週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

この価格では「ありえない音」をアピール、finalのA4000/A3000の実力は?

2021年02月01日 13時00分更新

価格差による上位・下位ではなく、傾向の違いで選ぶべき

 A4000/A3000のパッケージは、ほとんど同一であり、筐体デザインもほぼ同じだ。見た目では、A4000は青みがかったカラーリング、A3000は黒という違いだけに見える。

 さすがに本体の質感は価格なりという印象だが、付属品は十分に添付されている。ケーブルを丸めて手軽に収納することができるシリコン製キャリーケースとケーブルタッチノイズを解消するためのイヤーフック(ロック機構付き)も付属する。ケーブルは柔らかくて取り回しがしやすく、イヤホン本体も軽くて装着感がいい。長時間装着していても特に気にはならないだろう。

シリコン製キャリーケース

 まずA3000の方の音質だが、たしかに音は一流だ。細かい音の再現力が高く、歪み感の少ない端正な音である。

 楽器音の歯切れが良く、価格から想像できないほど解像力が高い。ソロバイオリンが鮮明で美しく、伴奏のピアノのタッチも明瞭にわかる。高域は澄んで美しくボーカルも綺麗で、低音はたっぷりとしつつパンチがあって引き締まっている。

A3000はリケーブルに対応する(A4000も対応する)

 3000の型番から想像できるように、全体に音のバランスは悪くないが、低音に関してはやや大きすぎるかもしれない。やや音場は狭い感じではあるが、そのぶん音がまとまって、塊になったように聴こえる。ダイナミックドライバーらしい迫力もある。また、A3000はやや能率が低い。A4000と比較しても低く、やや暗い音に聞こえる。ジャンルで言うと、低音のパンチのあるロックが似合う。また楽器のキレが良いので、ジャズのピアノトリオとか、クラシックなら四重奏がよい。歌ものよりはどちらかというと器楽曲に合うと思う。

A4000のパッケージに含まれるもの

 次にA4000を聴いてみる。A3000より能率が高いため、同じ音量ならボリューム位置がより低くて済む。
全体のトーンバランスは良好で、低音はやや抑えめだが、パンチはほどほどにある。安いイヤホンに多い、ぼわっとした緩んだ低音表現ではない。どちらかというと帯域バランスはA4000の方が整っていて、強調される帯域は特にないように思える。ただ、A3000と比べるとやや中高域に寄ったバランスに聞こえる。こちらの方が、いわゆる日本人好みのする音のように思える。

 A4000ではボーカルが特に良い。A3000よりもボーカルが前に来るようで、ソプラノが高く伸びる感じが感動的だ。合わせるジャンルは、やはり声を中心とした曲で、アニソンなどにも良いだろう。楽器よりも、歌に注力して聴きたいイヤホンだ。クラシックでも器楽曲はA3000の方が鮮明に楽しめると思うが、オーケストラものだとA4000の方がスケール感を楽しめるように思う。

 A3000とA4000を比較して言うと、A3000のサウンドはやや暗めで落ち着いた感じに聞こえ、より重厚なサウンドだ。A4000は能率の違いもあるが、やや明るい音に感じられる。いうなればより華やかで軽快だ。

 音の明瞭感はどちらかというとA3000の方がくっきりとしているが、音の広がり感はA4000の方が奥行き感があって広い感じがする。A3000/A4000ともに躍動感があって、音の歯切れがよい。

 価格は安くても、A3000の方がハイエンド機向けで解像力の細かさを堪能できると思う。いわば「マニアのサブ機」のようなものだ。ハイエンドプレーヤーを買ったらお金がなくなって、見合うイヤホンが買えなくなったという人も大丈夫だ、とりあえず1万円ちょっとでA3000を買えばいい。一方、スマホや低価格DAPなどと組み合わせるなら、鳴らしやすいA4000の方がいいと思う。広がりのある音場/高音質を手軽に楽しめる。A4000は、LightningアダプターなどでiPhoneに直差しするのが似合う。

A3000をリケーブルし、Lightningアダプタを付けたところ

 このように、A3000とA4000のどちらを選ぶかの基準は、どういうプレーヤーやアンプを使うかということと、聞くジャンルだろう。A4000の方が高価だけれども、A4000の方が上位機種というわけではないと思う。そこはいったん価格差を忘れて考えた方がいいだろう。

 また、両者とも価格に対してポテンシャルが高いので、購入したらリケーブルしてみてもより楽しめる。ただし2ピンの端子形状は溝が付いて引っ込んでいるタイプとなる。極性間違いがないという利点がある一方で、使えるケーブルを選ぶ面もあるので注意が必要だ。なお、どちらかというとA3000は標準ケーブルとの相性がよく、A4000はリケーブルに向いているように感じた。

 名称の由来として、A4000はA8000の半分。A3000はE3000から連想されるものを想定しているそうなので、サウンドキャラクターをそこから想像してみても面白い。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事