マンガとアニメの祭典「IMART」とは?
マンガ・アニメ業界の注目を集めた「IMART(国際マンガ・アニメ祭Reiwa Toshima)」。その第2回が去る2021年2月26日~27日にオンライン開催されました。そこで今回は、実行委員会共同代表・土居伸彰さんにイベントの内容から裏側までをたっぷり伺いました。
なお、IMART2021はオンラインでのアーカイブ視聴が可能です。皆さんも気になるセッションを覗きながらご一読いただけますと幸いです。
業界最前線からの声を聞ける貴重な機会
まつもと 今回は、2021年2月26日から27日にオンラインで開催される、マンガとアニメの祭典「IMART」がどんなイベントなのか、その仕掛け人である土居さんに詳しくお話を伺っていこうと思います。題して「マンガとアニメの交点とは? IMART実行委員・土居さんに聞く」です。
土居 IMART実行委員会で実行委員長を務めております、土居です。よろしくお願いします。
まつもと ではさっそく、「IMART」とはどんなイベントなのか、その概略を教えていただいてもよろしいですか?
土居 「IMART」とは、「International Manga and Animation festival Reiwa Toshima」の略で、マンガとアニメーションに関するカンファレンスやトークセッションを中心にしたフェスティバルです。第1回は2019年11月に開催し、今回が第2回となります。
マンガとアニメーションの分野において、業界的に「あの人すごいよね」「面白いことをやってるよね」という人を一堂に集めて、その知見を披露していただくイベントです。
マンガとアニメ、異なる分野の最新情報を相互にインプットしていただいて、それぞれで新たな化学反応を起こしてみたいな、と考えています。
まつもと たとえば、マンガ原作のアニメは毎年大量に生まれてきます。エンターテインメントのジャンルとしてマンガとアニメは非常に近いところにいるにも関わらず、IMARTのようなイベントはほとんどありませんでした。これは「産業」としての形態がかなり異なっていることが理由であると思います。
それをIMARTでミックスできたのは、マンガとアニメ、いずれの産業にも身を置いていない土居さんや山内さん(IMART共同代表)がイベントを手がけたからだと感じました。
土居 このIMARTというイベントは行政主導によるイベントなのです。まず2019年に、文化庁によって豊島区が「東アジア文化都市」に指定されます。これは、現代の芸術文化や伝統文化などに関連する文化芸術イベントを実施して、日中韓の文化交流を促進することが目的でした。
そのイベントをどういった内容にするかは指定された都市に委ねられるのですが、豊島区は従来から力を入れている「演劇」とともに「マンガとアニメ」というジャンルを押し出したいと考えたのです。
豊島区ではコスプレイベントも盛んです。「乙女ロード」も有名ですね。アニメイトの本店もありますし。マンガやアニメを消費する街という側面があります。そして豊島区には「トキワ荘」がありました。ですから「日本のマンガ・アニメの源流は豊島区にある」というアピールをしていきたい考えのようです。そこで僕と山内さんが呼ばれて、いくつかのイベントを立案した、というのが内情です。
そのためIMARTには、マンガ・アニメの消費がベースになっている豊島区において、それらの「源流を探る」という意味合いがあると同時に、イベントでは商業や経済といったことまで踏み込む必要があったのです。
さらに言えば、あのトキワ荘というのは、今で言うところの「インキュベーション施設」という役割もありました。マンガ家の卵が集まって、若い時代を過ごし、有名になって巣立っていく……というような。そういった「トキワ荘スピリッツ」のようなものが存在する、新しいモノを生み出そうと強い意志を持つ人たちが集う場所を、豊島区として何か提供したいという考えでした。
まつもと なるほど。「トキワ荘」「マンガ」というキーワードから、産業振興や起業といった自治体がよく掲げるテーマも入れ込んでいったイベント、ということですね。
土居 そうですね。さらに言うと、日本のマンガやアニメーションもやはり産業志向、ビジネスがベースです。豊島区としては、区内で盛り上がっている産業を公が後押しし、官民が連携して芸術とビジネスの融合を図るにはどうしたらいいのか? ということを考えていました。
そのためさらにアニメーションビジネス分野に詳しい数土直志さん、マンガビジネス分野に詳しい菊池健さんを招き、僕と山内さん含めた4人がブレーンとなって、それぞれが思う今のマンガ・アニメにおける最先端の人たちを集めるイベントを開催したら盛り上がるのでは? ということで第1回のIMARTが開催できたわけです。
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