動作)、PCIe 3.0x16スロット×1(最大でPCIe 3.0x4接続)で、こちらも第10世代Coreプロセッサーの搭載時は動作モードがPCIe 3.0に切り替わる。3つのスロットのうち、上段2つが金属補強したセーフスロットなのは従来通りだ。

地味ながらオーディオ機能が強化されているのもポイント。Realtekの「ALC4080」とSavitech製アンプをチューニングした「ROG SupremeFX」を搭載し、再生解像度を最大192kHzから384kHzまで向上させている

インターフェースは充実しており、無線LANも利用可能。ミドルクラス製品らしく、CMOSクリアボタンなども用意されている

 背面インターフェース類は、2.5ギガビット有線LANやUSB 3.2 Gen2x2 Type-Cポートのほか、計10個のUSBポートを用意するなど、上位製品に迫る充実度を誇る。加えてWi-Fi 6対応の無線LAN通信も利用可能であり、このクラスの製品としては機能的にも申し分ないと言っていいだろう。ちなみにI/Oパネルは近年のトレンドでもあるプリマウントタイプ。

Core i9-11900Kと「ROG STRIX LC II 280 ARGB」の組み合わせで性能を検証

 最後に、「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」を使った簡単なベンチマークで性能がしっかり出ているかどうかを確認しよう。CPUは第11世代Coreプロセッサーの最上位モデル「Core i9-11900K」で、CPUのPower Limit設定は一般的な利用シーンを想定し、無制限に設定。メモリーはDDR4-3200、容量32GB(16GB×2)で、GPUはGeForce RTX 3080 Founders Editionを使用している。

「ROG STRIX LC II 280 ARGB」。実売価格は3万円前後

140mmのAxial-techファンを2基搭載し、280mmラジエーターを冷却する

ヘッド部分にはROGブランドのロゴが

 ちなみにCPUクーラーには、4月に発売されたばかりのASUS製オールインワン水冷クーラー「ROG STRIX LC II 280 ARGB」を利用した。「ROG STRIX LC」シリーズ初の280mmラジエーターを搭載しており、同社のグラフィックスカードでも使用されるAxial-techファンをラジエーター用にチューニングして採用するなど、確かな冷却能力とアドレサブルRGBによる華やかな発光が特徴だ。

CINEBENCH R23のスコア

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の結果

「CINEBENCH R23」を連続実行した際のCPU温度と実効クロック

 結果、どのベンチマークでもしっかりとCPU、GPUの性能を引き出せていることが分かるだろう。CPUクーラーの性能も良好で、PL設定を無制限としたCore i9-11900Kの発熱をよく抑え込めていると言っていい。続いて、PCIe 4.0 SSDの効果を対応SSDで確認しよう。以下の数値は、「CSSD-M2B1TPG3VNF」をM.2_1スロットに装着し、マザーボードのヒートシンクを付けた状態で計測している。

「CrystalDiskMark 8.0.1」の結果

 結果を見る限り、しっかりと順次読み込み5000MB/sの公称値に並ぶ速度が発揮できている。ちなみにこの際、SSDの温度(Drive Temperature)は50℃以下で推移しており、ヒートシンクがしっかり機能しているようだ。

迷ったらコレ、Z590マザー鉄板のアイテムに

 「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」は、Core i9クラスのハイエンドCPUの性能をしっかり引き出しつつ、性能と価格のバランスを取りたいユーザーにとって魅力的な選択肢に仕上がっている。M.2 SSDまわりの拡張性の高さはもちろん、無線LAN機能まで備えている機能面の充実ぶりはミドルクラスながら馬鹿にできないもので、これに不足を感じるというユーザーはあまり多くないはずだ。第11世代Coreのお供として、コスパは気になるが過度な妥協はしたくない、そんな欲張りなユーザーには特におすすめできる製品と言えるだろう。

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