今回のひとこと
「パナソニックがどう変わるのかというイメージが持ち切れていなかったが、現場プロセスの現状を見て、イメージが沸いた。Blue Yonderの全株式の取得は、将来に向かって変革を起こす機会として、いまやらなくてはならないと判断した」
パナソニックが、世界最大のサプライチェーンソフトウェア企業のBlue Yonderの全株式を取得すると発表した。
パナソニックは、Blue Yonderの株式20%をすでに取得しており、80%を追加取得。買収金額は71億ドル(約7700億円)となる。
同社の年間売上高は10億ドル(約1100億円)。ピーク時には2兆円規模の売上高を誇った三洋電機の買収に投じた金額を上回る。それだけの巨額買収については、業界内からも驚きの声があがる。
2021年4月1日付でCEOに就任し、6月には代表取締役社長に就任するパナソニックの楠見雄規CEOは、「100%子会社化したいという話はずっと聞いていた」としながら、「オートモーティブ社を担当しているときには、これだけの巨額の買収に疑問があった。Blue Yonderを買収して、パナソニックが大きく変革するのか、コネクティッドソリューションズ社(CNS社)がどう変わるのかというイメージが持ち切れていなかった」と明かす。
パナソニックは、現在、カンパニー制を敷いており(2022年4月に持株会社制に移行予定)、今回の案件は、最近まで楠見CEOが担当していたオートモーティブ社とは異なり、日本マイクロソフトの社長などを務めていた経験を持つ樋口泰行氏が率いるCNS社の案件だ。楠見氏は、2020年11月に、パナソニックの社長およびCEOへの就任が発表されており、この案件にはそこから取り組むことになったともいえる。
「立場が変わってから、しっかりと中身を見て判断したいと考えた。買収金額が巨額であったため、判断が後手に回ったところはあったが、現場プロセスの現状を見て、イメージが沸いた。CNS社が攻めるべき領域である『現場プロセスイノベーション』を徹底的に強化するために、どうしても必要なものである。短期間にシナジーがでるものではないが、将来に向かって変革を起こしていく機会として、いまやらなくてはならないと判断した」と述べた。
そして、「CNS社がソリューションプロバイダーとして、サプライチェーンに革命を起こし、世界一のリーディングカンパニーになるために不可欠な投資である」と位置づけた。
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