Innovative Wireless Speaker System「SOUND SPHERE」
無線で最大5.1chサラウンドが楽しめるオンキヨースピーカー、WiSA使い、5万円台から
2021年03月15日 13時00分更新
オンキヨーホームエンターテイメントが、クラウドファンディングサイト“GREEN FUNDING”で先行販売中のワイヤレススピーカーシステムが「Innovative Wireless Speaker System」(SOUND SPHERE)だ。支援の受付期間は3月15日から5月13日まで。
5GHz帯の電波を使用し、最大96kHz/8chの信号を伝送できる無線オーディオ伝送技術“WiSA”を用い、スピーカーケーブルなしのサラウンドを実現する製品。2.1ch、3.1ch、5.1chの構成が選べる。
Bluetooth標準のSBC(約220ms)と比べて、1/40以下(約5.2ms)と非常に低い遅延も特徴だ。0.2秒という数字は、132のBPM(テンポ)で、8分音符・1拍分程度の遅れだ。つまり、Bluetoothでは、スマホの楽器演奏アプリなどが使えないほど大きな遅延が生じる。
低遅延である意味は、リップシンクのズレ(映像と音のズレ)による違和感の解消だけでなく、ゲーム操作の応答性なども含めて大きい。
96kHzのドルビーアトモス/ロスレス信号を伝送可能
WiSAはアメリカのサミット・セミコンダクターが開発した技術で、主に欧州・米国の製品向けに採用されてきた。オンキヨーグループでも過去に欧州市場向けの製品を投入したことがあるそうだ。しかし、多くの人が使うには高価な価格帯で、普及のハードルがあった。
一方でオンキヨーは、高品質な映画・ライブのネット配信が広がっている状況、そしてこうした経験を踏まえ、手軽かつ良質な音響で、“驚きと感動”を体験できるスピーカーが必要だと考えている。そのためには“音のライブ感”や、映画音響の3大要素である“ダイアログ・環境音・音楽”を的確に届けることが重要だ。
Innovative Wireless Speaker Systemは、5.1chでも約9万円(先着価格)。高付加価値のサラウンドスピーカーシステムとしては、リーズナブルな価格に収まっていると言えるだろう。
テレビからの音声信号を受け取ってサラウンド再生
まずは、Innovative Wireless Speaker Systemの構成について説明する。
テレビと接続したWiSA対応送信機から、各スピーカーに信号を飛ばし、ワイヤレスでサラウンド再生を実現するのが基本的な仕組みだ。
WiSA対応送信機は直径110×高さ27mm。HDMI入力(eARC/ARC対応)と、角型の光デジタルオーディオ入力を持っている。送信機とテレビは、eARC/ARC対応のHDMI端子や光デジタル端子を使い、ケーブル1本で接続可能。Blu-ray DiscプレイヤーやAmazon Fire TV Stick、Chromecastなどのメディア機器、そしてゲーム機といったデバイスは、テレビのHDMI入力に接続しておく仕組みだ。
対応フォーマットは最大96kHz/24bitのリニアPCM、Dolby Atmosなど。デジタル放送のMPEG-2 AACや新4K衛星放送で使われているMPEG-4 AACへの対応も検討しているという。
音量調整はテレビのリモコンから
NetflixやUltraHD Blu-rayのドルビーアトモスコンテンツを再生する際には、“Dolby Atmos Height Virtualizer”も使える。結果、高さ方向の広がりも意識した臨場感あふれる音場が楽しめる。ちなみに、ドルビーアトモスは、天井スピーカーを使った立体的な音響のための技術ととらえられがちだが、正確に言うと、音の位置を座標軸で指定して、チャンネルの多寡にとらわれず的確な位置に定位させるための技術だ。チャンネル数が増えれば、その再現性は増すが、スピーカーが少数でもそれに合った処理で音の位置を決められる。つまり5.1chや2chでも十分に効果を感じ取れるのだ。
本体にリモコンは付属しないが、Innovative Wireless Speaker Systemの音量はテレビと連動するので、テレビ付属のリモコンを使って、簡単に調節できる。専用のスマホ/タブレットアプリも用意している。マニュアルではあるが、設置環境に合わせて、各チャンネルごとの音量を調節したり、コンテンツに合わせた音質に切り替えられる。
スピーカーは共通のユニットで構成、つながりに優れる
スピーカーユニットは、直径76mmのグラスファイバーコーンと直径20mmのドーム型ツィーターを共通で利用している。
いずれもフロントバスレフタイプのアンプ内蔵スピーカーで、左右およびリアのスピーカーは幅110×奥行き150×高さ170mm/最大30W。センタースピーカーはウーファーを2基搭載し、幅230×奥行き150×高さ110mm/最大50Wだ。
フロントの3ch(L+C+Rch)はテレビラックに置くことを想定している。MDF製のエンクロージャーには、存在を主張しすぎないマットブラックの塗装が施され、剛性が高く、重量もある。安定した設置ができそうだ。
底面には三脚穴が付いており、市販のスタンドを使って、リアスピーカーを高い位置に置くこともできる。小型のスピーカーは点音源に近いため、定位感に優れる。5chすべてで同一のユニットを使っているため音のつながりも良い。
サブウーファーは幅380×奥行き310×高さ110mmで、150Wのアンプ出力。165mmのユニットを下向きに配置、左側に大きめのダクトも持つ。ワイヤレスかつ高さを押さえているので、ラックの前だけでなく、ソファーの下側など自由度の高い設置が可能だ。
大画面にしたが音が物足りない……という不満を解消
大画面テレビの売れ行きは好調で、Netflixなどの配信も伸びている。しかし、画質に音質が付いてこず、物足りなさを感じることも少なくない。
また、ディスク・配信のコンテンツだけでなく、放送でもマルチチャンネル化が進んでおり、テレビがそのハブになっている。こうした音質を体験しないのはもったいないと思う。
とはいえ、AVアンプを購入して、スピーカーも単品で揃えるのはハードルが高い。仮に機器を買うお金があっても、リビングに長いスピーカーケーブルを這わせることに抵抗感を持つ人は少なくないだろう。
一方、市場では比較的手軽にテレビの音質強化を図れるアイテムとしてサウンドバーが人気だ。ドルビーアトモス対応の製品などもあるが、テレビの手前に置く横長の製品であり、音の広がりは信号処理などで出すため、高さ方向を含めた、立体的な音場の再現には限界もある。本格的なサウンドを体験したいなら、やはりリアルの5.1chシステムが優位だろう。音場の広がり、明確な定位などに差を感じる。
そんな中、ワイヤレスサラウンドは、電源ケーブルの接続が必要になるため、完全にフリーではないにせよ、部屋の前方と後方でケーブルを分けてまとめられる利点はあるだろう。
eARC/ARCを活用し、テレビ周りをシンプル化できる点もメリットだろう。
最近はAndroid TV/Google TVなどの普及が進み、テレビ単体で映像・音楽・ゲームなど多様なコンテンツを楽しめる環境が整いつつある。また、PS5のような次世代ゲーム機では、サラウンド再生も重要な強化ポイントだ。大げさになりすぎるという理由でサラウンド再生をあきらめていた人にオススメしたい製品だ。
3.1ch構成でも音の動きを十分に感じ取れた
Innovative Wireless Speaker Systemを短時間体験できた。
スピーカーのサイズは少し大きめのデスクトップスピーカー程度でコンパクトだ。センタースピーカーはテレビ前に置くこともできるが、メーカーとしてはテレビラックの中央に収めることを想定している。
ドルビーアトモスコンテンツを再生して感じたのは、高さ方向に音がよく広がる点だ。ドルビーのデモ映像では、水平方向にしかないスピーカーでも、テレビの上端より1~2m高い位置まで音場が広がっている感覚が味わえた。そして意外だったのは、敢えて5.1chにせず、3.1chで再生した際にも自分の周囲を回り込むような音の動きを感じ取れた点。スペースの事情でリアスピーカーが置けないリビングでもこれなら満足できそうだ。また、スピーカーはテレビの外側に配置することができるため、空間の広さはサウンドバーを上回る。
センタースピーカーを入れるとセリフなどが明瞭に聴こえるが、部屋がそれほど広くなければ、敢えて2.1ch再生にするという選択もありだろう。
光デジタルとHDMIの2系統の入力を持つ点も嬉しい。映画などはeARC/ARCでテレビから、音楽はAmazonの「Echo Link」など光出力可能なネットワークプレーヤーを活用し、ディスプレーレスで聴くといった使い分けも可能だろう。
力感があって明瞭、音楽の再生にも適した品質
音質面ではハッキリと明瞭なキャラクターが印象的。しっかりとした輪郭を感じる表現だ。そこまでワイドレンジではないが、ダイナミックレンジやS/N感も十分にあって、音に力強さがあるし、声の帯域がとても聞き取りやすい。低域に少し強調感(というか、張り出す感じ)があるため、完全にフラットなバランスという感じではないが、映画などを中心に楽しむ製品と考えれば、ここは納得できる。
また、コロナ禍で急速に増えたライブのオンライン配信はもちろんだが、映画の世界でも『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/スター誕生』『ラ・ラ・ランド』といった音楽を中心に据えた映画作品もここ数年多く制作されている。こういった作品では、映像における音楽の再現力が重要になる。セリフや爆発などの効果音の聴こえに加えて、音楽や演奏の魅力をどう感じさせるかが求められる。となればやはり、サウンドバーのような一体型ではなく、独立したスピーカーとして設計されている本製品の魅力は大きいと思う。
使い勝手の面では、専用アプリを使うことで、左右の音の入れ替えなども簡単にできるので、右の音を鳴らすスピーカーを間違えて左側においてしまった場合でも、スピーカーを置き換える必要がない。マイクを使った自動音場調整機能までは持たないが、各スピーカーの距離や位置は、画面上のアイコンを見ながら、直感的に調整できて分かりやすい。
JEITAの調査では国内のテレビ市場は2019年の130万台から2020年の180万台へと大きな伸びを示している。Netflixの契約者数も300万人規模から500万人規模に増えた。しかし、日本のスピーカー市場は毎年1万台程度と、45万台規模のグローバル市場と比べて小さい。映画・音楽・ゲーム・スポーツ観戦など、幅広いコンテンツに対してスピーカーでないと伝わらない感動や臨場感を伝えられ、かつ導入の手軽さも兼ね備えた製品がInnovative Wireless Speaker Systemだ。サラウンド再生の感動を伝え、スピーカー再生を手軽にする製品として期待したい。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります















