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スタートアップ5社のピッチ「JID Product Pitch 2021」 レポート

コスメのDX自販機など、非接触の新しい生活様式を見すえた新サービスが続々

2021年10月08日 11時00分更新

PR TIMES賞にInsight Tech

 5社のピッチを終えて、PR TIMESの高田育昌氏は、「プレスリリースになればどれも関心を持たれると思った。ただ何社かはどうすごく、何が新しいのか、ここがニュースだというところを平易な言葉で分かりやすく説明すればより良くなる」と指摘した。PR TIMESではリリースがプレス向けだけなく一般に広く読まれているので「文章では専門のテクニカル用語を極力使わない。画像や概念図、イラスト、写真、映像も使っている」とPR方法をアドバイスした。

PR TIMESの高田育昌氏

 YAZAWA VENTURESの矢澤麻里子氏は、「どれもレベルが高く、さすが60社の中から選ばれと感じた。いつもはもう少しお金が絡む審査をすることが多いが、今回はプロダクトを徹底的にユーザー目線で見せてもらい純粋な楽しさを感じた」と話した。「一般的なピッチではビジネスモデルやマーケットがどれくらいか、具体的にどこまでできているかを(審査で)聞かざるをえない。今回は純粋にプロダクトの面白さだった」と述べた。

YAZAWA VENTURESの矢澤麻里子氏

 司会を務めた合同会社pilot boat代表社員CEOの納富隼平氏が「(コロナ禍の)ニューノーマルで、I'mbeesideyouは『(自分たちは)コロナネイティブ』と言っていた。今までの常識が通じなくなり、スタートアップがVC(ベンチャーキャピタル)に伝えるべきことが変わるだろうか。市場規模と言われても今年からになる」と問いかけると、矢澤氏は「(ピッチの)審査項目も変わっていくべきでしょう。(5社は)コロナ禍の大きな変化を捉えていると思う」と応じた。

合同会社pilot boat代表社員CEOの納富隼平氏

 また、納富氏が「プレスリリースの書き方や内容もコロナ禍で変わるだろうか」と問いかけ、高田氏は「プレスリリースが今、コンテンツとして生活者からスマートフォンで読まれている。プレスリリースを出す時はスマホで読みやすいかを意識したほうがいい。またSNSで先行し、そのあとメディアで報じられるパターンもある。メディアに届けつつ一般の人に読まれるようにするのはタイトルがやはり大事。読むべきかどうか判断されるので」と答えた。

 続いて審査結果が発表され、PR TIMES賞は自然言語処理を活用した顧客の声分析のInsight Techが選ばれた。副賞としてPR TIMSのプレスリリース配信を6ヵ月無料で使える。Insight Techの西園博文氏は、「頂けると思っていなかった。ローンチして間もないサービスなので、せっかく頂いた機会をいかしてプロダクトを広めていきたい」と喜んだ。

PR TIMES賞を受賞したのは自然言語処理を活用した顧客の声分析のInsight Tech

 TIS賞は脳波による感情分析と視線推定AIのSandBoxが選ばれた。副賞はTISのノベルティとTIS主催のピッチイベントの出場権が与えられる。リモート参加したTISの中村雅春氏は「TISのヘルスケア部門やデータ分析部門、他のグループ会社とシナジーが見込める」と評価した。SandBoxの菊地秋人氏は「さまざま産業に応用していくフェーズなので、TISの力も借りながら事業を推進したい」と抱負を語った。

TIS賞は脳波による感情分析と視線推定AIのSandBox

 最優秀賞は、高価格商品を非対面で売るDX自販機のPRENOが選ばれた。選定理由を矢澤氏が「最初は自動販売機と聞いて疑問を持ったが、話を聞いていくと汎用(はんよう)性があり、幅広い形で(人と)つながっていける。顧客と新しいタッチポイントを増やせることが非常に面白い。ぜひやりきってください」と説明し、応援した。PRENOの肥沼芳明は「この賞に恥じないようにしたい。海外でも話を頂いており、海外でも使ってもらえる日本発のプロダクトにしたい」と喜びを語った。副賞は「ASCII STARTUP」でインタビュー記事掲載。すでにPRENOの紹介記事を掲載済みなので2回目のインタビューを予定する。

最優秀賞はDX自販機のPREN

 表彰を終えて最後に矢澤氏は、「これからビジネスモデルに落とし込んでいくのはたくさんの困難があるが、最初に感じたプロダクトに対する熱い思いを忘れずに頑張ってほしい」と話し、高田氏は「5人ともすばらしかった。5社のような行動者や挑戦者の情報をこれからも多くの人に届けていきたい」と述べた。ASCII STARTUPの鈴木亮久氏は「72点満点でどれも5点差以内の接戦。どこが最優秀賞に選ばれてもおかしくなかった。みなさんのプロダクトが当たり前に使われていく世の中になる」と講評の舞台裏を説明して締めくくった。

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