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Innovative Wireless Speaker System「SOUND SPHERE」

無線で最大5.1chサラウンドが楽しめるオンキヨースピーカー、WiSA使い、5万円台から

2021年03月15日 13時00分更新

3.1ch構成でも音の動きを十分に感じ取れた

 Innovative Wireless Speaker Systemを短時間体験できた。

 スピーカーのサイズは少し大きめのデスクトップスピーカー程度でコンパクトだ。センタースピーカーはテレビ前に置くこともできるが、メーカーとしてはテレビラックの中央に収めることを想定している。

 ドルビーアトモスコンテンツを再生して感じたのは、高さ方向に音がよく広がる点だ。ドルビーのデモ映像では、水平方向にしかないスピーカーでも、テレビの上端より1~2m高い位置まで音場が広がっている感覚が味わえた。そして意外だったのは、敢えて5.1chにせず、3.1chで再生した際にも自分の周囲を回り込むような音の動きを感じ取れた点。スペースの事情でリアスピーカーが置けないリビングでもこれなら満足できそうだ。また、スピーカーはテレビの外側に配置することができるため、空間の広さはサウンドバーを上回る。

センタースピーカーは中央にツィーターを置いたダブルウーファータイプになっている。

 センタースピーカーを入れるとセリフなどが明瞭に聴こえるが、部屋がそれほど広くなければ、敢えて2.1ch再生にするという選択もありだろう。

 光デジタルとHDMIの2系統の入力を持つ点も嬉しい。映画などはeARC/ARCでテレビから、音楽はAmazonの「Echo Link」など光出力可能なネットワークプレーヤーを活用し、ディスプレーレスで聴くといった使い分けも可能だろう。

力感があって明瞭、音楽の再生にも適した品質

 音質面ではハッキリと明瞭なキャラクターが印象的。しっかりとした輪郭を感じる表現だ。そこまでワイドレンジではないが、ダイナミックレンジやS/N感も十分にあって、音に力強さがあるし、声の帯域がとても聞き取りやすい。低域に少し強調感(というか、張り出す感じ)があるため、完全にフラットなバランスという感じではないが、映画などを中心に楽しむ製品と考えれば、ここは納得できる。

ドーム型のツィーターは、音の指向性が広く、サウンドステージの広さにつながっていた

グラスファイバーを利用したウーファー、下側の溝はバスレフ効果を出すためのポート

 また、コロナ禍で急速に増えたライブのオンライン配信はもちろんだが、映画の世界でも『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/スター誕生』『ラ・ラ・ランド』といった音楽を中心に据えた映画作品もここ数年多く制作されている。こういった作品では、映像における音楽の再現力が重要になる。セリフや爆発などの効果音の聴こえに加えて、音楽や演奏の魅力をどう感じさせるかが求められる。となればやはり、サウンドバーのような一体型ではなく、独立したスピーカーとして設計されている本製品の魅力は大きいと思う。

タブレット操作にも対応した専用のアプリ

 使い勝手の面では、専用アプリを使うことで、左右の音の入れ替えなども簡単にできるので、右の音を鳴らすスピーカーを間違えて左側においてしまった場合でも、スピーカーを置き換える必要がない。マイクを使った自動音場調整機能までは持たないが、各スピーカーの距離や位置は、画面上のアイコンを見ながら、直感的に調整できて分かりやすい。

 JEITAの調査では国内のテレビ市場は2019年の130万台から2020年の180万台へと大きな伸びを示している。Netflixの契約者数も300万人規模から500万人規模に増えた。しかし、日本のスピーカー市場は毎年1万台程度と、45万台規模のグローバル市場と比べて小さい。映画・音楽・ゲーム・スポーツ観戦など、幅広いコンテンツに対してスピーカーでないと伝わらない感動や臨場感を伝えられ、かつ導入の手軽さも兼ね備えた製品がInnovative Wireless Speaker Systemだ。サラウンド再生の感動を伝え、スピーカー再生を手軽にする製品として期待したい。

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