DALIの主要技術を採用したウーファー、トゥイーターを採用
顔付きこそベースモデルとほぼ同じだが、ウーファーはダリの特徴とも言えるウッド・ファイバーコーンに、同社の低損失技術を盛り込んだ115mm口径のユニットを採用。トゥイーターは28mm口径のソフトドームだ。バッフル面と背面はゆるいカーブを描いており、艶のある光沢仕上げが際立つものになっている。ウォールナットの突き板は天然素材なので製品ごとに木目の模様が微妙に異なるが、左右のペアで木目が近いものを選んでいるという。
背面を見ると、金属製のバッヂが付いていて、型名とシリアルナンバーが刻印されている。これもMENUET SEだけのもの。前述したようにスピーカー端子はより大型のものになっていて、ケーブルを締め込む部分が2重になっていて、よりしっかりとした接続が行えるようになっている。
ところで、バスレフ型なのにバスレフポートのダクトが見当たらないと思った人がいるかもしれない。恥ずかしながら筆者がそうで、スピーカーケーブルの接続をした後でもバスレフのダクトが見当たらなかった。答えはスピーカー端子の奥。斜め下向きにポートを装着することで、後方にある壁の反射の影響を少なくする設計と思われる。バスレフポートの存在を目立たせないという意味でもうまいデザインだと思う。
スピーカーをいろいろ見ていると、もうひとつ、あるべきものが見えないことがわかる。それは前面に装着する保護カバーの取り付け穴。保護カバーは音質的な影響を考えて音楽再生時は取り外してしまう人が多い。筆者もその一人だが、ソフトドームにしろ、ハードドームにしろ、ツィーターはうかつに触ると変形してしまうので、保護カバーを使わない人は扱いには注意しよう。さておき、ユニットの保護を目的としてスピーカーのほとんどはカバーが付属するか、カバー自体が取り外せないようになっているが、保護カバーを使わない人にとって取付用の穴は不要なものだ。見た目としても決してよろしくない。
例えば、前回のソナス・ファベールの「LUMIN I」は、マグネットで保護カバーを脱着するようにして、取り付け穴をなくしている。MENUET SEの場合は、実はユニットを取り付けているネジのように見せることで存在を感じさせないようにしている。トゥイーターユニットのフレーム部分を見ると、ネジ穴が5つあるように見えるが、そのうちの2つは保護カバーの取り付け穴で、ユニットは3点で固定されていることがわかる。ウーファーのフレーム部分も、7つあるように見えて、実は5点で固定している。これはなかなか巧みなデザインだと思うし、音楽を聴いているときに保護カバーを外す人が多いこと、その上での見た目の良さを意識していないと、こうしたデザインは思いつかない。こういうところをきちんと考えているメーカーはそれだけでも、スピーカー作りの熱意や愛情を感じるし、音への信頼感もわく。
ウーファーの振動板を見ると木材の繊維が混入されていることがわかる。ダリのスピーカーでは見慣れた定番とも言える振動板だ。写真ではよく見えないかもしれないが、振動板を支えるフレーム部分の下には「Low Loss Suspension」と刻印されている。
木目の突き板仕上げで、側面や天面、底面まで含めて6面すべてが同様だ。入念な仕上がりで、購入したユーザーはあらゆる角度からじっくりと見てしまうはず。どちらかというとオーソドックスなデザインで、斬新さは少ないように感じるが、こうしたじっくりと見ていくと、細かな部分まで丁寧にデザインされ、仕上げられた製品であることがわかる。
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