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3D都市モデルを作る「Project PLATEAU」のポテンシャル

都市をデジタル化することで生まれる価値はどこにあるのか

2021年06月03日 08時00分更新

Project PLATEAUは都市計画、都市運営の変革を支えるか

 ここからは、内山氏・葉村氏によるトークセッションの模様をお届けする。(以下、文中敬称略)

内山:葉村さんの先ほどのお話は、デジタルツインで都市の課題を解決できるということですよね。PLATEAUのデータがあれば、これまでわからなかったことが可視化されます。

 データが蓄積されればまちづくりの科学化、スマートプランニングにもつながります。都市開発においては道路を広げていくばかりではなく、交通量の減少にも対応すべきだし、都市の魅力を向上させるためには人々の回遊空間のニーズにも応える必要があります。街が変わり、交通量は今後どのように変化するのか、回遊する人々に使ってもらえるベンチの設置場所はどこか、そんなことを仮想空間でシミュレーションできるのがプラトーです。可視化して、予測して、うまくいかなかったらまたデジタルに立ち戻って再度シミュレーションを繰り返すことができます。

葉村:いまでは自動車を開発する場合にも、データ上でシミュレーションを繰り返してからエンジンを開発したりしています。ソフトウェア開発もアジャイル化が進んでいます。そういうことを不動産会社の方と話していたら、不動産は建物ができてしまうのでアジャイルなんて無理という話になりました。確かに建築のアジャイル化はできませんが、PLATEAUの3D都市モデルがあれば都市レベルでのアジャイル化は可能です。公園と道路の配置から交通の死角がわかったり、人が集まりやすい場所を作ったりできるでしょう。

内山:そうですね。まちづくりはアジャイルであるべきだと思いますが、作った建物を壊すわけにはいかないので、その整合をどう考えるかという課題はありますね。ハードウェアを作り直すのではなく、ソフト側で対処できることはあると思います。先の例でいえば道路も回遊空間も地べたであることに違いなく、利用方法の違いだけですから。できるだけ、いまある都市アセットを利活用していきたいですね。

葉村:PLATEAUがスマートシティやデジタルツイン実装に使えるかどうかについても、考えてみましょう。3D都市モデルで求められるのは、データ、解析、可視化です。ユーザーが触れるのは可視化された部分だけですが、都市のサステナビリティ、キャパシティ、フィジビリティ、スマートコントラクトなどの視点からは解析が欠かせません。PLATEAUの面白いところはセマンティクス性を持っていること。外部データやIoT機器との連携で、できることが拡張されます。

 このPLATEAUを活用した市場ベースのイノベーションを起こすために、政府には情報収集をがんばってもらいたいですね。City as a Serviceを進めるなら、IoTデータ収集は政府がやるべきだと思います。データを集めている事業者はたくさんありますが、一ヵ所に集まっていないんですよね。それにデータ変換の必要性もあります。たとえば「高田馬場駅」という建物ひとつをとっても、乗り入れている事業者により意味が違います。誰かがこれを翻訳しなければなりません。また、IoTのデータを収集するためには、公的なアセットの中に何かしらのセンサーを置くなどといったことが考えられます。これからの公共投資はそこにも目を向けていくべきでしょう。

「PLATEAUの面白いところはセマンティクス性を持っていること。外部データやIoT機器との連携で、できることが拡張される」

内山:データ規格の統一については国際規格もあるので、それに則るのが基本と考えています。現段階で収集されているデータは統一されていないので、商用利用やイノベーションへの活用が難しいという問題は耳に入っています。PLATEAUではそこに重きを置き、CityGMLという規格を採用し、コーディングの仕方やデータ規格の統一にも気を遣っています。統一的なドキュメントを出し続けて、事実上統一していくしかないと思っているので。

葉村:これから未来の都市作りを考えると、もっと違う視点もありますね。近い将来、空飛ぶクルマが出てくるかもしれないし、そうなったら3次元でセマンティクスを含めたデータが必要になるかもしれません。空飛ぶクルマは数十年後のことかもしれませんが、ドローンはすでに空を飛んでいますよね。

内山:ドローンのたとえはわかりやすいですね。今回、都市の高さや形、どんな施設なのかというデータを作りました。3次元の交通を考えるためにはさらに建物、道路、風、法的な規制などいくつもの情報が必要になります。しかしこれらを統合したものはまだありませんし、あったとしてもソフト側のパフォーマンスが追いつかずレンダリングができないでしょう。ドローンの運転に必要な処理は、まだ足りていません。クラウドを活用するなど、もっと使いやすくしていく努力も必要ですね。

 データ活用を便利にしたいけれど、(国土交通省)都市局はプラットフォーマーになるつもりはありません。プラットフォームをつくるために使いやすいデータを作ることが我々の仕事だと思っています。それを使って、アイディアや技術を持っている人が何か面白いことをやってくれることに期待しています。

葉村:都市開発や都市運営など、都市そのもののペインポイントを解決するという観点で、データ収集を責任持ってやって欲しいですね。

内山:ペインポイントに対して適切な解決策を届けるルートを、こちらもまだ見つけられていません。そういうことを知りたくて、こうして色々な場で情報を発信し、話を聞かせていただいています。

葉村:もしかしたら、都市をつくるところに関わるペインポイントを調査することも重要かもしれませんね。

内山:葉村さんには引き続き色々教えていただきたいです。今年、PLATEAUが大きく変わるのでぜひ見ていてください。

「PLATEAU Business Challenge 2021」
オンライン説明会のご案内

 国土交通省は6月4日、PLATEAUを活用したビジネスモデルコンテスト「PLATEAU Business Challenge 2021」のプレイベントを開催。会場はオンライン(Zoom)。当日は、国土交通省の担当者による3D都市モデルの説明・Q&A受付ならびにイベント自体の説明・Q&A受付を実施する。


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