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有線クラスのサウンド品質、外音取り込みの自然さにも注目

Shure掛けで使う完全ワイヤレス「AONIC 215 TWS」

2021年03月16日 13時00分更新

外音取り込みの自然さはほかに例を見ないでき

 Bluetooth 5.0対応で、Bluetooth標準のSBCのほか、AAC、aptXコーデックに対応、また、対応スマホとの間では、左右独立伝送のTrue Wireless Stereo Plusも利用できる。ただし、aptX AdaptiveやaptX HD、TrueWireless Mirroringなど、最新世代のクアルコムチップがサポートするコーデック/伝送方式は利用できない。

 また、アクティブ・ノイズキャンセル回路も持たないが、SE215自体の遮音性が高いため、あまり気にする必要はないだろう。

 通話に加え、RMCE-TW1側のマイクを使った外音取り込みも可能。

 外音取り込みの自然さは、機種によって品質に大きな差が出るところだが、本機は非常にナチュラルで違和感なく使える。ここは注目すべきポイントだ。同程度の聴こえを実現している機種は少なく、AirPods Proなどごく一部だと思う。ここは感度の良さだけでなく、聞かせ方=信号処理の仕方も重要になってくるところで、世界的なマイクメーカーであるShureのノウハウも生かされているのだろう。

 ウェブ会議などで使用する際にはヘッドセットしても利用できるが、PCとBluetoothのヘッドセットとして接続する場合は、A2DPではなくHSPプロファイルが使用され、片耳利用(右側からのみ音が出る仕様)になってしまう点は知っておきたい。

 ワイヤレス接続時の安定性に関しては、大きな問題はないが、離れた場所で電子レンジを使用するなど意図的に干渉を作ってみたところ、若干影響を受けやすい感じもあった。気にするほどではないが、アンテナが耳の先に飛び出るのではなく、耳の後ろに配置されるデメリットは多少あるかもしれない。

優れたアンプ性能が、高音質を提供する

 SE215の音質については、改めて述べるまでもない。SEシリーズの末弟となる、シングルダイナミックドライバー搭載機となる。

 Shureの上位モデルでは、BA型ドライバーを複数搭載する機種が多く、滑らかで解像感の高いサウンドキャラクターが特徴となっている。SE215は、上位機のトーンバランスを踏襲しつつも、上位機にはない、ダイナミック型らしい力強い低域の再現やハッキリとした輪郭感のあるサウンドが特徴となっている。

SE215

 イヤホンにはそれを駆動するアンプの存在も重要だが、RMCE-TW1であればそこも問題はない。SE846など10万円クラスのIEMも鳴らせるスペックということもあり、低インピーダンスなマルチドライバー搭載機との接続でも十分な性能がある。Bluetoothは伝送時に圧縮がかかり、そのぶん音質が劣化する面があるが、より重要なのはドライバーをどう駆動するかだ。ワイドレンジで駆動力が高いアンプの搭載は高音質な再生に重要な要素だ。RMCE-TW1はこのアンプ部分のできがいい。

 比較用に、aptXの伝送に対応した「Xperia 5 II」を用意し、ヘッドホン端子に接続した音とBluetooth接続時の音を聴き比べてみた。結果は、有線接続に比べても明らかな優位性を感じるほど良かった。

 Xperia 5 IIのヘッドホンアンプを通した音は、低域に量感があるがやや緩く不明瞭であり、さらに中高域にかぶって、ややこもった聴こえに感じた。

RMCE-TW1は単体でも販売されている(左がパッケージ)

 一方、RMCE-TW1ではこうした低域のかぶりはなく、中域や高域の情報量が増え、抜けのいいサウンドだった。ベースの量感自体は減ったが、ドラムスやベースといったリズム帯が団子にならずによく分離し、パワフルさと明瞭感を兼ね備えた好ましい再現となった。全体に、あまり高域を強調せず、中音~低域を重視した再現ではあるのだが、低域のかぶりが減ることで、ボーカルなど中音域の聞き取りやすさにつながったのだと思う。

 コーデック(SBC、AAC、aptX)の違いによる音の差はどうか。aptXとSBCを比較した場合、高域のざらつき感、S/N感などに差を感じた。ハイハットやシンバルなどをSBCで聞くと少し暴れる感じがあった。aptXのほうが全体のトーンが整い、各楽器の音の差が明確だし、付帯音などの少ない落ち着いた印象になる。ただし、ここはオーディオマニアなら気付く程度とも言える。アンプの差はコーデック以上に音質に影響を与えるのだろう。

 完全ワイヤレスイヤホンが採用するBluetoothチップは、多くの場合、アンプ機能も内蔵しているのが、敢えてアンプを外付けするメリットを十分に感じた。

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