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WQHDゲーミング向けGPU「Radeon RX 6700 XT」の実力を試す【前編】

 2021年3月17日22時、AMDはRDNA2ベースの新GPU「Radeon RX 6700 XT」(以下、RX 6700 XT)に関する情報をワールドワイドで解禁した(国内販売は19日19時以降)。型番から分かる通り、昨年11月に登場し たRadeon RX 6800の下位モデルに位置付けられ、北米におけるMSRPは479ドル(単純計 算で5万3000円弱)となっている。

お詫びと訂正:掲載当初、スペック比較の表のRadeon RX 6700 XTのInfinity Cacheの数値と、検証環境の一部に誤りがありました。お詫びして訂正致します。(2021年3月25日)

 昨今の社会的・経済的状況から国内販売価格は極めて予想が難しい。本稿執筆時点(17日6時)時点でも販売価格予想は届いていないが、最安7万円になるのではないか、と筆者は予想している。

 RX 6700 XTのハードウェア的側面についてはこの後簡単にまとめるが、マーケティング的側面については「WQHD(2560×1440)ゲーミングにフォーカスを合わせたGPU」であることをAMDは強調していた。プレイヤー数や実際使われている液晶のスペックでいうと、まだフルHDゲーミングが圧倒的だ。しかし、AMDはWQHDかつ高リフレッシュレート(図参照)の液晶の出荷数は急激に伸びていると分析し、ここにターゲットを絞った製品としてRX 6700 XTを投入してきた。

 実際今時のゲーム向けGPUなら、フルHDだと一部のAAAタイトルを除けば高フレームレートが出せてしまうことが多く、フルHDゲーミング向けGPUはレッドオーシャン状態だ。そこでWQHDで勝負をかけようという戦略なのだろう。RX 6800シリーズでは高すぎ、かといってDirectX 12 Ultimateに対応していない世代落ちの Radeon RX 5700 XTはちょっと……という人に向けたGPUが、今回紹介するRX 6700 XTなのだ。

AMDの資料より引用。1440p(WQHD)ゲーミング液晶の出荷量が一番伸びているという主張だが、単にこれは製品数自体が少なかったからでは……?

WQHDでゲームをしてもらうには高リフレッシュレート液晶が必要。2019年Q3〜2020年Q3の集計ではWQHDゲーミング液晶のうち、リフレッシュレート100Hz以上の製品の出荷はほぼ2倍(+98%)になっているという

 今回は幸運にもRX 6700 XTのメディア向けサンプル(リファレンスカード)に触れる機会に恵まれた。ただ検証に割ける時間は短く、かつ年度末という悪条件が重なったので、今回は製品解説や基本的ベンチマークにとどめた前編とし、後編でもっと項目を増やして検証することにしたい。

価格的に入手しやすい(実際店頭で買えるとは言っていない)RDNA2世代のRadeonを待ち望んでいた人達にとっては福音となる「Radeon RX 6700 XT」のリファレンスカード

メディア向けサンプルの箱。RX 6800 XTや6800よりも薄い

箱を開封したところ

RX 6800より上は3連ファンだったが、RX 6700 XTのリファレンスデザインは2連ファンとなり、中央に「R」のロゴが配置されている

補助電源は8ピン+6ピン構成

映像出力系はHDMI2.1×1+DisplayPort1.4×3。上位モデルには存在したUSB Type-C出力はコストの関係からか削除されている


メモリーバス幅の狭さを補うInfinity Cache

 ではRX 6700 XTのスペックを確認しておこう。CU数40基、つまりSP数は2560基となるが、これは1世代前のRX 5700 XTと全く同じ。ただしメモリーバス幅が192bitと狭いが、VRAM搭載量は12GBと多い。先日販売が始まったNVIDIAの「GeForce RTX 3060」と似ている。既存製品との関係からRX 6700 XTの方がやや上のセグメント向けの製品といえる。

 対抗製品は型番的に“7”のついたRTX 3070が妥当だと思うが、あちらはメモリーバス幅256bitに対し、RX 6700 XTは192bit幅。性能に直結するメモリーバス幅を狭めてしまうのはリスクだらけの判断といえるが、AMDにはバス幅の狭さを補う技術がある。GPUのL3キャッシュというべき「Infinity Cache」だ。RX 6800/6800 XTのInfinity Cacheは128MBだが、RX 6700 XTのそれは96MBに減っている。それでもフルHD〜WQHDのパフォーマンス向上に効果が期待できるようだ。

RX 6700 XTと、その近傍のGPUとのスペック比較

256bit幅のGDDR6メモリーの帯域と消費電力をそれぞれ1とした場合、単に192bit幅に狭めると性能は0.6程度に落ちてしまう。しかし192bit幅にInfinity Cacheを組み合わせることで、消費電力を抑えつつ帯域は2.5にすることができる、とAMDは主張している

検証カードの情報を「GPU-Z」で拾ってみた。GPU-Z最新版でResizable BARの状況が確認できるようになったのは嬉しい

 アーキテクチャーは既存のRX 6800シリーズと共通なので技術的に語るべき部分はほとんどないが、動作クロックが非常に高い点に注目したい。リファレンス仕様ではブーストクロックが最大2581MHzだが、RX 6800の1905MHzと比較すると500MHz以上引き上げられている。

 AMDによれば回路規模を減らしたことで生まれた熱・電力的余裕からクロックを引き上げたということだが、ここまで高クロックで回るGPUは珍しい。改めて7nmプロセスの凄さを認識させられる。

 また、VRAMを12GBにした理由だが、WQHDゲーミングをターゲットにした場合、その位ないと今時のAAAタイトルでは厳しいという判断を下したようだ。

 下図がその根拠となっているデータだが、WQHDで最高画質設定(レイトレーシング含む)を利用するとVRAMは8GB以上消費するタイトルが目白押しである。

RX 6700 XTのレビュワーズガイドから抜粋。RX 6700 XTでWQHD環境におけるVRAM消費量(のピーク値)をゲームごとに調べると、最大11GB消費するゲームがあるという

 ただこの表はデータとして少々バイアスとミスリードも含まれている点には言及せねばならない。このVRAM消費量はどういった手段で観測しているか書かれていないが、Windows 10のタスクマネージャやGPU-Z等から観測できる「VRAM消費量」は、“実際に使われている(Used)”のか“確保されているだけ(Allocated)”なのか見分けが付かないのだ。

 例えば上の表に出てくる「Call of Duty: Black Ops Cold War」や「Godfall」は11GB使うとされているが、実際このゲームについてはVRAMがあればあるだけ使うスタイルであるため、VRAM搭載量の多いRX 6800 XT等を使えば14GB近くまで使っているように見える(物理搭載量の最大8〜9割が使用量として観測できる)。

 ただこの容量のうちどの程度が使われていて、どの程度が確保されているだけなのかは、普通のツールでは判別がつかない(そのゲームの開発者ならば詳しくモニターできるだろうが)。VRAMの余裕は心の余裕であることを否定する訳ではないが、8GBだからといって性能や限界が低いと安易に考えるのは危険なのだ。

新しい追加技術も発表された

 以下の内容は、RX 6700 XTのプレス向けブリーフィングで得られた情報について気になった点を簡単にまとめてみる。  まず1つめは、システムレイテンシー(インプットラグ)を軽減する「Raden Anti-Lag」がアップデートされ、DirectX 12のゲームでも効くようになったという話から。

AMDの技術力により、これまでAnti-Lagが対応できなかったDirectX 12ゲームでも、Anti-Lagが効くようになる。早ければAdrenalinの次のアップデートで実装されるのではないだろうか

 既存のRadeon Anti-Lagについてはハイスピードビデオ分析による検証を行なっているが、Anti-LagはDirectX 9ないし11のゲームでしか機能しないというのがこれまでの仕様だ。

 DirectX 12においてはゲームのプログラムがグラフィックスパイプラインをガッチリ制御するため、入力するタイミングをギリギリまで遅らせることはできない、というのがこの理由になる。

 Anti-Lag系機能の後追いだったNVIDIAは、DirectX 12でもレイテンシー低減機能を実装すために新たなAPI「NVIDIA Reflex」を生み出した。Reflex APIをゲームに組み込むことによって、DirectX 12でもレイテンシーを減らすことができる。NVIDIA Reflexについても検証した時は、Fortnite(DirectX 12)でも効果を確認している。

 しかし、AMDの謳い文句が本当なら、ReflexのようにAPIを組み込まなくてもDirectX 12の機能だけでシステムレイテンシーが削減できる。ゲーマーにとっては大きなメリットとなるはずだ。なぜDirectX 12でこのような機能が実現できるのかまでの解説は得られなかったが、ゲームを選ばないという理由でAnti-Lagは非常に興味深い。これについては改めて検証していきたいところだ。

 次にRadeon Boostもアップデートされる。ゲームの入力操作トリガーにして画面の解像度を動的に下げることでフレームレート低下を防ぎ、かつレイテンシーも下げるという機能だが、今回のアップデートで動いている時にVRS(Variable Rate Shading)を発動させことも可能になった。

 従来のBoostは解像度そのものを下げてしまうため画質が犠牲になってしまうが、VRSを利用することで画質の犠牲を抑えつつ、不要なレンダリング処理を端折りることが可能になる。ただDirectX 12限定(VRS自体がDirectX 12 Ultimateの一部であるため)な点には注意したい。

操作をトリガーにVRSを発動させることで描画負荷を下げる機能がRadeon Boostに実装される

 最後にAMD版DLSSというべき「FidelityFX Sharpening」だが、これについては何ら進展が得られていない。専用ハードを必要とせずオープンな技術を使うという触れ込みだが、まだゲームに統合するに至るまでの完成度には至っていないようだ。

RX 6800シリーズ発表当時の資料より再掲。AMD版DLSSとして期待されているFidelityFX Sharpeningは、まだ進捗すら公表できない段階のようだ


検証環境は?

 では今回の検証環境を紹介しよう。RX 6700 XTと対決させるGPUとして、1つ上のRX 6800と、1世代前のRX 5700 XTのリファレンスカードを、同じ“7”系GPUとしてRTX 3070(Founders Editon)を準備した。マザーボードのResizable BARは全て有効で検証した。

 ドライバーはRX 6700 XTのみレビュー用のβ版、それ以外はAdrenalin 21.2.3、もしくはGeForce 461.72を使用している。

【検証環境】
CPU AMD「Ryzen 9 5950X」
(16コア/32スレッド、3.4~4.9GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」
(簡易水冷、280mmラジエーター)
ビデオカード AMD「Radeon RX 6800 XT」リファレンスカード、
AMD「Radeon RX 6700 XT」リファレンスカード、
AMD「Radeon RX 5700 XT」リファレンスカード、
NVIDIA「GeForce RTX 3070 Founders Edition」
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」
(AMD X570、BIOS F33c)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)×2
ストレージ GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」
(NVMe M.2 SSD、2TB)
+ウエスタンデジタル「WDS100T2X0C」
(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「Leadex Platinum 2000W」
(80PLUS PLATINUM、2000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」
(October 2020 Update)

RDNA2の力強さを実感した「3DMark」

 では基本性能をみるために「3DMark」を使ったスコアー比べといこう。

「3DMark」のスコアー。RX 5700 XTはDXR非対応GPUであるため、Port Royalは実行できない

 まずこの結果を見れば、RX 6700 XTの性能はRTX 3070 FEとほぼ同等であることが分かる。ただDirectX 12ベースのTime Spy/Time Spy Extremeは少しRTX 3070に後れをとっており、メモリーバス幅の差(RTX 3070は256bit幅)が影響していると思われる。そしてPort RoyalではRTX 3070 FEに大差で負けているが、これはRDNA2のDXRパフォーマンスはAmpereのそれに比べると日が浅く性能が低いためである。

 次に同CU数対決となるRX 6700 XTとRX 5700 XT対決を見ると、どのテストでもRX 6700 XTが大差で勝っている。メモリーバス幅のハンデがありながら、RX 5700 XTの対し概ね25%程度上回っている。Infinity Cacheの効果や高クロック化でここまでの性能向上を果たしたと考えられるが、同時にRDNA2の凄さを改めて実感することができるだろう。

性能が上がったぶん、消費電力も高めに

 ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を利用してシステム全体の消費電力を比較してみた。“アイドル時”とはシステム起動10分後の安定値、“高負荷時”とは3DMarkの“Time Spyデモ”実行中のピーク値となる。

システム全体の消費電力

 アイドル時の値はそれほど変わらないが、RTX 3070 FEと3DMarkのスコアーが同程度のRX 6700 XTの方が消費電力が大きいので、高クロック動作に振った分RX 6700 XTは電力食いなってしまった、という感じだ。ただRadeon設定などで電圧を下げたり、Power Limitを押さえるなどすればワットパフォーマンスはかなり改善すると推測できる。

 3DMarkでスコアーが最下位だったRX 5700 XTの消費電力とRTX 3070の消費電力が近いことから、先のRDNA世代のRadeonはかなりワットパフォーマンスに劣っていることが再確認できたはずだ。


旧世代は圧倒したが、ライバルには一歩劣る「Rainbow Six Siege」

 では実ゲームベースでの検証に入ろう。まずは軽いゲーム代表として「Rainbow Six Siege」を試してみよう。画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測している。

「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

 まず平均フレームレートに注目すると、RX 6700 XTはRTX 3070よりもやや下の3番手に止まっている。3DMarkのスコアーはほぼ同等だったが、実ゲームでは若干劣ることもあるようだ。肝心のWQHDのデータに注目すると、RX 6700 XTは平均257fpsと、現状出ているWQHDゲーミング液晶のリフレッシュレートを超えるフレームレートは出せている。4Kでも高めのフレームレートが出せるが、上位のRX 6800やRTX 3070には及ばない。

 ただ2番手のRTX 3070のデータをよく見ると、最低fpsがどれも非常に低いことがわかる。これはAGESA 1.2.0.0ベースのBIOSとGeForceの組み合わせで見られる現象で、筆者の環境ではまだ解消するには至っていない。AGESA 1.0.8.0のBIOSまで巻き戻せば最低fpsもしっかり出るようになるが、PBO2や今後投入されるUSB周りの改善を考えるとAGESA 1.2.0.0以降にせざるを得ないので、メーカーさんには何としても頑張っていただきたいところである。

WQHDまでなら強い「Dirt 5」

 続いては負荷がマイルドな「Dirt 5」で試す。画質は“Ultra High”とし、動的解像度変更系設定は無効化した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測している。

「Dirt 5」1920×1080ドット時のフレームレート

「Dirt 5」2560×1440ドット時のフレームレート

「Dirt 5」3840×2160ドット時のフレームレート

 全体傾向は3DMarkに似ているが、フルHD〜WQHDまではRTX 3070 FEとほぼ同等の性能、かつRX 5700 XTに対しては最大5割近い性能向上を果たしている。ただ解像度が4Kになると、メモリーバス幅のより広いRTX 3070に負けることも確認できる。

 ちなみに、RX 6800シリーズレビュー時にはDXRを実装したクローズドβ版で検証したが、今回はDXRのない通常版で検証している。だが3月末ごろにDXR対応パッチが正式にリリースされるらしいので、それを使った時のパフォーマンスもいずれ試してみたいところだ。


圧倒的にRadeonが強かった「Assassin's Creed Valhara」

 最後に重量級ゲームの代表「Assassin's Creed Valhara」で試してみよう。画質は“最高”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Assassin's Creed Valhara」1920×1080ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhara」2560×1440ドット時のフレームレート

「Assassin's Creed Valhara」3840×2160ドット時のフレームレート

 まず驚くのはここまでずっと最下位を独占していたRX 5700 XTとRTX 3070のフレームレートがほぼ同レベルという点だろう。元々AMD肝いりのゲームだけあってRadeonに帯する最適化がかなり進んでいると考えられるが、Ampere世代のRTX 3070 FEが型落ちのRX 5700 XTに並ばれるとは意外だった(ただ解像度が上がるとRTX 3070 FEが力を持ち始めるが……)。

 そしてRX 6700 XTはRTX 3070 FEよりも最大45%上のフレームレートを出せている。元々このゲームはResizable BARの恩恵が強く得られるゲームであるのに加え、原稿執筆時点ではRTX 3070のResizable BAR対応vBIOSは未配布。Radeon最適化とResizable BAR対応でここまで差が付いたのは驚きだ。ただし解像度が高くなるとじりじりとRTX 3070に詰め寄られてしまい、4Kではほぼ追い付かれてしまう。メモリーバス幅192bitの辛いところだろう。

   RTX 3060のレビュー時では、メモリーバス幅192bit幅のGeForce RTX 3060では、Resizable BARがあまり効果を上げなかったので、その検証もここでしておきたい。RTX 3060でResizable BARの効果があまり得られない原因として考えられたのが、メモリーバス幅192bitの狭さだ。つまりRX 6700 XTでResizable BARの効果をチェックすれば、RDNA 2が優秀だから効果が出たのか、192bit幅から出ないのかがハッキリする。

 そこでResizable BARの効果が得られたAssassin's Creed Valharaで、Resizable BAR無効時のデータと比較してみたい。解像度はフルHDのみで行なう。

Resizable BAR有効・無効時における「Assassin's Creed Valhara」のフレームレートの違い

 RX 6700 XT環境では上のようにResizable BARを無効にしただけで約15%平均fpsが下がった。つまりメモリーバス幅192bit幅でもResizable BARは意味があることが確認できた。同時にRTX 3060でResizable BARの効果が見られないのは、GPUアーキテクチャーとゲームの組み合わせが悪い、もしくはInfinity Cacheのような仕組みがない、等の理由が考えられる。今後既存のGeForce側にもResizable BARが実装された時にどうなるかが楽しみだ。

評価は値段と入手性次第か

 駆け足だったが、RX 6700 XTレビュー前編はこれまでとしたい。後編ではもっと数多くのゲームでRX 6700 XTの性能や挙動を明らかにしていきたいところだ。

 だが今回のパフォーマンスを見る限りRTX 3070とかなり良いどころか、むしろ押しているという印象が得られた。メモリーバス幅192bitという狭さがネックだが、RTX 3070と同等、ゲームによっては圧倒することができる。

 もちろんDXR(DirectX Raytracing)を使ったゲームではRTX 3070に軍配が上がることは容易に想像できるが、DXRを使わないゲームの数が圧倒的なことを考えれば、従来型レンダリングを使ったゲームをプレイするのに格好のGPUといえるだろう。

 ただし、問題は価格だ。ライバルであるRTX 30シリーズは買いたくても簡単に買えない状態であるため、ここに十分な流通量を確保できれば覇権をとるのは確実だ。だが同じ7nmプロセスを使うRyzenの供給すらままならない現状を考えれば、RX 6700 XTの流通量にも期待はできない。欲しいなら初期ロットの確保に全力を傾けるようにしたい。

 ちなみに、RTX 3060で話題を呼んだマイニング制限だが、AMDとしてはそのような制約を設ける予定はないとプレス向けブリーフィングで語っていた。今回も仮想通貨マイナーとの激しい争奪戦になるだろう。この点においてもAMDには製品供給を頑張っていただきたいものだ。

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